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<ガンバ大阪U-23>3位・カマタマーレ讃岐を相手に2点のビハインドから引き分けに持ち込む。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

ホームでの3位・カマタマーレ讃岐との一戦。上位チームが相手とはいえ勝ち点2差ということから、勝てば順位が入れ替わる状況だったものの、前半早々の3分に失点。さらに立て直しのきかないまま20分にも失点を重ね、今季2度目の2点のリードを許す。それでも前半の終了間際にFW高木彰人の4試合連続ゴールで1点を返すと、後半も前がかりに試合を展開。85分にはMF芝本蓮の今季初ゴールが決まり、2−2で試合を終えた。試合後のガンバU-23監督、選手のコメントをお届けする。

●森下仁志U-23監督

今日は本当にたくさんの人に応援に来てもらったので、こういう試合は勝たなきゃダメだって伝えました。たくさん来てくださっている時こそ、自分たちのサッカーをして勝ちきることで、また足を運んでもらえるはずだと思うので、そこはすごく残念です。ゲームに関しては、最初の20分、特に守備のところで相手のポジションの取り方で、今日はユースの選手が6人いるというところで、少し受け身になって、それを修正できないままミスも絡んで、失点したんですが、崩されてというか、自分たちでなんとでも修正できる部分だったので、またそこはトレーニングでも意識させながらやりたいと思います。ですが、そのあと、前半の途中から後半は殆ど自分たちがコントロールできたので、ハーフタイムにこちらが促して、自分たちで気づいてやれる力は十分にあるので、そこをもっともっと早い段階でグラウンドで自分たちで解決できるようになれば、もっともっといい選手になると思います。でも、後半のチャンスの数からすれば勝ちきれなきゃいけない試合だったと思います。ですが、今日も平均年齢は18.91歳で、初めてプロの選手をサブに置いて、ユースの選手をスタートに使いましたが、本当にユースの選手は素晴らしいプレーを見せてくれていると思っています。チームとしての力があがっていっているから、個人の力も上がっていっていると思うのでまた、続けて練習をやっていきたいです。

ー監督もおっしゃたように、前半は早い段階で先制されたこともあってか、守備陣が怖がってプレーいるように見えました。試合中その守備に対してどういう言葉をかけられたのか、あるいはハーフタイムを含めて守備に対してどんな修正をかけたのか、聞かせてください。

1箇所というわけではなくて、まずスタートのポジションのところで、相手が自分たちの背中にスタートポジションをとってくる、と。そうしたら人に引っ張られる。そうなると人に引っ張られた状態のまま「いかなきゃ」と思って自分たちが出ていって、ボールが中途半端なプレッシャーになると。今日の左サイドバックに入った西村翔はもともとセンターバックの選手で、DF高橋直也と二人のところで、センターバックがサイドバックをやるとテンポが難しくなるので…そこは僕の判断ミスもありますが、そこを言えば、全然理解して修正できたので。あそこで松田陸を含めて、西村を押し出せるようになれば…やっぱり最初は、相手の17番の池谷友喜が少しフリーな状態になって、それが気になって今度ワイドの高くて速い選手が今度はフリーになると。そこをハーフタイムに説明したら何事もなくやれたので。やっぱりうちの選手は走れるので、もっと走りっぷりをみせるくらいの…どうしても押し込まれると受け身になってしまうので、そこはいつも『点を取るための守備だ』っていうんですけど。でも今日の最初の20分は、ユースの選手にとってこれまでにない20分だったと思うので。J2に近い場所にいる讃岐を相手にして戦って、いい経験になったんじゃないかと思います。

ー前半20分の強度というか、若干、ズレたというような展開になってしまいましたが、ああいう基準を感じられたことは今後の練習につながっていくのか、ということが1点と、あと讃岐は今シーズン2点以上取られていないチーム。その相手に対して後半は、3点目が入ってもおかしくないくらいガンバの形で崩しましたが、その評価を聞かせてください。

最初のところは強度もそうですが、スタジアムの雰囲気がいつも以上に…テンションが、相手のサポーターの方も多くてテンションが高い部分があり、より受け身になったところはあるのかなと。ハーフタイムでは「このくらいでストレスがかかっているようではダービーだとか、埼玉スタジアムでは絶対に試合ができないからって話しましたが、それは経験として、僕らが目指しているガンバイズム、ガンバのスタイルからしたら…点を取られることはあると思うんです。もちろんゼロで行ったほうがいいですが、2点取られて、3点、4点返せるチャンスがあったけど、やっぱりあれを3−2、4−2、5−2で終われるようになるとガンバのスタイルというのはまだまだ蘇ってくると思うし、やっぱりそういうものを選手にはより強く求めたい。チャンスが全然なかったのならまだしも、あれだけいい形を作って…でも外し方は悪くはないので。また練習をしたいと思います。

ー前半相手の右サイドから押し込まれたところで、試合中に食野壮磨選手と川崎修平選手のポジションを変えました。そこは修正をされたのでしょうか。

それは守備もありますが、攻撃の部分で後半変えましたけど、彼らはどこでもやれるし、ボールの持ち方もそれぞれに違うから、ポジションを変えることで相手も嫌がるし、そこは彼らが力があるがゆえにできるところだなと。でも守備のところはもっと賢く…でもユースだとこういうことはないだろうから、初めての経験だったはずなので、いい経験になったと思います。

