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子どもが入園する園の選び方~元保育士パパが教える【幼稚園・保育園・こども園の違いと園を選ぶポイント】

hirofuminice元保育士Webライター

1人目のお子さんが生まれて、初めての子育てをしているお父さん、お母さんにとっては、お子さんの入園も初めての経験です。現在、育休中や専業主婦として家でお子さんを育てている人も、今後お子さんを預けるときに「どの園に入園させたらよいのか迷ってしまう」「どうやって園を選んだらよいのかわからない」と悩んでしまう人が多いと思います。

中には「幼稚園に入れたらよいか、保育園に入れようか迷う」という人や、「幼稚園と保育園の違いがよくわからない」という人もいるのではないでしょうか。一口に“園”と言っても、幼稚園・保育園・認定こども園があり、それぞれの中にもいくつかの種類があります。まずは、園の違いをしっかりと認識することが必要です。

そして、園を選ぶポイントはいくつかありますが、そのポイントは各家庭の状況や考え方によってさまざまでしょう。人生の中でも非常に大切な時期である乳幼児期なので入園してから後悔することなく、親も子も「この園を選んで本当によかった」と思えるよう、園を選ぶ際の参考にしてください。

目次

幼稚園・保育園・認定こども園の違いを理解する

  幼稚園と保育園の違い

  認可保育園と認可外(無認可)保育園

  認定こども園とは?

子どもが入園する園の選び方

  園生活に大切にしたいポイントを決める

  園生活に大切にしたい5つのポイント

  園生活に大切にしたいポイント① 距離・立地

  園生活に大切にしたいポイント② 園の施設・設備

  園生活に大切にしたいポイント③ 園の方針・保育内容

  園生活に大切にしたいポイント④ 職員

  園生活に大切にしたいポイント⑤ 園児数

まとめ

幼稚園・保育園・認定こども園の違いを理解する

ほとんどのお父さんとお母さんが、幼少期に幼稚園か保育園のどちらかに通った経験があるのではないでしょうか。しかし、幼稚園と保育園の違いを知らないという人は案外たくさんいます。違いを知っていても認識を少し間違えていたり、時代とともに変化してきた現状を知らなかったりする人もいるようです。幼稚園・保育園・認定こども園の3つの違いをきちんと理解しましょう。

幼稚園と保育園の違い

最初に、混同しやすい幼稚園と保育園の違いについて解説します。

【幼稚園】

・管轄…文部科学省

・法律…教育基本法

・施設の種類…教育施設(学校)

・専門職…教員(幼稚園教諭)

・教育(保育)課程…幼稚園教育要領

・対象年齢…3,4,5歳児

【保育園】

・管轄…厚生労働省

・法律…児童福祉法

・施設の種類…児童福祉施設

・専門職…保育士

・教育(保育)課程…保育所保育指針

・対象年齢…0,1,2,3,4,5歳児

幼稚園と保育園は小学校就学前の子どもが通う施設であるという点は同じですが、大きな違いは管轄が異なること幼稚園は文部科学省の管轄で小学校や中学校と同じ“学校”に区分され、保育園は厚生労働省の管轄で“児童福祉施設”となります。そのため、一般的に「幼稚園は教育をするところで、保育園は託児所的な施設」と捉える人が多くいるのです。

一口に保育園と言っても各園の保育方針はさまざまで、保育園でも幼稚園と変わらない教育的活動を行う園は多くあるにもかかわらず長きにわたってそのようなイメージをもつ人は多くいました。しかし、2018年に「幼稚園教育要領」と「保育所保育指針」が改正され、保育園も幼児教育施設と明確に位置づけされたのです。

そして、もう1つの大きな違いは入園基準と対象年齢でしょう。幼稚園は、3歳の誕生日を迎えた子どもなら専業主婦など保護者が仕事をしていなくても誰でも入園できるのに対し、保育園は“保育に欠ける子ども”という条件があります。 “保育に欠ける”とは、「両親ともに働いている」「家族の看護や介護をしている」など家庭で子どもを保育することができない状態のこと。入園の決定権は、公立保育園だけではなく私立保育園も市区町村にありますが、入園希望者が多い園は「パートより正社員」、「短時間勤務より長時間勤務」など、保育に欠ける条件が高い人のほうが有利になるのです。求職中の状態でも入園申請はできますが、現在仕事をしている人に比べると不利になるだけではなく、入園後も仕事が決まらず一定の猶予期間を過ぎてしまうと入園の継続ができなくなってしまいます。

