「おもしろ荘」王者の「ぺこぱ」、「去年、辞めるつもりだった」
元日に放送された日本テレビ系「ぐるナイ おもしろ荘2019 若手にチャンスを頂戴!今年も誰か売れてSP!!」で優勝を果たしたお笑いコンビ「ぺこぱ」。「ブルゾンちえみwithB」やひょっこりはんなど多くのスターを輩出してきた番組だけに、ツッコミながら天然ボケの色もあるシュウペイさん(31)と独自の世界観を持つ松陰寺太勇(35)へのオファーが急増しています。米倉涼子さん、上戸彩さんら女優・モデルのイメージが強いオスカープロモーション所属の異色コンビ。昨年には「辞めるつもりだった」とどん底を味わったからこその戴冠となりました。
オファー急増
松:「おもしろ荘」で優勝して、お正月からいきなり変わりました。これまで三が日に仕事が入ったことは一回もなかったんですけど、年明けから連日スケジュールが詰まりまして。
シ:これまで、テレビ出演は年間3回くらいだったんですけど、お正月だけでそれを超えました(笑)。ただ、あくまでも、まだスタートラインに立っただけ。もちろん、これから頑張らないといけないんですけどね。
「伝説作りたいッス」
松:そもそも、ウチのコンビは僕が相方を誘って結成したんです。僕は高校を卒業して大阪の音楽専門学校に行って、音響の勉強をしてたんです。音響マンになろうと思っていたんですけど、途中で「裏方より、やっぱり目立ちたいな…」となりまして(笑)。楽曲を作って、とにかく上京したんです。身一つで出て、東京でバンドを組んでメジャーデビューできたらと。ただ、他のバンドマンの人たちを見て、あまりにもレベルが違うなと…。
シ:全国から自信がある人たちが集まりますもんね。
松:一方、その頃、ちょうどお笑いブームで日本テレビ系「エンタの神様」とかネタ番組花盛りの時期だったんです。そんな番組を見ているうち、直感的に「これはイケるんじゃないか…」と思いまして。ただ、実際に入ると「こんなにスベるのか…」と思うくらいスベりました。ただ、たまにウケると、その時はとんでもなく気持ちいい。その時点で、これは一生の仕事になると思いました。最初はピンだったんですけど、コンビの方が良いと思って彼を誘ったんです。
シ:そこで、コンビ結成秘話があるわけですよね!
松:そんなもん、そんなトーンで言うもんじゃないんだよ(笑)。ま、僕がアルバイトをしていた居酒屋に彼が新人として入ってきたんです。当時の彼の見た目はゴリゴリのギャル男で、日焼けして真っ黒で、毛先もツンツンで…。「こんなヤツ、世の中に本当にいるんだ…」と思うくらいのルックスでした。皿洗いをしていても、ライブ会場かよ!と思うくらい「イエーイ!」という感じでやっていて(笑)。
シ:ま、当時はね…。
松:「お前、今、なにやってんの?」と尋ねたら「フリーターです」と。さらに「『役者を目指している』とか『ミュージシャン目指している』とか目標はあるの?」と聞いたら「マジ、伝説作りたいッス!」って。その一言で、コンビを組むことを決めました(笑)。コイツは面白いと。
昨年がどん底
シ:コンビを結成したのが2008年。僕は誘われてのコンビ結成だったので、もともとお笑いをよく知らないところからのスタートでした。なので、最初の1~2年は慣れるのに必死で、何もかも勉強でした。そこからオーディションを経てオスカーに入ったんですけど、ネタ見せでも厳しいダメ出しをされたりもする。ただ、その頃はまだスタートしたばかりという感覚もあって、上を見てられるんですけど、ある程度時間が経ってきたのに結果が出ないとなると、どんどん「もう、このまま終わってしまうのか…」という感じになっていくんですよね。