ーユースの選手を6人先発させました。今日の試合はU-23にとってどんな位置付けだったのか、また讃岐の戦う前のイメージと戦った後の印象を教えてください。

ユースの選手は、前回のホームでの藤枝戦もそうですし、ここにきて練習を1週間のうち3日くらいやれているので、そういう部分では彼らの力というか、それを僕自身もわかってきたので、練習をみているとこのくらいはやれるなと思っています。前回の試合でも言いましたが、うちのアカデミーにはものすごく力のある選手が…ここにいる選手以外にもたくさんいるので。それはガンバのアカデミーの強みというか、指導者の方が一生懸命、長い時間をかけてきたことでいい選手がこうして出て来ているんだと思うので。ここにいる以外にももっといい選手はたくさんいるんですけど…まあ、本人たちが夢だったのが、少しずつ近い場所になっているようには見受けます。練習を見ていても、俺らもやれるんだぞ、っていう意識が見えるので。これをやり続けていけば、たくさん、アカデミーの選手がたくさんトップチームの舞台に立つチャンスが出てくるんじゃないかと思います。讃岐に関しては、スタイルを構築していこうとやられていると思うし、上村健一くんが監督になって、そうやって、やっているのはわかったし、でも今日は、我那覇くんを使って来た時点で、前の試合、負けているところで勝負に来たなとは思いました。実際、そこで何度かポイントを作られました。うちの選手よりみんな5〜6キロ体重が重いので、その部分での難しさはあったと思いますけど、逆にうちの選手はよくやったと思います。

●DF山口竜弥

(前半の展開をみていて、自分が後半ピッチに立った中ではどういう変化を与えたいと思っていましたか?)自分の仕掛けとか、前への姿勢で勢いを与えたいなって思っていたし、自分が試合をひっくり返すという気持ちでピッチに立ちました。引き分けに終わりましたが、2点差から追いつけたというのは、素直に「追いつく力がついてきたんだな」っていうことは思いますし、逆にやればやるほど伸びるなっていうのも感じたので、これからだなって思います。個人的には怪我からの復帰戦だったんですけど、なかなか自分のイメージしているプレーができなくて…タッチとかも全然違って足にボールがついてこないみたいな感じでした。少し、縦のラインでかぶることも多かったですし…そこは今後の練習で修正していかなければいけないなと思いました。(ユースのメンバーも多くて、うまく意思疎通が図れなかった部分もあったのでしょうか?)いや、疎通というよりは自分のミスだと思うので、そこは僕が改善していけばいいなと思います。(それでも後半は左からチャンスを作る回数も多かった)そうですね。チャンスは多く作れたと思うんですけど、結果的に、数字には結びつかなかったので、結果が欲しいなっていうのはずっと意識しているところだし、そこがついてこなかったのは反省だなって思います。

●MF芝本蓮

(ゴールシーンを振り返って)あそこにいるっていうのは僕の中では今までなかったことで、でも意識していたことだったので、あそこにいれたことが良かったなと思います。(ビハインドを負っていた中でゴールへの意識が強かった)そうですね。立ち上がりで0−2になってしまって、僕だけじゃなくて全員だと思いますけど、「やらないと」っていう意識はあったので。0−2になったからこそみんなが前に、前にとより意識できたと思います。(立ち上がりは相手を受けてしまった。あの辺の守備の修正はどう考えますか?)さっき、試合が終わって仁志さん(森下監督)とも話し合ったんですけど、勢いに乗っているチームを受けてしまうのはしょうがないと。トップでも勢いのあるチームと対戦することは絶対にあるから、そこで僕らが「どうしたらいいの?」ってなるんじゃなくて、そこで相手を後ろ向きにさせたり、そこで一度ラインをあげるっていうことを割り切ってやらないと、っていうのは話していました。(持ち味の決定的なパスも何本かは通りました)前半も1本、壮磨(食野)に通れば、っていうパスもあったし、最後、彰人くん(高木)くんにもそういう「通れば」っていうパスがあったので、そこを通せる選手になりたいです。

●FW白井陽斗

シンプルに前半はキツかったです。前回の試合に比べて前にボールが入る回数も少なくて、相手もガツガツきていたので…前半の最初は相手にペースを握られて、なんとか前半の後半から盛り返したっていう展開で自分としては全然満足ができない内容でした。特に序盤は相手の攻撃を受けてしまって、それにどう対応していいのかわからないままプレーしていたことで受け身になってしまったんだと思います。攻撃も思うようにチャンスが作れずに…もっと裏に抜け出したりしていれば、相手のラインも下がっていたはずだし、そういうプレーで…相手のセンターバックとボランチの間に縦パスが入ったりもしていたので、もっとスプリント回数を自分が増やせばもっと攻められたのかなって思います。(白井選手は途中で交代になりましたがチームとしては追いつけた)そうですね。前回の試合も僕が交代してから面白い展開になっているので、思うところはありますけど、でも自分が出ている時間帯で相手を疲れさせたところもあったと思うので、そこはあまりネガティブに捉えずにプラスに考えられたらなって思っています。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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