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NY金28日:大幅続落、米利上げへの警戒感が高まる

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金12月限 前日比13.90ドル安

始値 1,145.00ドル

高値 1,147.80ドル

安値 1,127.30ドル

終値 1,131.70ドル

良好な米指標や、当局者の年内利上げ見通しを巡る発言などが嫌気され、大幅続落となった。

アジアタイムは1,140ドル台中盤で揉み合う展開になったが、欧米タイムには断続的な売り圧力に晒され、一気に値位置を切り下げている。5ドルの節目単位でストップロスを巻き込む動きがみられた。金融市場に目を向ければ、株安・ドル安と金価格をサポートして然るべき状況だったが、投資家の金価格に対する評価は厳しさを増していることが確認できる。特に、欧州タイム入り直後は何も材料がない中で急落しており、地合の悪さが窺える状況になっている。

ニューヨーク連銀のダドリー総裁は、年内に利上げが実施されるとの見通しを再確認した。10月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でも利上げ決定の可能性があることを示唆している。前週はイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長もこれに近い内容の発言を行っており、16~17日開催のFOMCがハト派と評価されて年内利上げは不可能との見方も広がり始める中、当局者が修正に動き始めた可能性が強く意識される。前回会合での利上げ見送りは、あくまでも国際情勢の不透明化に対応したものであり、利上げ着手の流れには何ら変化が生じていない模様だ。これは当然に金価格に対してはネガティブになる。

一方、本日は8月の個人消費支出が前月比+0.4%と、市場予測+0.3%を上回ったこともポジティブ。サプライズという程に強い数値ではないものの、米実体経済がなお堅調に推移しているとの見方は、年内利上げ着手の動きを十分に支持していると評価できる。

特に現物市場からの強力なサポートも確認できず、金相場の戻り売り優勢の地合は維持されよう。当然に株価急落といった動きがみられれば瞬間的に買いが膨らむリスクも残されているが、最短で10月利上げの可能性も低くないことが確認される中、本格的に上値切り上げを試すような展開は想定しづらい。株式相場がある程度の落ち着きを保った状態を維持できれば、1,100ドルの節目割れから一段安を打診する展開が想定できる。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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