大学生が気付けないインターンのワナ~志望企業全滅には理由がある
◆インターン組と不参加・出遅れ組で格差生まれた21卒就活
7月5日に21卒就活の状況をまとめた記事を出したところ、ヤフトピ入り。
2020年7月5日公開 コロナで売り手市場から一変 就活は長期化、インターン組と出遅れ組の格差社会へ【#コロナとどう暮らす】
様々なご感想をいただくなかで「22卒についても知りたい」とのリクエストをいただきましたので、今回はその22卒就活の序盤戦となるインターンシップ(以下、インターンと略)についてです。
21卒はインターン組と出遅れ組(インターン不参加)で大きく差の付く年次となりました。
この状況をキャリアアドバイザーで『「PRするネタがない」と悩んでいる人のためのすごい自己PR作成術』などの著書もある阿部淳一郎さんはこう説明します。
今年2021年卒就活は例年以上に、格差が生まれる結果となりました。
具体的にはインターンシップに参加し、早期に就活を始めた学生はコロナショックの影響をそれほど受けず、4月までに内々定を得ています。
一方、3月の広報解禁以降に就活を始めようとしていた学生は、去年までであればそれでも間に合っていました。
しかし、3月以降、今年はコロナショックで合同説明会が軒並み中止。
WEBを活用した採用活動に移行した企業も多かったにせよ、3月以降開始組はどうしたらいいかわからない学生も多く、右往左往する、という結果になってしまっています。
インターンに参加した学生は早々に内々定を得て就活が終了。一方、不参加だと、コロナショックの影響もあり予想外の長期化と、格差が生じました。
この上の学年の状況を見て3年生がインターン参加を決めるのは自然な流れ、と言えるでしょう。
◆インターン不参加は学生の自己責任?
なぜ、21卒の出遅れ組がインターンに参加しなかったのか、それは自己責任ではないか、と3年生から質問されたことがあります。
インターンから早期選考につながる、という話、ちょっと調べれば出てくるはず。
そのインターンに参加せずに、就活で出遅れるのは、要するに自己責任。
僕(私)はインターンには夏から参加しようと思っています。だから就活は大丈夫ですよね?
3年生からすれば、インターンに参加しなかったのは情報収集不足だった4年生の自己責任、と考えるのでしょう。
では、3年生がインターンに参加すれば、就活は安泰か、と言えばそうとは限りません。
それどころか、インターンに参加するつもりでも結果的には現4年生と同じく、インターン不参加となり、大きく出遅れる可能性すらあるのです。
これが学生の気付かない(あるいは、気付けない)インターンのワナなのです。
◆インターンの定義「就業体験」がそもそものワナ
では、ここでインターンの定義についておさらいを。
と、言うと、現3年生は「何を今さら」と思うかもしれませんが、まあ、もうちょっとだけお付き合いください。
インターンの定義?いや、就業体験でしょ?職場に行くとか、仕事を体験するとか
そう答える学生は、インターンのワナにはまっています。つまり、就活に出遅れて苦労している4年生のようになりたくない、と思いつつ、同じ轍を踏もうとしているのです。
政府(文部科学省・厚生労働省・経済産業省)は「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」(2015年12月10日改正)の中でこう記しています。
大学等におけるインターンシップ(以下、「インターンシップ」という。)とは、一般的には、学生が企業等において実習・研修的な就業体験をする制度のことであるが、インターンシップが活発に行われているアメリカにおいては、大学のイニシアチブの有無、実施期間、実施形態等によってインターンシップと称するかどうかを区分する場合もあるとされている。
一方、我が国においては、インターンシップについては、「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」として幅広くとらえられている。
この政府の定義は、就活本でも基本的には同じです。
インターンシップは一般的に「在学中の学生が自分の専攻や将来のキャリアに関連した就業体験を一定期間行うこと」と定義されている。
※『やりがいのある仕事を見つける! インターンシップ活用術』(ETICインターンシップサポートセンター編著、日経事業出版社、1998年)
インターンシップとは、学生が企業に体験入社することです。「社会人生活の前倒し」と言えるかもしれません。
※『インターンシップで志望の業界・職種に内定する方法』(太田智文、東洋経済新報社、2009年)
インターンシップとは、広く大学生が行う「就業体験」のことをいいます。
※『学生のためのワークルール入門』(道幸哲也・淺野高宏・NPO法人職場の権利教育ネットワーク編著、2018年)
インターンシップは、もともと「就業体験」と訳されていたとおり、学生のうちに実際の仕事現場で働く経験をすることです。(中略)ただ、実際のインターンシップには、本当に就業体験を提供するものから、本音として採用をめざしたものまで種々雑多です。
※『就職四季報 企業研究・インターンシップ版 2019年版』(東洋経済新報社・編、東洋経済新報社、2017年)/2020年6月刊行の『2022年版』も同じ記述
◆意外と多いインターンの種類
先ほど挙げた国・政府の定義と4冊の本の中では『就職四季報 企業研究・インターンシップ版』が一番正確です。
同書はインターンの種類と構成要素をまとめています。
それによると、
会社説明会型…会社・業界セミナー/施設・職場見学/座談会・懇親会
プロジェクト型…グループディスカッション(GD)方式/コンテスト方式
仕事体験型…見学・同行方式/実践方式(文系)/実践方式(理系)/実践方式(ベンチャー)/実践方式(報酬型)
その他…コラボ型/合宿型/選考直結型
と、13種も挙げています。
詳しい内容は同書に譲りますが、では、同書がインターンについて、もっとも正確な情報を提供しているか、と言えばそうではありません。
一番詳しい『就職四季報 企業研究・インターンシップ版』をもってしても、実施企業が多いはずの種類が抜け落ちているのです。
それが就活支援型です。
◆就活支援型のインターンって何?
