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「小林麻耶」さんが夫と「別居」~夫婦の「同居」と「別居」の関係

竹内豊行政書士
小林麻耶さんが夫と「別居」していると報じられました。(写真:つのだよしお/アフロ)

小林麻耶さん(41才)が夫のあきら。こと整体師の國光吟氏(37才)さんと別居しているという報道がありました。

「周囲が引くほどラブラブだったふたりですが、この3月上旬までに、昨年住み始めたばかりの高級マンションを出たようです。麻耶さんは実家、國光さんは新たに借りたマンションに住み、いまは別居しています」(小林家の知人)

引用:小林麻耶が夫の國光吟氏と別居、「いまは別々に住んでいますが…」

そこで、今回は、夫婦の「同居」と「別居」の関係について考えてみたいと思います。

結婚をすると「同居」が義務になる

結婚をすると、法律上、いくつか義務が生じます。その中でも、たとえば民法752条は次のように義務を規定しています。

民法752条(同居、協力及び扶助の義務)

夫婦は同居し、お互いに協力し扶助しなければならない。

このように、結婚をすると、夫婦相互に同居義務が課せられます。

同居義務は、結婚の成立、つまり役所に婚姻届を届出た時から発生し、結婚の解消まで存続します。この同居とは、「夫婦としての同居」であって、単なる場所的な意味ではありません。同じ屋根の下でも、たとえば障壁を設けて生活を別にするのは民法が意味する同居ではありません。

「原則」としての同居

しかし、夫婦の具体的事情は千差万別です。夫婦の事情や考え方によって、お互い話し合って合意した上で、「別居」を選択しても構いません。

つまり、民法752条は、夫婦はその性格上同居することを原則とする。しかし、同居するかどうかは、夫婦間の協議で決めることができる。ただし、「お互いに同居する」と合意した場合は、「正当な理由」がない限り互いに同居義務を負うと考えるべきでしょう。正当な理由とは、たとえば転勤等の職業上の理由、病気による入院等による一時的な別居が挙げられます。

「別居」が「離婚」の理由になることも

正当な理由なくして同居を拒否した場合、他方は相手に対して家庭裁判所に同居を命ずる審判を求めることができます。

しかし、いくら裁判所から同居の命令を下されても、実際のところ同居という作為義務は直接強制にも間接強制にもなじまないため、これを強制する手立ては実際のところありません。このような場合は、同居義務違反として離婚原因(民法770条1項2号「配偶者からの悪意の遺棄」)となり、離婚慰謝料の理由となる可能性があります。

民法770条(裁判上の離婚)

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

なお、婚姻生活が破綻したり離婚訴訟が継続中で夫婦の信頼関係が奪われたりして、円満な夫婦生活が期待できないような場合には、一方の同居請求に対して同居を拒むことができます。

さて、前述の記事によると、小林さんは記者からの取材に対して次のように話しています。

麻耶を記者が直撃すると、離婚については否定しつつも、「いまは別々に住んでいますが…1週間前からそういうこと(別居)になっているけど、いまも一緒に寝たりしていますから」などと話した。

小林さんのお話からは夫と協議した上で、別居を選択しているようです。したがって、民法が意味する「同居義務」に反しているとは言えないでしょう。

結局のところ、結婚という制度を考えれば、原則として「同居」は義務付けられる。しかし、夫婦が「自分たちの結婚の形」を実現するには、「別居」もありということでしょう。

ただし、その場合は、「お互いの合意」が前提条件となります。このことをくれぐれもお忘れなく!

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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