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眞子さま・小室圭さん「婚約」内定から今日で丸3年~「婚約」と「結納」とは?

竹内豊行政書士
眞子さまと小室圭さんの婚約内定から今日で丸3年が経ちました。(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

本日2020年9月3日で、眞子さまと小室圭さんが赤坂御用地内の赤坂東邸で、婚約内定の記者会見に臨まれてから丸3年が経ったことが報じられました。

「秋篠宮家の長女・眞子さまが、小室圭さんと婚約内定の記者会見を行われてから、9月3日で丸3年となりました。しかし、小室さんの米国留学は来年5月まで続く予定であるうえに、母・佳代さんの借金騒動にも進展はなく、新型コロナウイルス禍で眞子さまには、なす術がありません。まさに八方ふさがりの状態なのです」

出典:【婚約内定から9月3日で丸3年】眞子さま・小室圭さん“ご結婚チキンレース”のリミットは?

お二人が婚約内定の記者会見を行った以後、なかなか進展はないようです。そこで、今回は「婚約」と「結納」について考えてみたいと思います。婚約も結納も慣習的に行われていますが、その実体ははっきりしないところがあります。まずは婚約から見ることにしましょう。

「婚約」とは

婚約は「将来結婚しよう」という約束です。したがって、婚約は、男女間に将来結婚しようという合意があれば成立します。

結納や婚約指輪の交換などの儀式は、当事者間の結婚の意思を具体的に示すものとして、婚約の成立を証明する一つの事実になります。

婚約の「法的」な意義

婚約により当事者は結婚の成立を当然期待し、結婚に向けて準備を進めたり、婚約をきっかけに性的な関係を持つこともあります。

それにもかかわらず、一方的に婚約を解消されると、他方は精神的に傷つきます。また、準備にかかった費用や婚約を機会に退職したなど財産的な損害が発生することもあります。

だからといって「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立する」(憲法24条)といった結婚の本質からみて、相手に婚姻の届出を強制することはできません。しかし、生じた損害について、婚約不履行の責任として賠償を認めることがあります。

婚約解消で損害賠償が請求できる場合

正当な理由もなく婚約を履行しない者に対しては、債務不履行を理由として、あるいは婚約者としての地位を侵害した不法行為として損害賠償を請求できます。

その意味では、婚約は単なるプライベートな合意ではなく、「正当な理由」のない不履行については、法的な賠償責任が生じる、法律的な行為だといえます。

しかし、婚約後、結婚を前提として交際してみて初めて分かること、不安に思っていたことが確信に変わっていくことも実際あります。婚約後に、性格の不一致や、家族も含めた生き方・価値観の相違がはっきりしてきた場合には、自由に婚約を解消できるようにして、「婚姻の自由」を保障する必要があります。したがって、婚約は夫婦生活の実体を備えるまでに至っていない関係だから、正当理由について緩やかに認定すべきでしょう。

この点を踏まえて、次のような判決があります。

婚約解消を理由として精神的苦痛を賠償すべき義務が発生するのは、婚約解消の動機や方法などが公序良俗【注】に反し、著しく不当性を帯びている場合に限られる(東京地方裁判所・1993年(平成5年)3月31日)。

【注】「公序良俗」は民法に次のように規定されています。

民法90条(公序良俗)

公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。

※「公の秩序」とは国家・社会の一般的利益、「善良の風俗」とは社会の一般的倫理を意味します。

「結納」とは

婚約が調うと、めでたく結婚が成立することを願って結納が交わされる場合があります。

一般に、結納は、婚約が調ったとき、そのしるしとして男性の側の親から女性の側の親に金銭などを贈与する慣行ですが、その由来ははっきりしていないようです。最近は簡略化する傾向がありますが、地域によっては今でも結納の儀式が大掛かりになるようです。

判例では結納を次のように定義しています。

結納は、婚約の成立を確証し、あわせて、婚姻が成立した場合に当事者ないし当事者両家の情宜を厚くする目的で授与される一種の贈与である(最高裁判所1964年(昭和39年)9月4日)。

「情宜」(じょうぎ)とは、聞きなれない言葉ですが、「いつも誠意をもって知人・師弟などとつきあおうとする気持」(引用:新明解国語辞典)です。

この判例から、結納は、次の二つの目的があると考えられます。

1.婚約(将来結婚しようという約束)の成立を確かなものとする

2.結婚成立後に当事者と両家が誠意をもって付き合うために行うための贈与

結婚が成立しなかった場合

結婚が成立しなかった場合には、前述の目的が達成できなかったことになります。したがって、不当利得として授与者は相手方にその返還を求めることができます。

なお、婚約解消について責任のある者は、信義則上【注】、結納金の返還を請求することはできません。たとえば、結納を交わした後に、結納金を渡した男性が浮気をしたことが原因で婚約解消に至った場合などです。当然のことでしょう。

【注】「信義則」とは、相互に相手方の信頼を裏切らないように誠実に行動することを指します。この信義則を欠くときは一般的に権利の濫用とみなされます。

いかがでしたでしょうか。婚約も結納も将来結婚をする約束の証しとして取り交わされるものであることがお分かりいただけたと思います。しかし、婚約や結納をした後に、事情が変わることもありえます。そのような場合、婚約解消という選択もあり、理由によっては、損害賠償が発生することもあります。

婚約を解消するか否かの選択は、二人の間に、結婚した場合に、「将来にわたって幸せに過ごしていけるというある程度の確信」の有無にあると思います。その基準として、憲法が掲げる結婚観に関する条文をご紹介して今回は終わりといたします。

憲法24条

婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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