就活支援型のインターンとは、模擬面接や模擬グループディスカッション、適性検査受検など大学キャリアセンターのガイダンスでやっていてもおかしくない内容です。
付言すると、この就活支援型は、会社説明などは入れる企業もあれば、入れない企業もあります。どちらかと言えば後者の方が多め。
しかも、実施企業は人材業界だけではありません。商社、メーカー、小売・流通など、各業界の企業が幅広く実施しています。
言うまでもなく、実施期間はそのほとんどが1日で終わります。
この就活支援型、大阪本社の機械系商社である日伝が2010年に開始しました。2022卒についても実施、リクナビ等に掲載されています。
同社が就活支援型のインターン(日伝は「スタートセミナー」と呼称)を始めた2010年より前だと、いわゆる無名企業でした。
就職人気ランキングでは本社所在地の関西圏に限定しても常に圏外だったのです。
それがこの就活支援型を実施すると人気が上昇。2013年には日経就職ナビ(現・キャリタスナビ)の就職人気ランキング(関西)で22位にまで上昇。
2020年現在、関西の大学キャリアセンター職員で日伝とそのセミナーを知らない人はいない、と言われるほど、評価されています。
この日伝が始めて成功した就活支援型は関西企業だけでなく全国の企業に広まり、現在に至っています。
就活支援型のインターンがどれくらいの割合を占めるのか、就職情報会社の調査では不明瞭です。
ただ、実施期間と学生の参加期間から、ある程度は推量できます。
リクルートキャリア・就職みらい研究所の「就職白書2020」(回答学生数3827人、採用担当者数1199人)によると、2019年度のインターンの実施期間について、1日と回答した企業は61.1%、学生(2020年卒)は70.4%と他の期間(2位は企業・学生とも「3日以上1週間未満」で企業18.8%、学生32.0%)を圧倒しています。
しかも、同じ調査を2016年度(学生は2017年卒)と比較した場合、企業は「2016年度39.6%→2020年度61.1%」、学生は「2017年卒57.7%→2020年卒70.4%」と、それぞれ増加しています。
就活支援型の実施期間はそのほとんどが1日です。
この調査だけでなく、現在公開中のインターンサイトでも確認しました。
就活支援型はリクナビ、マイナビなどの2022年卒向けインターンサイトにも掲載されており、「模擬面接」「面接体験」「グループディスカッション」などと検索すれば、日伝だけでなく多くの企業がヒットします。
私が本記事を書く際、リクナビ2022のフリーワード検索で調査したところ、「模擬面接」77社、「面接体験」30社、「グループディスカッション」422社も出ました。
リクルートキャリアの調査、そしてリクナビの検索結果から考えますと、就活支援型のインターンは相当数ある、と推量できます。
◆大学・就職情報会社・就活本が教えない裏事情
私が大学等でインターンについて講演する際、「インターンは就業体験だけでなく様々な種類がある」「就活支援型と言って、模擬面接などをするものもある」と話すと、学生からはそれはそれは驚かれます。
「就活支援型というインターンがあるなんて、初めて知りました」
「そんな都合のいい話って本当にあるんですか?参加すると、本選考も受けろ、と強要されるとか裏がありそう」
などなど。当然ですが、就活支援型のインターンを実施している企業が本選考参加を強要することはありません。
「インターンに参加するだけでも十分です」(福祉)
「模擬面接とそのフィードバックだけで終わる、と事前に告知しているのですが、参加学生からは驚かれます。むしろ、『え?本当に企業説明はないのですか?』と聞かれます」(小売)
「うちは就活支援型について、若手社員育成も兼ねています。なので、本選考につながるかどうかは別問題です。それに、結果的には就活支援型のインターンに参加した学生の半数は企業説明のセミナーや本選考にも参加してくれています」(商社)
では、なぜ、この就活支援型のインターンが学生の間で知られていないのでしょうか。
その理由は、大学・就職情報会社・関連本出版社のそれぞれの都合、そして、学生が高校以前に受けたキャリア教育の弊害が複雑に絡み合っているからです。
まず、大学について。
・理由1:大学・学部で長期間のインターンをカリキュラムに組み込んでいる。下手に就活支援型などを勧めて、カリキュラムのものに参加しないと困る。
