車利用の負担、税金やガソリン代よりも重く感じるのは…
移動運搬手段として便利この上ない自動車だが、その対価として少なからぬ金額の負担が生じる。利用者にとってどのような出費が負担に感じられるのだろうか。その実情をソニー損害保険が2015年11月に発表した、カーライフの実態に関する定点観測的調査の結果「2015年 全国カーライフ実態調査」(2015年9月12日から18日にかけて自家用車を所有し月1以上で運転する18歳から59歳の男女を対象。有効回答数1000件。男女比、18歳から20代・30代・40代・50代の世代構成比は均等割り当て)の内容から確認していく。
今件自動車オーナーの調査対象母集団に、どのような経費が負担に感じるかを尋ねたところ、もっとも重い負担を覚えたのは「車検・点検費」だった。ほぼ7割の人が負担だと答えている。
トップの「車検・点検費」は燃料代や駐車場代、修理代などと異なり、毎月一定額が出費として計上されるものではない。しかし多くは2年毎に、10万円前後の費用が一度に必要となるため、重い負担がかかるとの認識が強い。賃貸住宅における更新料と同じようなものと考えれば、自動車を保有していない人にも理解はできるだろう。
「自動車税・軽自動車税」を負担だと思っている人は61.6%、「自動車保険料」は51.8%。これらは双方とも半数を超えており、自動車保有者の2人に1人以上が負担だと感じていることになる。「修理代」「駐車場代」は2割強と少なめだが、これは地域によって大きな違いがあるため。駐車場代の高い都心部のみに限定すれば、もう少し高い値を示すに違いない。
そして第3位の「ガソリン代・燃料代」。運転のスタイルにもよるが、定期的、例えば月一単位で財布の中身を減らしていく。場合によっては週単位で給油が必要な人もいるだろう。負担を感じるのも当然の話。
昨年からの差異を見ると、「車検・点検費」が上乗せ、「自動車税・軽自動車税」「自動車保険料」「修理代」「駐車場代」が誤差レベルでの減少。そして「ガソリン代・燃料代」が有意な形での減少を示している。これは2014年夏以降の原油価格の下落に伴い、ガソリン価格が大幅に引き下げられ、その状況が継続していることが大きな要因だと考えられる。
今年分も含めた3年分の動向からも分かる通り、「ガソリン代・燃料代」は年々心理的・実額的な負担増となっており、前年2014年では「車検・点検費」すら抜いてトップだった。それが今回は第3位にまで落ちており、いかにガソリン価格の下落でプレッシャーが軽減されたか、その実情がうかがいしれる。
ガソリン価格の変化で自家用車の利用者に与える実質的、そして心理的影響が大きく左右される実情を改めて実感できよう。
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