新型コロナで重症化した子供に「非定型の川崎病」の症状 イチゴ舌や発疹に要注意
[ロンドン発]英小児科集中治療学会(PICS)がツイッターで「この3週間、トキシックショック症候群と非定型の川崎病に共通する症状を示し、血液パラメータが重度の新型コロナウイルス感染症と一致する症例が少し増えている」と注意を促しています。
PICSの声明は「新型コロナウイルスに感染した子供が集中治療室(ICU)での治療を必要とするのは非常にまれなケース」と親たちに断った上で、NHS(国民医療サービス)イングランドから電子メールで送られてきた警報の内容を紹介しています。
こうした子供たちには腹痛や胃腸の症状、心臓の炎症も一般的な特徴としてみられたそうです。多くの症例で新型コロナウイルスの陽性反応が確認されたものの、そうでない子供もいました。
トキシックショック症候群とは黄色ブドウ球菌の産生する毒素が原因で起きる急性疾患のことです。
国立循環器病センターのホームページによると、川崎病とは1967年に川崎富作博士が、手足の指先から皮膚がむける症状を伴う子供の「急性熱性皮膚粘膜りんぱ腺症候群」として発表した症候群です。
原因ははっきりしませんが、ウイルスや細菌に感染、それを防ごうとする免疫反応で全身の中小の血管に炎症が生じるとみられています。川崎病の主な症状は次の通りです。
(1)5日以上続く発熱(38度以上)
(2)発疹
(3)両方の目が赤くなる
(4)唇が赤くなったり、イチゴ舌(舌にイチゴのようなブツブツができる)がみられたりする
(5)病気の初期に手足がはれたり、手のひらや足底が赤くなったりする。熱が下がってから、手足の指先から皮膚がむける
(6)片側の首のリンパ節がはれる
川崎病の症状がそろわないものの、他の病気ではないと判断された場合を「非定型の川崎病」と言うそうです。
トキシックショック症候群や非定型の川崎病に共通の重複する症状を示した場合、小児感染症や小児救急医療チームに相談するようPICSは呼びかけています。血液パラメータでC反応性蛋白(CRP)や赤血球沈降速度(ESR)、フェリチンが高いのも特徴です。
NHSイングランドは、非定型の川崎病と新型コロナウイルスとの間に因果関係は確認されていないと強調しています。
クリス・ホウィッティ・イングランド主席医務官は27日の記者会見で「子供たちにこうした炎症性の症候群が起きるのは非常にまれ」と述べる一方で「少なくとも一部のケースでは、このウイルスが原因だと考えるのはもっともだ」と付け加えました。
ホウィッティ氏は「はるかに新型コロナウイルスの症例が多い大人の患者では大きな問題が炎症のプロセスによって引き起こされる。他の原因も探す必要があるものの、関連性がある可能性は確かにあるように見える」と話しました。
(おわり)