野口五郎氏のガチ発明家ぶりについて
「野口五郎、ライブ動画配信システムを開発して特許を取得」という記事を読みました。「コンサート動画をQRコードを利用してスマホなどで閲覧できるサービスで、野口のほか、DREAMS COME TRUEなどが採用したことがあるという。」ということです。
野口五郎氏の本名「佐藤靖」を権利者とする特許を特許情報プラットフォームで検索すると、今までに少なくとも7件の特許を出願し、うち4件の登録に成功していることがわかりました。芸能人としてはかなり精力的な発明家と言えます。当然ですが弁理士の代理人を付けてきっちりとした出願書類となっています。
登録された4件は、特許6192178号「チケット販売システムおよびプレゼントコンテンツ配信システム」、特許6032997号「コンテンツ配信システムおよびコンテンツ配信方法」、特許6091357号「コンテンツ配信システム、コンテンツ配信方法、コンテンツ配信装置およびコンピュータプログラム」、特許4859882号「コンテンツ配信システムおよびコンテンツ配信方法」です。
何か既視感があると思ったら、4件目(特許4859882号)については、自分の事務所のブログで2014年に書いていました。冒頭で引用した記事中で触れられている特許もおそらくはこれだと思われます。
この発明のポイントは、コンサートの来場者にQRコードを印刷したカードを配布し、スマホのアプリで読み取ることでそのライブ映像をダウンロード提供し、スマホの個体識別番号をチェックして一度ダウンロードされると別のスマホからはダウンロードできなくなるようにすることで、無制限のコピーを防ぐことにあります。
権利範囲を表わす請求項1の内容は、以下のようになっています。
一般に長い請求項は限定が多いということなので権利範囲が狭いですが、この請求項についてはわりと当たり前のことしか書いてないので、他者が回避しようと思うとちょっとやっかいかもしれません。