・理由2:就活支援型で採用担当者が話す内容は大学キャリアセンターの指導方針と大きく異なる。指導方針を学生に無視されるのは困る、というか迷惑。
・理由3:キャリアセンター職員ないし管理職クラスは、就活支援型のメリットはよく理解している。が、大学経営幹部が文部科学省とのつながりもあって「インターン=就業体験」しか認めない。上層部・上司の言い分は無視できないので…
などが挙げられます。理由1の大学は実学重視の大学・学部が当てはまります。単位認定にはならないインターンだと、連携できる企業を探すのも大変です。苦労して探した企業とあれやこれや内容を練っても、学生が参加しなければ意味がありません。そのため、就活支援型の告知などもってのほか、となります。
理由2に当てはまる大学は、キャリアセンターの管理職クラスが自身の指導を過信しているところが多いようです。私が取材した限りでは都市部の大学よりも地方大学に多い印象があります。都市部であれ、地方であれ、良心的な大学キャリアセンター職員だと、指導方針と違っていても、「様々な意見を知ることが大事」「新しい情報を仕入れて翌年以降の方針変更に使う」などなど、柔軟な対応ができます。が、そうでない大学だと、「就活支援型など、うちの方針に反する敵みたいなもの」と、攻撃的ですらあります。それって狭量にもほどがあるような気もしますが、本稿では深くは追及しません。
理由3は国公立大によくあるパターンです。
次に、就職情報会社・出版社について。
・理由1:就活支援型を認めると「就活の早期化を助長するのか」「マッチポンプだ」などと批判される(就職情報会社)
・理由2:就活支援型のインターンを取材していないので、存在を知らない(出版社)
・理由3:インターンの理想像があり、そこから外れた就活支援型は認めたくない(出版社)
・理由4:大学の事情を忖度した(出版社・就職情報会社)
理由1は無理ないところ。理由2は、深く追求すると私が出版業界で無用の敵を作ることになるのであまり深入りはしません。理由3も同じ(個人的には現実を無視して理想像を学生に押し付けるのはいかがなものか、と思いますが、それはさておき)。
理由4については一番大きいところではないでしょうか。就職情報会社も就活本の出版社も大学の就職ガイダンスなどに講師派遣をする立場にあります。大学の機嫌を損ねて講師派遣の機会を逃すのはビジネスの上で大きなマイナスとなります。
付言すると、私は私で大学の就職ガイダンスなどで講演する機会をいただくことはあります。が、それはジャーナリスト、という私の立場を理解したうえで大学の指導方針とは別でも構わない、様々な意見を学生にも知らせたい、という前提によるものです。実際に講演では私も取材結果に基づく内容を忖度することなく話すようにしています。
そうした姿勢が災いしてか、「石渡は呼ばない」「石渡さんを講演に呼びたいが上司が反対して潰れた」などの大学が結構あります。が、私は講演で呼ばれないことを恐れて事実を曲げるくらいならジャーナリストの看板を下ろした方がまし、と考えています。
◆「夢こそ大事」が総合職就活のジャマをする
話を就活支援型のインターンが学生に知られていない背景について戻します。
大学のすべてが就活支援型のインターン告知に消極的、というわけではありません。
首都圏・関西圏を中心として、就活の最新事情を常に勉強している大学では、就職支援型のインターンについてもガイダンス等で学生に説明をしています。
そうした大学からは就活支援型のインターンに参加する学生が告知に消極的な大学よりは多くなります。が、告知をしても学生の方で不参加を決めてしまうことも良くあります。
就活支援型のインターンについても学生に情報提供をしている大学職員はこうこぼします。
夏のインターンは志望業界・企業を無理に決めなくても、広く浅く受ける、という手だってある。が、そういう話をしても、響かない学生にはとことん響かない。志望業界・企業にこだわりすぎ、結果としてインターンに不参加、ということだってよくある。
別の大学職員は志望企業全滅のリスクすら指摘しています。