また、幼稚園は3歳以上の子ども達が対象で、保育園は0歳から入園できるので、お子さんが3歳未満児のうちに仕事復帰などで預けなくてはならない人は幼稚園ではなく保育園を選ぶ必要があるでしょう。

保育時間も早朝と夕方の延長保育を含めて長時間預けることができる保育園に比べ、幼稚園の保育時間は短いので要注意です。そして、教育施設である幼稚園には夏休みや冬休みなどの長期休暇がありますが、保育園には長期休暇はありません。したがって、親の仕事などの状況によって幼稚園にするか、保育園にするのか判断することになるでしょう。尚、保育時間は各園によって異なるので、事前に確認しましょう。

認可保育園と認可外(無認可)保育園

幼稚園と保育園も学校と同じように、公立(県立や市立など)と私立があり、さらに公立以外の保育園には認可保育園と認可外(無認可)保育園があります。認可保育園と認可外保育園の違いは、以下の通りです。

認可保育園

・概要

児童福祉法に基づき、国によって定められた基準を満たし、都道府県知事によって認可された保育園。(基準には、面積、職員数、衛生管理など、さまざまな項目があります。)

・入園申請

自治体(市区町村)に申請。申請には、保護者の勤務状況、収入状況がわかるもの(源泉徴収法等)が必要。

・保育料

保護者の収入、子どもの人数により、行政が決定する。(自治体から運営費の補助がでているため、保育料が抑えられていることが多い。)

・メリット

1.国の基準を満たしているため安心感がある。

2.入園の基準が自治体によって公開されている。

・デメリット

入園の決定は自治体が行うので、希望した園に入れない可能性がある。

認可外保育園

・概要

都道府県知事による認可を受けていない保育園。(認可を受けない園には、都市部にあるため園舎が狭く、基準が満たせないなどの理由がある場合もあります。)

・入園申請

各園に直接申請。

・保育料

園ごとに金額を設定。(行政から運営費の補助はないため、金額が高めの園が多い。)

・メリット

1.保育に欠けていなくても入園できる。

2.独自の特色を打ち出している園が多く、様々な形態があるため、認可保育園にはないサービスが受けられる園がある。(企業内や病院内の保育園、24時間保育、居宅訪問型等)

・デメリット

報道等により、事故や不適切保育が多いなどのマイナスイメージをもつ人が多い。

認可外保育園の設置基準は、認可保育園に比べて厳しくないことや「認可外」という言葉のイメージから不安を感じる人もいるでしょう。しかし、認可外保育園には「認可外保育施設指導監査基準」という基準が設けられており、自治体が立ち入り調査を行います。そして、保育士の配置基準や災害対策など安全面の基準は認可保育園と同様ですので安心してください。

上記したように、認可外保育園の中には立地の関係で面積が狭くて基準が満たせないなどの事情がある園もあります。また、園独自のサービスを提供するために敢えて認可を受けずに運営している方針の園もあるため、ほかにはない園独自の特色を魅力に感じて入園を希望する人もいるのです。

不適切保育や事故が起こったとして報道される園は、認可外保育園が多いイメージがあるのも確かです。しかし、認可外保育園の中にもしっかりした運営やきちんとした保育を行っている園はたくさんありますので、保護者自身の目で確かめたり口コミを参考にしたりして検討するとよいでしょう。

尚、幼稚園の場合、公立の園の保育料は自治体が決定し、私立幼稚園の保育料は各園が設定しています。

認定こども園とは?

