マダニによる感染リスクとその対策とは?重症熱性血小板減少症候群(SFTS)治療薬に「アビガン」承認へ
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)治療薬に「アビガン」承認へ:マダニによるリスクとその対策について
マダニの生態とリスク
マダニは、野生動物や人間を吸血する節足動物です。シカ、イノシシ、キツネ、ネズミなど多くの野生動物がマダニの宿主となり、彼らの血液を栄養源としています。野生動物が豊富に生息する自然環境が豊かな場所に多く見られ、市街地の周辺でも自然が豊かであれば、畑やあぜ道などにも生息することがあります。
昨年、「奈良公園のシカにマダニが付いている!」という投稿が話題になりました。奈良公園のシカは野生動物であり、可愛らしさについ触りたくなりますが、『野生動物にはマダニがいる』と認識することが重要です。
マダニが媒介する代表的な疾患には、重篤な症状を引き起こす可能性があるライム病や重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などがあります。これらの感染症は、治療が遅れると重症化することがあるため、早期の認識と対策が重要です。
全てのマダニが病原体を持つわけではなく、必ず感染症になるわけではありませんが、3週間程度(ライム病の潜伏期間最大32日間)は、発熱、倦怠感、発疹、関節痛、腹痛、下痢などの症状が出ないか注意深く観察してください。(SFTSの発症期間は6日から2週間程度です。)
もし、これらの症状が現れた場合は、すぐに最寄りの内科を受診し、マダニに咬まれたことを必ず医師に伝えてください。
有名な例として、EXILEのATSUSHIさんやジャスティン・ビーバーさん、アヴリル・ラヴィーンさんらがライム病に罹患したことを公表しています。アヴリル・ラヴィーンさんは5ヶ月も寝たきりになるほどの症状で、「今までの人生で一番辛い日々だった。」と語っています。
SFTS治療薬の承認
SFTSは国内で2023年には133人の感染が報告され、これまでに最も多い感染者数となりました。マダニ以外にも感染したイヌやネコからの感染やヒトからヒトへの感染も報告されています。国内では致死率が10%から30%と高く、これまで有効な治療薬はありませんでしたが、抗インフルエンザ薬として開発された富士フイルム富山化学の「アビガン」が、「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の治療薬として、2024年6月24日使用が承認されました。
マダニに刺されないための予防策
長袖・長ズボンの着用: マダニが多く生息する草むらや藪に入る際には、肌を露出しないように長袖や長ズボンを着用することが重要です。マダニが布地の隙間から侵入しないように、ズボンの裾は靴や靴下の中に入れ、足を完全に覆う靴を履きましょう(サンダルは避けてください)。さらに、帽子や手袋を着用し、首にはタオルを巻くなどして、肌の露出をできるだけ減らすことが大切です。
- 虫除けスプレーの使用:マダニ忌避剤を含む虫除けスプレーを使用することで、マダニの接近を防ぐことができます。特に森林や草むらに入る前には、しっかりとスプレーを行いましょう。
- 行動範囲の選定:草むらや低木が密生するエリアはマダニの好む場所です。できる限りこれらのエリアを避けましょう。
マダニに咬まれた後の対応
マダニは皮膚に口器を突き刺し、数日間はその場で血を吸いつづけます。無理にマダニを引きはがすと、皮膚内に口器がちぎれて残ってしまうことがあるため、厚生労働省は医療機関(皮膚科)での処置を推奨しています。
まとめ:マダニによる感染リスクとその対策とは?重症熱性血小板減少症候群(SFTS)治療薬に「アビガン」承認へ
マダニによるリスクは依然として高く、適切な予防策を講じることが重要です。特に自然豊かな場所でのアウトドア活動時には、マダニに対する意識を持ち、予防策をしっかりと実践しましょう。万が一、マダニに咬まれた場合は、早めに医療機関を受診し、適切な対応を取ることが重要です。