学生は勉強やサークル、アルバイトなど学生らしい生活を送るのが第一。インターンを煽る気はない。ただ、志望業界・企業にこだわりすぎて、就活支援型を含めたインターンに参加しない学生は問題が多い。結果として志望業界・企業に入りたい、という思い込みが先行しすぎてしまうからだ。その結果、志望企業の選考に参加しても軒並み不通過。つまり、志望企業全滅となり、結果として就活が長期化して疲弊してしまうリスクすらある。
なぜ、学生は理系・文系問わず、志望業界・企業にこだわりすぎる学生が多いのでしょうか。
その理由は、学生が高校以前に受けたキャリア教育の弊害によるものです。
2000年代に入ってから、小中高でキャリア教育が導入されました。その主な内容は夢の実現についてです。「夢を見つけましょう、夢の実現のための学校を選びましょう」というお題目により、夢の実現が強調されるようになりました。
キャリア教育とは無関係ですが、本記事を執筆した7月12日の朝日新聞朝刊にピアニストの辻井伸行さんインタビューが掲載され、こんな一文がありました。
僕が好きなことをやらせてもらったように、みなさんもとにかく好きなことを見つけて、気分転換もしながら夢に向かってほしいですね。いろいろなことに挑戦したらいいと思います。
※朝日新聞2020年7月12日朝刊「10代の君へ 好きなこと夢につないで ピアニスト 辻井伸行さん」
辻井さんのこのコメントが小中高で展開されているキャリア教育の「夢、実現」をよく表している、と言えます。
私は「夢なんてくだらない」と全否定するものではありません。
夢に向かって頑張っていく、それは人生の在り方の一つです。
一方、10代のうちに夢や目標がはっきりしないまま、大学に進学する、それも私は人生の在り方の一つ、と考えます。
大学に入ってから将来設計を考える、あるいは就活中に決めていく、というのもいいでしょう。
早いうちに夢を見つけ、夢に向かって頑張っていくのは、ピアニストやスポーツ選手など専門職に向いています。一方、企業や公務員に就職する、いわゆる、総合職だと、夢がどうこう、というのはあまり関係ありません。
が、総合職志向の学生であっても、小中高に受けたキャリア教育は頭の片隅に残っています。
それが「インターンに参加するなら志望業界・企業のものでないと」と思い込んでしまうのです。この思い込みによって就活支援型のインターンなど眼中に入らず、こだわりすぎる。結果として、前記の大学職員が指摘したように志望企業全滅、という悲劇が量産されることになるのです。
◆志望業界を決められても企業はどうでもいい
では、企業は早めに志望業界・志望企業を決めた学生を評価するのでしょうか。
実際には全くそんなことはない、とこれまでの取材結果から断言できます。
企業からすれば、欲しい人材かどうかが全てです。その企業製品・サービスのファンであるかどうか、志望企業かどうか、というのは評価のしようがありません。
ところが、学生はそうした企業の姿勢にきづかないまま、インターンシップ選考に突入します。
その結果、志望業界・企業のインターンには参加しますが、選考落ちだとそれ以上の行動をしようとはしません。
マイナビ大学生インターンシップ調査(2019年度/回答学生数5247人)によると、「インターンシップに応募したが参加しなかった」理由の最多は「選考に落ちた」(75.0%/2位は「日にちが合わなかった」39.3%)。「インターンシップに応募しなかった」理由の最多は「応募したかったが、行けるかわからないので応募しなかった」(42.6%/2位は「応募したかったが、企業が見つけられなかったので応募しなかった」24.3%)となっています。
この調査結果から、学生がインターンで志望業界・企業にこだわり、結果としてインターン参加の機会を逃していることがよく分かります。
◆コロナショックで夏インターンは縮小傾向に
そもそもコロナショック以前から企業は3年生夏のインターン実施に懐疑的な企業が増えていました。
7・8月に実施しても、学生はゼミ合宿やアルバイト、旅行などに忙しい。そこに無理にインターン実施を決めても、日程調整が難しい(機械メーカー)
夏休み時期にインターンを実施して、問題はそのあと。1月スタートの早期選考だったとしても、インターンを7・8月に実施すると、4か月もの空白期間がある。それだけ長いと、学生をつなぎとめるのは難しい(流通)
夏インターンに積極的な意義を見出せない企業は、秋・冬のインターンに力を入れて、そこから採用につなげよう、と考えます。