幼稚園と保育園については、大体理解できたと思います。幼稚園、保育園同様就学前の子どもが通う施設として、 “認定こども園”という施設を聞く機会が多いのではないでしょうか。保護者の皆さんが子どもの頃にはなかった新しい施設のため、よくわからない人も多いと思います。

認定こども園を管轄する内閣府のHPには、「教育・保育を一体的に行う施設で、いわば幼稚園と保育所の両方の良さを併せ持っている施設」と書いてあります。つまり、幼稚園と保育園それぞれの特徴を兼ね備えた“保育・教育”のための施設であり、文部科学省と厚生労働省とも連携を図っているのです。

認定こども園には、以下の4つのタイプがあります。

幼保連携型

幼稚園と保育園の両方の機能を兼ね備えていて、教育機関かつ児童福祉施設として文武科学省と厚生労働省からの認可を受けて運営します。認定こども園の中では、このタイプの園が最もたくさんあります。

幼稚園型

幼稚園に、保育園の機能が追加されたタイプのこども園です。施設の位置づけとしては幼稚園(教育施設)であり、「幼稚園教育要領」に基づいた教育を行います。

保育園型

認可保育園に、幼稚園の機能が追加されたタイプです。したがって、施設の位置づけは保育園(児童福祉施設)で、「保育所保育指針」に基づいて保育を行います。

地方裁量型

認可外の幼稚園及び保育園に、認定こども園の機能が追加されたタイプです。施設の数は、4つの中で最も少ないです。

認定こども園の園児は、1号認定(幼稚園)・2号認定(保育園 3~5歳児)・3号認定(保育園0~2歳児)の3つに分かれています。幼稚園・保育園の入園基準と同様、専業主婦など保育に欠ける条件を満たしていない場合は1号認定に入園することはできません。「1号認定で入園したけど途中で仕事を始めたので2号認定に変更したい」「2号認定で入園したけど、仕事を辞めたので1号認定に変更したい」など変更を希望する場合は、園の定員に空きがあれば可能です。

子どもが入園する園の選び方

幼稚園・保育園・認定こども園の違いを理解したら、いよいよお子さんを入園させる園を選ぶ段階になります。園を選ぶポイントはいくつかありますが、そのポイントは各家庭の状況や考え方によってさまざまです。人生の中でも非常に大切な時期である乳幼児期。入園してから後悔することなく、親も子も「この園を選んで本当によかった」と思えるよう、ぜひ園を選ぶ際の参考にしてください。

園生活に大切にしたいポイントを決める

お子さんが通う園を選ぶ際に大切なことは、園生活で大切にしたいポイントを明確にすることです。すべてのポイントを兼ね備えている園が理想ですが、完璧な園はなかなかないと思います。家族で話し合って大切にしたいポイントを、1つだけではなくいくつか挙げてみましょう。その中から、優先順位を決めて、何を1番大切に考えるのかを明確にすることが大切です。

一般的に、園を選ぶ際に多く挙がるポイントを以下の5つがあります。

園生活に大切にしたいポイント① 距離・立地

毎日通う園ですので、自宅や職場からの距離は重要です。しかし、距離についての考え方や事情は人それぞれ違うので、全員が自宅の近くの園を選ぶとは限りません。自宅から職場が遠い人の中には、仕事の行き帰りに送迎しやすいように職場の近くの園を選ぶ人もいます。早朝から仕事に行き、帰りも遅いため実家の親に送迎や夕食等を協力してもらう家庭は、実家の近くの園を選ぶ場合もあるでしょう。自宅からは少し遠くても、園バスの送迎がある園を選びという人もいます。距離を最優先のポイントに考えたい人は、入園後や仕事復帰後の自分家族の生活環境や生活リズムを考えて最善の立地の園を選ぶようにしましょう

また、「近所に同年代の子どもが少なくてなかなか友だちが少ないから友だちがたくさんできるように少し遠くても園児数が多い園にしよう」「自宅から遠い園を選ぶと同じ小学校に入学する子が少ないので子どもが不安に感じるかもしれない」など、園に通う時間帯以外のことやこの先のことにも目を向けて考えてみることもおすすめします。

園生活に大切にしたいポイント② 園の施設・設備

古い園舎よりは、新しくきれいな園舎がよいという人は多いでしょう。しかし、施設は新しくても掃除が行き届かず汚れている園より、施設は古くても掃除が行き届き気持ちがよい園に好感をもつ人もいると思います。新しさや古さより、園の敷地や園庭の大きさや広さにこだわる人もいるでしょう。お子さんが毎日通う園ですので、環境は非常に大切です。ほとんどの園で園舎見学を行っているので、実際に園内を自分達の目で見学し、広さ、明るさ、清潔さなどを確かめましょう

