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減少傾向なメディアへの信頼度、震災以降は加速化の流れ

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ さまざまなメディアに対する信頼度は……

金属疲労的な体制、内部を構成する人材の質の劣化や荒廃化に加え、新たなメディアの登場と隆盛、そしてそれに伴い明らかになる既存のメディアの実情の露呈化によって、従来型メディアに対する信頼感は国内外を問わずに減退の流れの中にある。いわゆる4マスとインターネットに関する信頼度の動向を、財団法人新聞通信調査会が毎年調査発表している世論調査結果から確認し、その実情を探る。

主要メディアとして「NHKテレビ」「新聞」「民放テレビ」「ラジオ」「インターネット」「雑誌」を提示し、それぞれのメディアの情報をどの程度信頼しているか、「全面的に信頼…100点」「全く信頼していない…0点」「普通…50点」の基準のもとに点数をつけてもらったところ、平均点がもっとも高かったのは「NHKテレビ」の71.1点となった。

↑ 各メディアの信頼度(2014年度)(100点満点)
↑ 各メディアの信頼度(2014年度)(100点満点)

同じテレビでも「民放テレビ」は60.2点に留まっており、情報の信頼性における双方の違いを改めて実感させられる。そして「新聞」が「NHKテレビ」に近い値69.2点をつけ、実情はともかく情報面で信頼されているか否かの点では、「新聞」が今なお高い信頼を受けているのが分かる。

「NHKテレビ」「新聞」「民放テレビ」の後には「ラジオ」「インターネット」「雑誌」と続く。「雑誌」のみが唯一、44.3点と50点未満。50点が「普通」の基準であることから、「雑誌」は情報全般に関して信頼されていないことになる。

これを属性別に見たのが次のグラフ。

↑ 各メディアの信頼度(2014年度)(100点満点)(属性別)
↑ 各メディアの信頼度(2014年度)(100点満点)(属性別)

歳を取るほど各メディアへの信頼度も上昇するが、「雑誌」「インターネット」は逆に下がる。そのため、「テレビ」「新聞」との差が大きく開くことになる。シニア層は「テレビ」「新聞」を信奉し、「インターネット」「雑誌」を軽んじる傾向があることが知られているが、それが裏付けられている。

また60歳以上では「民放テレビ」以上に「ラジオ」への信頼度が高い。特に男女別で見た場合、男性では「ラジオ」が「民放テレビ」を超えていることから、高齢男性のリスナーが「ラジオ」へ厚い信頼を寄せていることが推測される。

他方若年層はNHK・民放問わずテレビの値がいくぶん低めで、「インターネット」や「雑誌」への信頼度が高い。特に10代では「ラジオ」以上に「インターネット」を信頼する結果すら出ている。

最後に経年別。

↑ 各メディアの信頼度(100点満点)(経年別)
↑ 各メディアの信頼度(100点満点)(経年別)

震災が発生した2011年3月以降初となる調査は2011年度分(2011年9月実施)。その際の「ラジオ」の値が大きく上昇しており、震災報道で「ラジオ」が権威を回復したことが分かる。また「NHKテレビ」も同様の動きを示している。他方「民放テレビ」「インターネット」「雑誌」は大きな下落が見受けられ、震災報道により信頼度を落としてしまっていることが確認できる。

中期的な動きを見ると、いずれのメディアも信頼度を漸減している。もっとも「雑誌」「インターネット」はこの2、3年に限ればほぼ横ばいの動きなのに対し、「NHKテレビ」「新聞」は引き続き下落する気配を見せている。誤差の範囲とも読み取れるが、メディア全体に対する信頼度の凋落は日本に限った話では無いことを思い返すと、来年以降の動向が大いに気になるところではある。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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