NY金16日:週末要因、良好な米指標を受けて調整売りで反落
COMEX金12月限 前日比4.40ドル安
始値 1,182.50ドル
高値 1,184.80ドル
安値 1,175.10ドル
終値 1,183.10ドル
週末を控えて買い玉整理の動きが強まり、反落した。
アジアタイムから調整売りが膨らみ、マイナス圏での取引が目立った。特に目立ったネガティブ材料は見当たらなかったが、今週は先週末の1,155.90ドルに対して一時1,191.70ドルまでの急伸となった影響で、利食い売りが膨らんだ模様。その後は押し目買いで下げ幅を縮小するも、前日終値水準では戻り売り圧力が強く、再びマイナス圏に沈んで引けている。
本日の値動きに関しては完全なポジション調整とみて良いだろう。一応は、10月ミシガン大学消費者マインド指数が前月の89.0から92.1まで上振れしたことがドルにポジティブ、金にネガティブと言える。ただ、本格的に金相場を押し下げていくには改めて米金融政策正常化プロセスに対する信認を高めていくことが要求され、同指標をきっかけに米経済に対するマーケットの評価が改善方向に向かうのか、なお慎重な判断が求められる。なお金市場の取組高は増加傾向にあり、明らかに先高感を背景とした新規買いが膨らんでいる。金上場投資信託(ETF)の投資残高も急増しており、この流れに歯止めが掛かるまでは、瞬間的な上昇リスクが残されることになる。
基本的には利上げ着手時期を年内から来年に先送りする可能性が議論されているに過ぎず、本格的に金相場が買い進まれる必要性は乏しい。世界経済の減速が米連邦準備制度理事会(FRB)に対して追加緩和を迫るような事態にならない限りは、ダウントレンドにおける修正局面との評価になる。また、本日はクリーブランド連銀メスター総裁が利上げ先送りのリスクに警告を発するなど、なお年内利上げ着手の可能性が完全に否定された訳でもない。ただ、改めて金相場を下押ししていくには米金融政策が正常化プロセスに向かうことを再確認する必要があり、本日のミシガン大消費者マインド指数と同様の良好な指標、または金融当局者からよりタカ派な発言などが要求されることになる。そうした信認が十分に得られる状況になったのかは、なお慎重な判断が求められている。