園生活に大切にしたいポイント③ 園の方針・保育内容

幼稚園・保育園・認定こども園それぞれ、各園でさまざまな方針で教育や保育を行っています。子ども達がのびのびと遊ぶことを重視している園、英語や漢字教育を取り入れている園、音楽・絵画・体育など1つの項目の指導に特化している園、食育や給食に力を入れている園などさまざまです。園の行事についての考え方も園それぞれなので、行事が多い園と少ない園、ほかにはない独自のユニークな行事を行っている園もあります。

園はお子さんが毎日通い、1日の大半を過ごす場所であり、人生の中でも大切な乳幼児期の教育や保育を受ける場所。お子さんに「何を学んでほしいか」「どんな人に育ってほしいか」「どんな毎日を過ごしてほしいか」など家族で話し合い、家族の希望や考え方に近い方針を実践している園を選ぶことも大切です。

園生活に大切にしたいポイント④ 職員

園には幼稚園教諭、保育士、保育教諭のほか、調理員、看護師、事務職員などたくさんの職員が働いています。昨今、保育士の過酷な同労状況や不適切保育などさまざまな報道がなされ、不安に感じる人も多いことでしょう。ほとんどの職員は子ども達に愛情をもち、仕事に意欲をもって働いていると思いますが、入園前の保護者が職員の意欲や資質、働きぶりを知ることは困難です。園舎見学に訪れた保護者に対しては、どの職員も笑顔で感じよく応対するはずですが、それだけでは普段の子どもに対する接し方や仕事ぶりはわかりません。園舎見学とは別の日に園の前まで行き、外側から保育の様子を見たり音や声を聞いたりすることで、見学のときにはわからなかったその園の普段の雰囲気がわかることもあるでしょう。

その園に子どもを通わせている近所の人に話を聞いたり、インターネットなどの口コミを見たりすることも有効です。

園生活に大切にしたいポイント⑤ 園児数

園児数(定員)も、園によってさまざまです。たとえば、「うちの子は内気だから、子どもが大勢いる環境だと気後れしてしまうかも…。それよりも、少人数の園でのびのびと過ごしてほしい」と考える人もいれば、「大勢の子ども達と接することで、集団生活に慣れてほしい」と思う人もいるでしょう。人数の多い少ないは、それぞれにメリットとデメリットがあり、考え方も人それぞれです。自分達は園児数に対してどう考えるか、明確にしておくこともおすすめします。

まとめ

初めてのお子さんを、これから入園させるという保護者の方に向けて、「幼稚園・保育園・認定こども園の違い」と「園選びの際に考えるポイント」を紹介しました。簡単に考えると、お父さんかお母さんのどちらかが専業主婦(主夫)のおうちは幼稚園、共働きのおうちは保育園に入園させるのがよいでしょう。そして、認定こども園は幼稚園と保育園のよいこところを併せ持っているので、どちらの場合でも入園できます。保育や教育の内容は、「幼稚園だから」「保育園だから」「認定こども園だから」ということよりも、園によってさまざまです。特に私立や無認可の園は、各園それぞれに特色があるのでよく確認しましょう。

そして入園する園を選ぶ基準は、「家からの距離、「保育内容や行事」「施設(広さや新しさ)」など、何を1番大切に考えるかは人によって違うでしょう。入園してから園に不満をもつと、せっかくの園生活が楽しくないものになります。どうしても我慢ができなければ転園することもできますが、お子さんにとってせっかく慣れた園や仲良くなれた友だちとの別れは悲しい思いをさせたりストレスになったりしてしまうため避けましょう。

最後に、入園したい園を決めても各園には定員があります。また、保育園や認定こども園の2号認定、3号認定は保育に欠ける条件があるため、希望した園に必ず入園できるとは限りません。よいと思う園は1園だけではなく複数挙げておくことも大切です。保護者も子ども自身も後悔することなく、「この園に入園してよかった!」と心から思える園に出会えるよう、じっくりと園を選んでください。

元保育士Webライター

元保育士で、現在はフリーランスとしてWebライターのほか、リトミックや親子遊びの指導など幅広く活動しています。保育士やリトミック指導のスキルや知識、父親としての子育て経験を基に、子育てや保育に関する情報を発信していきます。

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