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NY原油20日:期近高・期先安、サヤバランスの修正続く

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油9月限 前日比0.34ドル高

始値 40.58ドル

高値 41.48ドル

安値 40.21ドル

終値 41.14ドル

短期的な下げ過ぎ感から期近限月が小反発する一方、需給緩和の長期化懸念から期先限月は続落した。

特に目新しい材料は見当たらないが、引き続き当先のサヤバランスの拡大に対する警戒感が強く、期近買い・期先売りの裁定が行われた模様。期近で現物を調達し、期先で渡すとリスクフリーでサヤが確保できる価格水準に近づく中、期先限月と比較した際の期近限月の下げ過ぎ感が警戒されている。これを受けて期近を本格的に買い進むような動きまではみられないが、期近をもう一段階押し下げるためには、期先限月の下げが要求されていることが窺える。

もっとも、国際需給の緩和状態に修正を迫るような動きは見られない以上、期先限月に対しても戻り売り圧力が強まることで、期近限月の一段安が促されることになろう。需要環境は決して悪い訳ではないが、供給量が需要を上回る状態を解消する目処が立たない以上、価格低下で生産調整を促すことが要求される。もちろん、政策的に生産調整を進める動きがみられれば原油安の必要性は薄れるが、石油輸出国機構(OPEC)は逆に増産傾向を強めており、ダウンサイドリスクが払拭できない状況が続くことになる。

既に需給緩和状態は周知されているが、なお価格低下で需給リバランスを促す必要性が解消されていないことを考慮すれば、戻り売り対応が基本となろう。一段安のためには期先限月を押し下げる必要性が高いものの、本格的な反発局面を想定することは難しい。仮に短期の相場反転があるとすればドル安になる見通し。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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