花火大会で観覧チケットの高額転売が横行 法的問題と対策は #専門家のまとめ
きょうあす開催される「長岡まつり大花火大会」では、転売サイトなどを介して有料観覧席のチケットが定価の数倍で転売されています。あす開催の「なにわ淀川花火大会」など、ほかの花火大会でも同様の高額転売が横行しています。主催者も許可なく転売されたチケットは無効になるなどと注意喚起しているところです。花火大会のチケット転売を巡る法的問題や求められる対策について、参考となる記事をまとめました。
ココがポイント
▼花火価格や運営費の高騰を受け、約7割の花火大会で有料席が導入され、その売上が運営費に回されている状況
・相次ぐ花火大会の中止 花火の価格や運営費の高騰が深刻 打開策は「有料席の導入」(テレビ愛知)
▼有料観覧席の値上げやプレミアム化が進んでおり、4席分で定価16万円のVIP席を設ける花火大会も
・花火大会「有料席」、半数超が今年値上げ 最安値は平均5162円(毎日新聞)
▼長岡花火は全席有料化で高額転売に拍車がかかっており、主催者が転売サイトに掲載中止を求めているものの、打開策なし
・初のチケット完売『長岡花火』公式の再販売サイト用意も高額転売になすすべなく(BSN)
▼淀川花火は大量取引や不正アカウント取引を強制キャンセルし、アカウントを凍結した上で警察に情報提供することもあり得るという
・花火大会チケットの「不正」購入を確認 なにわ淀川花火大会が対応説明「犯罪に関するものは警察にも相談」(ORICON NEWS)
エキスパートの補足・見解
チケット不正転売禁止法で転売が規制されるチケットは、映画や演劇、音楽などの「芸術・芸能」と、野球やサッカーなどの「スポーツ」の興行に限られています。単に花火を打ち上げるだけの花火大会だと、これに含まれないのではないかという問題があります。もともと慰霊や鎮魂、厄災払いが起源だからです。
そこで最近では「芸術花火」といった名称に変更したり、花火の打ち上げと会場に流す音楽とをシンクロさせるといった形で芸術性をうたうイベントに様変わりしつつあります。チケットも購入者の氏名などを確認した上で券面などに表示する形で販売されています。こうした花火大会であれば、チケット不正転売禁止法が規制の対象とするチケットにあたるので、この法律で不正仕入や不正転売を処罰することができます。
花火大会の主催者は、入場時に本人確認をするとか、転売チケットだと分かれば入場を拒否するなどと告知しています。しかし、観客の数が数万から数十万単位と膨大で大混雑しており、人手や時間、手間の関係などから実際には厳密な本人確認などやっていないのが現状です。
主催者が本気で「転売ヤー」を排除したいのであれば、少なくとも何人に1人といった割合でアトランダムにでも必ず本人確認を行うとともに、公式リセールサイト以外の転売サイトを介した高額転売については警察にも積極的に被害を届け出た上で、刑事事件化する必要があるでしょう。(了)