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【獣医師の要望】男性の体臭の苦言で炎上 飼い主が気をつけるべき3つの理由とは?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
イメージ写真(写真:アフロ)

フリーアナウンサーが「夏場の男性の匂いや不摂生してる方特有の体臭が苦手すぎる」などと投稿し、契約解除をされたことなどがSNS上で炎上しているとABEMA TIMESが伝えています。

夏場は汗をかきやすく、体臭のケアに悩むことが多いです。今回は、飼い主が体臭のケアをするとき、ペットに対して気をつけるべきポイントを見ていきましょう。

飼い主は無香料・無着色のものを使って

ABRMA TIMESの記事によりますと、「(人間の)体臭の主な原因は汗であり、不快に思われるかは、“汗の量”と“臭いを充満させる形になっているかどうか”がカギだ」と伝えています。

今年も猛暑が続いており、汗をかくことができる人間(犬や猫は肉球などにしか汗腺がありません)にとって、体臭が問題になりやすい季節です。そんなとき、こまめに洗濯することや、シャワーを浴びる、お風呂に入ることは、犬や猫にとっては問題がありません。

しかし、その際にどうしても香り付きの製品を選びがちです。

ミント、森林、フローラル、バラなどの香りが入った洗剤やシャンプーが多く販売されています。香り付きの製品を使うことで体臭が軽減されると思い、選びたくなる気持ちは理解できますが、犬や猫を飼っている方は、洗剤、シャンプー、コスメを購入する際に彼らのことを考えて、無香料・無着色のものを選ぶことをお勧めします。

なぜ犬や猫には無香料・無着色がいいのかーその理由3つ

人間の体臭ケアが注目される夏場において、飼い主が使用する洗剤、シャンプー、芳香剤などが、犬や猫の健康に影響を及ぼすリスクがあります。

1、完全室内飼い

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昔は犬を庭につないで飼ったり、猫を外に出して飼ったりすることが一般的でしたが、現在は猫は完全室内飼いが主流で、犬も散歩に行くものの、室内で飼われることが多くなっています。

そのため、飼い主が使用する日用品の香りを犬や猫が嗅いだり、飼い主の皮膚を舐めたりする機会が増えています。これにより、香料などの人工的な物質が経鼻や経口で体内に取り込まれる可能性があります。

室内に多量の人工的な物質が存在する場合、それらを体内で代謝する必要性が生じるのです。

2、犬や猫はグルーミングをする動物

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犬も自分の被毛を舐める行為であるグルーミングをしますが、猫は犬よりもさらに丹念にグルーミングを行います。これは、猫が本来、単独で狩りをする動物であり、自身にニオイがついていると不利になるためです。

グルーミングの際に、人工的に作られた香料や色素が被毛についていると、それを舐めることで体内に取り込んでしまう可能性があります。

3、タウリンは猫の必須アミノ酸

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人間の必須アミノ酸※は9種類、犬は10種類、猫は11種類です。犬の必須アミノ酸は人の必須アミノ酸9種類にアルギニンを加えたもの、猫の必須アミノ酸はそれにさらにタウリンを加えたものです。

猫にとってタウリンは重要な必須アミノ酸であり、「タウリン欠乏症」になると、目や心臓に疾患を引き起こすリスクがあります。具体的には、視力の低下や心筋症を引き起こす可能性があるのです。

そんなタウリンは解毒作用の働きをしています。体内に入るアルコールや薬、食品添加物、化学物質、そして体内で生成されるアンモニアなどを分解して無毒化する役割を果たしています。無毒化された物質は尿や便として体外に排出されます。

猫にとって必須のタウリンが解毒作用に多く使われると、「タウリン欠乏症」になるリスクが高まる可能性があります。

※必須アミノ酸とは、タンパク質を構成するアミノ酸のうち、その動物の体内で十分な量を合成できず、栄養分として摂取する必要があるものを指します。

まとめ

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現代の生活では、ニオイに敏感になっており、清潔に保つことが重要視されています。

しかし、それと同時に香料を含んだ製品も多く販売されています。

犬や猫は今や家族の一員であり、飼い主がどのような日用品を選ぶかによって、病気のリスクが高まることがあります。

飼い主は良い香りを求めるよりも、無臭が一番だと考え、そのような製品を日常生活で選んでくださいね。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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