しかも、コロナショックにより、状況は大きく変わりました。
夏インターンの実施を考えていた企業であっても「社員もしくは参加学生に感染したら」というリスクを考えなければならないからです。
夏に実施予定だったが方針転換してやめた。感染リスクを考えると対面式は怖くてできない。だからと言って、対面式で実施予定だった内容をオンラインでやるのも難しい(小売)
いくら感染対策をしても、インターン終了後に学生が懇親会と言って居酒屋などに行き、そこで感染することだってあり得る。時間外とは言え、社会的責任は追及されるだろう。それを考えると対面式のインターン実施は困難(商社)
企業がリスクを忌避するのは当然です。
が、このリスク回避策をわかっていない3年生は夏インターンへの参加意欲が例年以上に高くなっています。ただでさえ椅子が少ないところにさらに椅子を減らした椅子取りゲームのようなもの、これが今年の夏インターンの状況です。
そして、椅子取りに敗れた学生は就活支援型の存在に気づかず、不参加だと…、結局は現4年生の出遅れ組と同じく、就活で不利な状況に陥ってしまうのです。
◆ウェブセミナー・相談会やイベントは増加傾向に
一方、コロナショックの影響でオンラインセミナー・面接が一気に普及しました。
そのため、夏インターンは実施せず、代わりに、オンラインセミナーや相談会を開催する企業が今年は相当数、増えそうです。
IT企業のユーザックシステムの採用担当者である樋野文人さんは、他社の採用担当者と連携して、8月下旬(または9月上旬)から、月1回程度、「会社訪問体験セミナー」と銘打ったオンラインセミナー・相談会を開催する予定、と話します。
1社単独よりも複数の採用担当者と連携して相談会や模擬グループディスカッション、業界研究などの機会を就活生に提供する予定です。連携する企業はアパレル、物流、食品など業界はバラバラです。オンラインでの展開は感染リスク対策と、様々な地方からご参加いただくためです。7月27日にイベントのテスト版を実施予定ですが、ご参加いただく学生は東京、関西、九州などバラバラです。
こうしたオンラインのセミナー・相談会は企業・採用担当者の主催だけではありません。
甲南大学などでキャリア講義を担当するキャリアコンサルタントの本田勝裕さんは毎週木曜19時30分~21時に「木曜ポンタキャリア作戦ゼミ」と題する相談会を実施。
https://forms.gle/4ScZzRfnmuNt1LVV9
参加学生は私がキャリア講義を担当している甲南大生が多く、桜美林大、学習院女子大など他大生も参加しています。社会人は私以外に採用担当者など複数が参加。学生の悩みに答えを出すというのではなく、学生・社会人双方が一緒に考えて語り合う、そんな場所になることを目指しています(本田勝裕さん)
鹿児島大の4年生が中心となって運営している就活プロジェクト・PFFは5月から毎週水曜20時~22時にセミナー・相談会を開催。
社会人講師による時事問題解説や採用担当者による業界説明、あるいはエントリーシート添削など毎週、様々なプログラムを展開しています。参加学生は鹿児島大生ですが他大学・他地域からの参加も歓迎します(PFF代表・鹿児島大理学部4年・北里光智さん)
※参加希望者はメール(kagoshima.pff2021@gmail.com)かTwitter(@pffproject2021)に連絡
なお、私も月2回程度、「勝手にキャリア講義」と題するオンラインセミナー・相談会を主宰しています。
採用担当者をゲストに迎え、前半はそのゲストによる業界事情・企業説明などの講演が中心。後半は学生からの質疑応答です。すでに3回実施しており、4回目は20日(月)に開催予定です。
他にも、就活関連のオンラインセミナー・相談会は多数開催されています。
大学3年生(あるいは1・2年生も)は夏休みに無理にインターンに参加しなくても、こうしたオンラインセミナー・相談会に参加してみてはどうでしょうか。
インターンであっても、志望業界・企業にこだわらず、就活支援型も含めて参加してみてください。
そうすれば、視野が広がり、意外な優良企業が見つかるかもしれません。あるいは就活のノウハウが身に付いていくかもしれません。
その逆に、インターンにこだわりすぎる、特に就活支援型を軽視してしまうと、志望企業全滅の遠因にもなりかねないことをここに指摘する次第です。