NY金19日:FOMCを受けて大幅続伸、次はギリシャリスクの織り込みあるか?
COMEX金4月限 前日比17.70ドル高
始値 1,166.10ドル
高値 1,177.00ドル
安値 1,158.60ドル
終値 1,169.00ドル
前日引け後の米連邦公開市場委員会(FOMC)を受けて早期利上げ観測が後退したことが好感され、大幅続伸となった。
前日はイベントを控えてポジション調整中心の小動きに終始したが、FOMCが最近のマーケットで広がっていた米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ着手に対する期待感を一段と高めることに失敗したこと受けて、引け直後からショートカバー(買い戻し)が先行する展開になっている。金利フォワードガイダンスの「辛抱強くいられる」の文言は削除されたが、イエレンFRB議長が必ずしも辛抱強くいられない訳ではないといったハト派の発言を行ったことで、改めて利上げ期待を織り込むことに失敗している。当局者の金利予想も昨年12月時点と比較して切り下がっており、最近のドル相場高・金相場安には過熱感が強くなっていたこともあり、ポジション調整が活発化した。
もっとも、為替市場では早くもドル高が再開されており、ドルインデックスはFOMC前を若干下回る値位置まで切り返している。FRBの利上げ着手の方向性には変化がないとの冷静な評価も強く、FOMC直後の買いが一巡した後は、更に上値を試すような動きは限定されている。もっとも、欧州タイムに戻り売り圧力が強まった後は押し目買いが下値を支える場面もみられ、ドルのようにFOMC後の値動きを相殺するような動きまでは見られなかった。
欧州で再びギリシャ国債利回りが急伸するなど、債務問題蒸し返しに対する警戒感が金相場をサポートしている。ギリシャの資金が枯渇する時期については当局からの発表がないため、想像の域を脱しない。ただ、早ければ3月中にも公務員給与や年金支払いが止まるとの試算もあり、19~20日の欧州連合(EU)首脳会議でこの状況を打破できるのかが注目される。ドイツやフランスなどは必ずしもギリシャ支援に否定的ではないが、その前提条件となる緊縮財政受け入れをギリシャが渋っている以上、引き続き綱渡り状態の駆け引きが行われることになる。格付け会社フィッチは、今後数ヶ月以内にギリシャがユーロ圏を離脱する可能性が否定できないとしており、この問題が一応の決着をみるまでは、瞬間的に金相場が買われる可能性は想定しておく必要がある。
基調判断としては、引き続き下向きでみている。FOMCは利上げ時期について踏み込んだ動きを見せなかったが、これはイエレンFRB議長が曖昧な状況を望んでいるため、当然の結果である。今後も各種指標から利上げ期待を織り込み、それをFRBが牽制する動きが、利上げ着手ぎりぎりの状況まで続く見通し。ギリシャ問題が短期的な焦点になり得るが、これが世界金融市場に大きな混乱をもたらすようなことがなければ、一時的な戻り圧力の有無という視点で十分である。依然として、ドルインデックスやCRB商品指数などとの比較では、割高感のある価格水準と評価している。