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羽生九段A級残留を占う大一番――第79期順位戦A級7回戦、羽生善治九段-稲葉陽八段戦展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
今期順位戦では苦戦を強いられている羽生善治九段(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 渡辺明名人(36)への挑戦権を争う第79期順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)A級は現在7回戦が進行中。1月21日には7回戦最後となる残留争いの大一番、2勝4敗同士の羽生善治九段(50)-稲葉陽八段(32)戦が東京都渋谷区「将棋会館」で行われる。

 この一局に敗れた方はリーグ参加者全10人のうち下位2人の降級圏内に入る。最近の両者の調子とデータを基に勝敗と展開を予想してみた。

調子はほぼ互角

<順位戦A級成績>(丸数字は現時点の成績順。段位のあとの数字はリーグ順位)

①斎藤慎太郎八段(10)6勝1敗

②豊島将之竜王(1)5勝2敗

③広瀬章人八段(2)5勝2敗

④佐藤天彦九段(4)4勝3敗

⑤佐藤康光九段(3)3勝4敗

⑥糸谷哲郎八段(6)3勝4敗

⑦菅井竜也八段(9)3勝4敗

⑧羽生善治九段(5)2勝4敗

⑨稲葉陽八段(8)2勝4敗

⑩三浦弘行九段(7)1勝6敗

<羽生九段の最近10局>

11月17日 王将戦リーグ

対木村一基九段 ○

11月20日 王将戦リーグ

対豊島将之竜王 ●

11月23日 順位戦A級

対佐藤康光九段 ○

11月26、27日 竜王戦七番勝負第4局

対豊島竜王 ●

12月5、6日 竜王戦七番勝負第5局

対豊島竜王 ●

12月10日 朝日杯将棋オープン戦2次予選

対八代弥七段 ○

12月10日 朝日杯将棋オープン戦2次予選

対野月浩貴八段 ●

12月22日 ヒューリック杯棋聖戦2次予選

対高見泰地七段 ○

12月25日 順位戦A級

対豊島竜王 ●

1月15日 竜王戦1組

対佐々木勇気七段 ○

<稲葉八段の最近10局>(放映前のテレビ対局を除く)

10月19日 順位戦A級

対佐藤天彦九段 ○

11月5日 叡王戦予選

対東和男八段 ○

11月5日 叡王戦予選

対中田功八段 ○

11月9日 NHK杯本戦

対渡辺大夢五段 ○

11月18日 順位戦A級

対菅井竜也八段 ●

11月27日 王位戦予選

対出口若武四段 ○

12月3日 順位戦A級

対広瀬章人八段 ●

12月7日 朝日杯将棋オープン2次予選

対大石直嗣七段 ●

12月17日 王位戦予選

対池永天志四段 ●

12月29日 竜王戦1組

対佐藤天彦九段 ○

 順位戦A級の残留争いは混戦模様だ。羽生九段は本局に勝てば6番手に浮上、稲葉八段も勝てば7番手となるがどちらも安心はできない。

 両者の最近の成績は羽生九段5勝5敗、稲葉八段6勝4敗、ともに直近の竜王戦1組初戦を勝っており、調子はほぼ互角と見る。

直接対決は羽生九段リード

 直接対決は10局あって羽生九段が8勝2敗と大きくリードしている。

 ただし順位戦は先後が決まっており、本局は稲葉八段が先手のため主導権を握る可能性が高く、この点は稲葉八段にプラス材料。

 戦型は過去のデータから相居飛車で角換わりか相掛かりを予想する。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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