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18歳未満も出会い系に利用できるLINEオープンチャットのリスク

高橋暁子成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト
上場しているLINE、今回の問題にどう対処する?(写真:ロイター/アフロ)

8月19日、LINEで正式にオープンチャットがスタートした。現状問題が山積みなので、利用するリスクについて解説したい。

オープンチャット
オープンチャット
オープンチャット2
オープンチャット2

友だちにならずに匿名で利用可能

参加の仕方は簡単だ。トークルームの右上の+マークをタップすると、「トークルームを作成」できるようになる。一番右の「オープンチャット」をタップすれば、オープンチャットのトップページが開く。公式に紹介されている誰でも参加できる公開トークルームを選び、「参加」をタップすれば参加できる。検索して希望のトークルームを探して参加する他、右下の+マークをタップで新規にトークルームを作成することもできる。

友だちにならずにLINE機能が使える点は一番の魅力だろう。名前やアイコンが個別に変えられるため匿名での利用ができる点、トークルームごとにURLがあるのでLINE以外でも参加者を集めることができる点などは便利な点だ。

ところが、実際に参加すると認識の甘さを実感することになる。新着の通知が鳴り止まなくなるのだ。慌てて通知をオフにしても、すぐに「999+」となり、メッセージは増え続け、追うことは不可能な状態に。

Twitterのタイムラインは流れが早いが、それよりも更に速く、無秩序な書き込みが次々と追加されては流れていく。スタンプ連打、QRコード、出会い系の書き込み…意味のある情報を得ることは非常に難しい状態だ。

匿名になると攻撃性が増したり、羽目を外すユーザーが多いことはよく知られている通りだ。オープンチャットでも同様の事態が起きてしまっている。

18歳未満でも出会い系に利用できる

運営元によると、特に多い違反行為は、出会い系を目的とした投稿、スタンプの連打、猥褻な表現や画像・動画の投稿、LINE ID(QRコードを含む)の投稿だという。

オープンチャットからの直接の友だち追加はできないようになっているが、友だち追加QRコードは公開できる。実際に、たくさんのQRコードが公開されており、出会い系に利用されてしまっている。Instagramやカカオトークなど他のサービスのIDなども多く公開されていた。流れこそ追えないが、過去にそのトークルームに投稿されたQRコードなどは「写真・動画」欄で確認できる。

運営元で24時間体制で書き込みを監視しているというが、削除などが追いついていず、しばらく表示されたままの状態だ。対策の1つとして、トーク内容から不適切な言葉を排除するNGワードフィルター機能を近日中に実装するとしているが、そもそも最初から実装すべきだっただろう。

既に、アダルト系や出会い系のトークルームが大量に削除されたという。18歳未満はトークルームの検索窓が表示されず、トークルームの検索はできないが、「トークルームの宣伝部屋」などでの紹介リンクから参加可能となっている。「トークルームの宣伝部屋」は公式に紹介されている話題のトークルームの一つだ。

事態は、タイムラインを全体公開できるようにしたときと同じ道をたどっている。当時も「#profile」で検索すると、多くの出会い系メッセージが投稿されており問題になった。今回も同様の事態になることは初めから想像できたはずだ。

現状、公開トークルームに参加しても有意義な情報を得ることは難しいだろう。公式におすすめされているように、保育園のママ・パパ同士やゲーム仲間のグループごとなど、ある程度参加メンバーを限った使い方が一番機能を活かせ、安全に楽しむことができそうだ。

夏休み、時間がある子どもたちのSNSの出会い系利用は増える傾向にある。子どもが自由にオープンチャットを使うのは、かなり危険な状態だ。LINEで危険な使い方や投稿をしていないか、見守ってあげてほしい。

成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト

ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。SNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などについて詳しい。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。テレビ・ラジオ・雑誌等での解説等も行っている。元小学校教員。『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)、『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(日本実業出版社)等著作多数。教育出版令和3年度中学校国語の教科書にコラム掲載中。

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