岡村、淳、東野…大物芸人が大阪に戻りたがる理由!
大阪を拠点に活動するお笑いコンビ「へびいちご」高橋智のフェイスブックに、昨秋あたりから、やたらと目立つ人物が頻繁に登場するようになった。
「ナインティナイン」の岡村隆史だ。
岡村は、昨年10月から朝日放送「なるみ・岡村の過ぎるTV」にレギュラー出演中。収録は、隔週で大阪の同局で行われるが、その度に、同期の大親友・高橋と食事をともにしている。大阪に戻ってくる頻度が激増し、その結果、高橋のフェイスブックを華々しくにぎわせているというワケだ。
岡村だけじゃない!
岡村のみならず、「ブラックマヨネーズ」、「ロンドンブーツ1号2号」田村淳、東野幸治…。東京のゴールデンタイムでもメインを張るような面々が、ここ半年で関西ローカルの新番組をスタートさせた。
「ブラマヨ」は関西テレビ「村上マヨネーズのツッコませて頂きます!」(2013年10月20日スタート)、淳は朝日放送「淳とシゲオのド深夜放送 キャー!ムービーシェアリング」(2014年2月1日スタート)で司会を担当。東野は朝日放送「教えて!ニュースライブ 正義のミカタ」(2014年4月5日スタート)で生放送情報番組の司会を初めて務めることになった。
これまでも、明石家さんまの毎日放送「痛快!明石家電視台」、「ダウンタウン」浜田雅功の毎日放送「ごぶごぶ」、今田耕司の読売テレビ「特盛!よしもと 今田・八光のおしゃべりジャングル」、「雨上がり決死隊」の朝日放送「雨上がりのやまとナゼ?しこ」などなど、売れっ子芸人が関西ローカルの番組をやっているパターンは多数あったが、ここにきてその流れが加速している。
東京ではできない”トレーニング”!?
「大阪で番組をやる大きな理由の1つが、”トレーニング”だと思います」(関西を拠点に活動する放送作家)。
依然続いているテレビ局の経費削減の流れから、ドラマなどお金と時間がかかる番組が減少し、芸人を集めてのバラエティーが増加。ただ、東京の番組は出演者数もとりわけ多く、どの出演者がどう話すか、どう振る舞うかの“交通整理”をしておかないと、まとまりがつかなくなってしまう。それを防ぐため、どこで誰がどんな話をするのかということを記した緻密な番組台本が作られる。
基本的に、司会者は台本に沿って番組を進め、出演者も自分の出番が来れば、予定されていたパフォーマンスをやっていくという流れが中心となる。
一方、大阪の番組は東京に比べると出演者も少なく、台本も「オープニング コーナーなどあって……エンディング」といったように、内容のほとんどを出演者にゆだねたものが多い。
実際「…過ぎるTV」でも、出演者は基本的に岡村となるみのみ。一応、テーマに沿いながらトークを展開するが、流れは本人たちの思いで大きく変わっていく。
「芸人さんが自らを鍛える代表的な場は、劇場です。生のお客さんの前で芸を披露する。これに勝るトレーニングはないと言われますが、テレビなどで売れっ子になってくると、スケジュールの問題でそれもできなくなる。となると、自分自身が一から十までやりまくらなければならない、大阪の番組に目が向くんです」(前出放送作家)。
大阪への“恩返し”
もう1つの理由が、大阪への“恩返し”だという。現在、テレビでバリバリ活躍している年代が駆け出しだった頃にお世話になったディレクター、苦しいロケに同行してきたアシスタントディレクターらが年月を経てプロデューサーになり、どんな番組を作るかを決める世代になってきた。
「東京の番組に比べると、大阪はへたすると、ケタが1つ違うくらいギャラは安い。でも、お世話になったディレクターが自らの番組を作るとなれば『何か手伝えることがあれば言ってな』となるのが、義理人情を重んじる芸人さんの世界。お世話になった“お返し”という意味も多分に含まれていると思います」(在阪スポーツ紙記者)。
大阪芸人は戦々恐々!?
苦楽を共にした仲間が肩を組んで番組を作る。作り手にとっても、出演者にとっても、モチベーションが高まり、いい番組が生まれやすい。こうなると、いいことづくめのように思えるが、この流れのあおりを唯一食らっているのが、大阪を拠点に活動している芸人たちなのだ。
「コツコツと大阪で頑張ってきて、やっと番組が持てるような年代になった頃に、次から次へと東京からスターさんがやってきて番組をやり始める。大阪に根を張ってやってきている芸人さんたちは、東京から売れっ子が来ることを“黒船”と言って恐れてもいます」(在阪民放局スタッフ)。
”黒船”来航が相次ぎ、様変わりを見せる大阪。今後の展開が注目される。