麻生氏ナチ発言本当に問題?
麻生副総理は、空気の読めない大臣たちと一緒なのか?
かつて、空気の読めない大臣たちが、失言で続々と辞職に追い込まれてきた。しかし、今回の麻生さんの「ナチスに見習ったら…」発言は、本当に問題的な発言なのだろうか?
「ワイマール憲法という当時ヨーロッパで最も進んだ憲法下にあって、ヒトラーが出てきたんですから。常に憲法は良くても、そういったことはありうるということですよ」
「ワイマール憲法もいつの間にかナチス憲法に変わっていた。あの手口を学んだらどうかね。(国民が)騒がないで、納得して変わっている。喧騒けんそうの中で決めないでほしい」
与党の副総理からの改憲への警鐘
この発言は、いろんな示唆に富んでいる
憲法を変えようとしている与党の副総理の言葉だ。
どれだけいい憲法が登場してきても、時の政権と国民の世論が納得するとナチス・ドイツを生んでしまったことを警鐘している。
憲法を改憲しても、時の政権と国民の世論が納得すると日本でもナチス・ドイツを生んでしまうかもしれないというアンチ・テーゼ的にも、読み取ることができる。
衆・参、自公連立により、法律が通り放題に近い状況だからこそ、麻生副総理の自重を伴う発言は、非常に意味があったと思う。
むしろ、党内からこそ問題が起きるべき発言だった。
しかも、この発言は、櫻井よしこさんが理事の国家基本問題研究所というシンクタンクの特別な場での場であったから、レトリックも専門的でよかったはずだ
国際問題化のためのスクープ記事
一番の問題は、メディアのスクープとしての取り上げ方だろう。
国際問題化しそうなところだけを抜き出している悪意が汲み取れる。
「ナチスの手口学んだら…憲法改正で麻生氏講演」(読売新聞ウェブ版、30日配信)
http://gyazo.com/9493cc8a82f86f31b15b5b69d0ec4cd2
しかし、その後、タイトルを変えている、自浄能力があるところがすごい。
改憲「狂騒、狂乱の中で決めるな」…麻生副総理
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130730-OYT1T00050.htm
国際問題として取り上げられているからか、タイトルが一変している。しかも変更した記述はどこにもなし。
※しかし、Googleの検索は過去の発言タイトルを記憶していた。
読売新聞の作為的な取り上げ方が、議論を醸しだしたのだから、最後まで、タイトルの責任を取るべきだろう。ウェブでタイトルを変えるというのは恣意的であるといわざるをえない。記事の証拠隠滅にも近い。しかし、検索エンジンの履歴はそうはいかない。
橋下市長の「慰安婦発言」もそうだが、現代のメディアの報道体質そのものがネガティブで非常に陰湿である。真実の報道というよりも、重箱のスミをつっこんでいるゴシップ週刊誌レベルなのである。
スキャンダルであればあるほど、ビュー数や話題を稼げるが、そんな話は土屋アンナさんにまかせておけばいい。
むしろ、報道しておいて国際問題になり、さらに国際問題だと、報道し直すという図々しさに参ってしまう。
国際化問題に弱すぎる日本人
クレームは、ユダヤ人人権団体と韓国と中国と他にどこだろう?
どれだけ抗議が来たら、それは国際問題となるのだろうか?
むしろ、日本人は、国際問題に、なぜこれほどまでにシビアなんだろう。国内問題よりも、国際問題となると大騒ぎをはじめる。国内における影響度は低いにも関わらず。
これはきっと、儒教の精神でいうとところの「人様にご迷惑をおかけしない」という、謙虚ないい心がけだからだろう。
日本は国際問題に非常に敏感な国だ。アメリカ、フランス、北朝鮮などは、国際問題化されてもまったくをもって気にしない(笑)ナチスよりも、むしろ彼らの鈍感力を学ぶべきだ。
そういう意味では、日本人は謙虚すぎて、国際問題の責任は?辞任は?という議論になる。そして国会の時間も無駄に使われる。
むしろ、ゴシップ記事で、その結果一番失われているのは、国益だ。
このインターネット時代、密室の発言やここだけの話が、世界に通じている時代だからこそ、報道すべき価値を本当に熟考すべきだろう。