【オートバイのあれこれ】これぞ真の「ニッポンのバイク」!? 日本語が当てられた名車たち
全国1,000万人のバイクファンへ送るこのコーナー。
今日は「これぞ真の“ニッポンのバイク”!?日本語が当てられた名車たち」をテーマにお話ししようと思います。
クルマ(とくに国産車)とは異なり、『CB』や『Z』など、英語のアルファベット羅列で表されることが一般的なバイクの名前。
ただその一方、日本語(の単語)が車名に用いられたバイクというのもいくつか存在します。
ということで今回は、日本語由来のネーミングが使われ世界的に有名になったバイクを2つピックアップしましょう。
◆SUZUKI GSX1100S KATANA
この記事の冒頭部分を読んで、このバイクを真っ先に思い浮かべた人も少なくないはず。
スズキの『カタナ』ですね。
現在もスズキの現行ラインナップに『KATANA』というモデルがありますが、ここで取り上げるのは1981年(昭和56年)にデビューした元祖のほう。
「KATANA」というネーミングは、その外観のイメージどおり、日本刀をモチーフにバイクがデザインされたことから命名されたものになります。
このデザインを手掛けたのは、ドイツのデザイン会社であるターゲットデザイン社。
1970年代にスタイリング面でイマイチ良い評価を得られていなかったスズキが、その世評を覆そうと一念発起し同社へデザイン制作を依頼したのです。
1980年のケルンショー(ドイツのモーターショー)においてその姿がアンベイルされた時のインパクトは凄まじく、後に「ケルンの衝撃」と、それはまるで世界史の事件のごとく語られました。
レースに例えると、
「ブッチギリ独走で優勝する 」もしくは「 転倒リタイヤで早々に自滅する」
のように、明暗がはっきり分かれそうなルックスで現れたカタナでしたが、結果的には世界中で称賛を浴びることとなりました(「ブッチギリ」だったかどうかは分かりません)。
このカタナの成功はスズキの知名度を世界中で一気に高め、また、’80年代のスズキの新車ラッシュ(『ガンマ』シリーズや『GSX-R』シリーズの開発など)も、カタナの販売で得た収益を原資にして仕掛けることができたと言われています。
元祖カタナは、’80s以降にスズキが大躍進を遂げる、そのきっかけとなった存在なのです。
◆ Kawasaki GPz900R
「GPz900R?どこが日本語なんだよ!」というツッコミが聞こえるので、少し説明を。
今ではカワサキのブランドとしてすっかり定着している『Ninja(ニンジャ)』。
カワサキのウェブサイトを覗くと、『Ninja H2SX』や『Ninja1000SX』等が現行モデルとしてラインナップされていますね。
この「ニンジャ(忍者)」という日本語が初めて当てられたカワサキのバイク、つまり、「元祖ニンジャ」であるのが『GPz900R』なのです。
GPz900Rがデビューしたのは、1984年(昭和59年)のこと。
当時アメリカでは、「SHOGUN(将軍)」などのような日本固有の文化を象徴する言葉が流行していました。
そうしたなか、カワサキの北米法人がGPz900Rのリリースに際して「『Ninja』という名前を付けよう」と神戸のカワサキ本社へ持ちかけたのです。
そして、GPz900Rはアメリカにおいては『Ninja900』としてリリースされ、ここから世界的に“GPz900R=Ninja”となっていったのでした。
ただ、この「Ninja」は正式な車名というよりもペットネーム的な意味合いが強く、この点が先述したスズキのカタナとは大きく異なっています(=『GPz900R Ninja』とは表記されない)。
万国共通の正式名称ではないにせよ、この元祖ニンジャは斬新なデザインや性能の高さから世界中でファンを生み、ここから「Ninja」の名はカワサキのスポーツバイク全般を指すワードへと変容していったのでした。
画像引用元:スズキ/カワサキモータースジャパン