【鎌倉市】出会ったことのない魚に出会える。阿久根と鎌倉を繋ぐ、まちの魚屋「サカナヤマルカマ」
鎌倉市今泉台の北鎌倉台商店街に店を構える「サカナヤマルカマ」は、漁獲量の減少や後継者不足などに悩む鹿児島県阿久根市の水産業者らと、高齢化による買い物難民などの課題を抱える鎌倉市の住民らが、お互いの境遇を改善するために協同で運営を行う“地域がつながるさかなの協同販売所”です。
獲れた魚を分け隔てなく美味しく食べるということを大切に、スタッフがそれぞれの魚の特性に合わせた美味しい食べ方を提案してくれます。
「サカナヤマルカマ」とは?
この商店街がある今泉台は、昭和40年代初期に丘陵地を造成して開発された分譲地で、かつては賑やかな地域でした。
しかし現在では高齢者が4割を超え、社会的孤立や買い物難民、地域経済の停滞によって商店の廃業が相次ぐなど、さまざまな問題や課題を抱えています。
きっかけは、2017年に民間全体で始まった地域間交流プロジェクト「阿久根と鎌倉」。鎌倉市内で阿久根の魚の移動販売をしたところ、今泉台では行列ができるほどの大盛況だったそう。
イベントではなく定期開催の要望が住民から高まり、阿久根側で事業化を検討するものの、コロナ禍で進行が難しくなってしまったそうです。
それならば、「地域で必要な店は自分たちでつくろう」と今泉台の元町内会長などが結集し、2023年4月に北鎌倉台商店街に「サカナヤマルカマ」を開業、30代~80代の多様な住民が運営に携わる新しいスタイルの魚屋がクラウドファンディングによる資金調達を経て誕生しました。
なんと、元水産庁職員で元漁師という経歴をもつアドバイザーも在籍されているそうです!
獲れた魚を分け隔てなく美味しく食べる
阿久根の魚のみならず、小田原の魚市場で仕入れた朝獲れの魚も並びます。
また、鎌倉市内の漁師さんが不定期で買い手がつかない魚を持ち込むこともあるそう。
昔は魚の食べ方を魚屋さんが教えてくれました。しかしながら、ピーク時に50,000軒以上あった魚屋さんが今では10,000軒ほど。毎年1,000軒以上も廃業しており、魚の食べ方を伝える人が年々減少しているのが現状です。
そして、海洋の温暖化や酸性化などが魚の分布や繁殖に影響し、年々漁獲量も減少しています。
「だからこそ、獲れたものを偏りなく美味しく食べる提案をして、獲れたものに対して産地の人にフィードバックして。お互い成長し合いながら豊かな食のサイクルをつくっていきたいと思います。」と、企画・広報担当の狩野さんはおっしゃいます。
「人も魚も十人十色。魚も住む地域や年齢によって違うので、それぞれに個性があって、それぞれの美味しさがあります。必ずしも脂がのっているものが美味しいのではなく、脂がのってないなりの美味しさがあるんです。」と、狩野さん。
同じひとつの魚でも、生で食べるのと焼くのと煮るのとでは違う味わいになるのだそう。
塩焼きも塩の当て方ひとつで味が変わるのだとか。
火を通すと硬くなるものや滑らかになるもの、この魚は焼くより蒸すとか、刺身でも皮付きの方が美味しいとか、その魚の特性に合わせた食べ方があるそうです。
「今は魚に詳しくないのが当たり前。」初歩的なことも親切に教えてくれます。
丸魚の廃棄ゼロ!
残った魚を使って手作りされたすり身揚。魚本来の甘みや旨味をダイレクトに味わえます。ミンチにしたものと刻んだものを混ぜているので歯ごたえ抜群!お店よりご提供いただきました。
毎日鹿児島から届くキビナゴを、生の状態からカラっと揚げています。お店のご厚意でいただいたところ、サクサクの衣の中に旨みがギュっと詰まっていました。野菜と甘酢で南蛮漬けにするのもおすすめだそうです。
「サカナヤマルカマ」は、地域経済の活性化に寄与するのみならず、地域のコミュニティも支えています。
魚の調理法が分からない、食べたことがない魚が食べたい、魚が苦手、魚を良く知らない人こそ訪れてほしい魚屋さんです。
「あそこの魚屋さん行ってみてよ」と教えて下さった、商店街の「こたろう」さん、ありがとうございました!
*掲載時の内容です。メニューや価格、営業時間等の変更の可能性がありますので、お出かけの際は最新情報をご確認ください。