正しい金利計算が出来る中高生は半分以下
日常生活の上で欠かせないお金のやり取り。そのお金にまつわる常識やルールを知らなければ、他人とのやりとりで痛い目に会うかもしれないし、場合によっては社会生活を営むことすら困難になる。今回は金融広報中央委員会「知るぽると」が小学生から高校生に対して行った「子どものくらしとお金に関する調査」の最新データから、中高生への金融の問題の正解率を見ていくことにする。中高生はお金に関する常識、ルールをどこまで知っているのだろうか。
企業の資金調達の仕組みの基本「株式や債券」の発行に関する問題、銀行の収益源となる「預金者からのお金を企業に貸し出している」などの設問の回答率が案外低い。中高生にはあまりなじみの無い世界の話であることから、学校や保護者も教えること自体、後回しにしているのかもしれない。
とはいえ、社会の仕組みを知る上では欠かせない知識であり、その仕組みを知っておけば世間一般の世の中の動きへの理解も容易になる。基本であればこそ、早期に、それこそ今件の調査対象母集団である中高生のうちに修得しておくことが望ましい。
また、「年利2%で100円を1年預けると利子は2円」という単純な利子の計算の設問で中学生では4割未満、高校生でも5割未満しか正解者がいないのは、衝撃的な結果といえる。複利計算、しかも具体的な計算結果では無く概念レベルの話になると正解率は中学生で3割足らず、高校生でも1/3程度でしかない。
ただし今件は正解か否かのみしか判断できないデータであることから、利子の計算方法を間違って覚えているのではなく、計算方法そのものが分からない、さらには「利子」そのものを知らない可能性もある(利子計算部分の実データを見る限りでは、設問の正否を判断できずに「分からない」と回答する事例が半数前後に及んでいることから、これが裏付けられる)。昨今の超低金利時代を過ごしてきた彼ら・彼女らにしてみれば、銀行にお金を預けるだけで(わずかずつだが)増えていくこと自体、見知らぬ事実という場合もありうる。
これらの知識は社会系の教科で教えられることが多いが、専門教科は(商業系の専門学校や大学でもなければ)存在せず、学校側でも「すでに家庭で教わって知っているだろうから」と、あっさりと流されてしまうことが多い。一方家庭でもこれらのお金の知識について、過不足無く教えているかは、はなはだ疑問。
世の中がお金で回っている以上、お金に関する知識を概念的なものでよいので身につけておけば、後々道を踏み誤るリスクは格段に少なくなる。それだけに、教育カリキュラムに金銭感覚を習得できるような知識、ノウハウを修得できる時間を組み込むことは、最重要課題といえよう。
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