松:「もうダメだ…。辞めよう」と本気の本気で思ったのが実は去年でして。本当に何も動きがなかったんです。年明けから6月ごろまで何もない。どう考えても、もう終わりだと。そこがめちゃくちゃしんどかったですね。ただ、どうせ辞めるなら、思い切ってやってやろうと。どちらにしても、このままじゃどうにもならない。ならば、衣装もそれまでの普通の衣装からガラリと変えて、ボケとツッコミも替えました。本気で辞める覚悟があったから、そこまで劇的に変えられたんだと思います。
シ:今のネタをやるようになって、周りの芸人さんからも「すごいのを見つけたな」と言っていただくようになりました。皆さんがそれだけ言ってくださるんだから、相当、良いのかなとは思っています(笑)。あの~、僕はネタを書いてないので、そのあたりは、あんまり分かんないんですけど…。
松:あまりにも正直な物言いだな(笑)。ただ、そうやってスタイルを変えて初めて出た結果が今回の「おもしろ荘」だった。最後の賭けが形になったのは、本当にうれしかったです。まだ、第一歩ではあるんですけどね。
今後の目標
シ:せっかく、オスカーにいるんですから、今後、いろいろな仕事もできたらうれしいですし、まずは同じ事務所の女優さんと会う機会ができたらいいなと(笑)。
松:女優さんも、モデルさんも、たくさん所属しているはずなんですけど、まだほとんどお会いしたことなくて…。果たして、米倉涼子さんも実在するのか…。まだお会いしていないので、個人的には判然としないところもあるんですけどね(笑)。
シ:実際には、見たことがないからね。
松:そうやってお仕事の幅を広げていくためにも、今年は、もっと、もっと、ネタで知ってもらうことが必要ですよね。そうなると、例えば「M-1グランプリ」で結果を出す。そういう流れを作らないといけないし、そのためにはネタ作りが必須。今年はそういう年になるのかなと思っています。
シ:今年でいうと…、僕はキング・カズと会いたいですね。
松:カズと会う!?このコンビ間の温度差を、読者の皆さんに感じていただきたいです(笑)。
シ:三浦知良選手、51歳ですけど、今年もまた契約を更新してますからね。僕はずっとサッカーをやってきて、サッカー選手になることが夢だったんです。僕の高校のチームメートはJリーガーになったんですけど、結局、僕はなれなかった。今でも、一番長く続けたのがサッカーで、お笑いは現時点では二番目ですからね。まだカズも現役だし、僕もどこかで頑張れるんじゃないかと。そんな思いを持たせてくれるカズには、是非とも会いたいなと。
松:もしかして、まだプレーヤーとしての夢を追いかけてるの?
シ:ま、J2くらいだったら…。
松:J2なめんじゃねえぞ!怒られるぞ!
同級生からの刺激
シ:ま、もっともっと頑張って、サッカーの試合前に行われるイベントとかに呼んでもらえたら一番理想的ですよね。なんにしても、頑張らないといけないということです。
松:それは、そうだわな。
シ:これはリアルな話ですけど、僕の同級生2人が日本代表として同じピッチに立ってたんです。川崎フロンターレの小林悠とFC東京の太田宏介。今は別のフィールドですけど、いつか彼らの口から「『ぺこぱ』のシュウペイは同級生なんです」という言葉が出て、みんなが驚いてくださるくらいになれたらいいなと。つい最近も、サッカー部の同窓会があったんですけど「おもしろ荘」で優勝したおかげで、みんながその話題をしてくれた。さらに、彼らのインスタグラムで僕の出演情報の告知をしてくれたりもしたんですけど、やっぱり、影響力がすごいんですよ。改めて、彼らがどれだけの存在なのか。そして、そこまでたどり着くにはどれだけの努力があったのか。それを強く感じました。
松:少しでも近づくために、具体的に頑張りたい仕事はないの?
シ:東京ガールズコレクションに出たいですね。いろいろな芸人さんも出てらっしゃるし、個人的にも女性ファッション誌をよく見ているので、なんとか、実現できたらいいなと思っています。
松:改めて、この温度差、お感じください…。
シ:お笑いの話はよく分かんないんですけど、モデルさんの名前はよく知ってますから!
松:もうしゃべんな!(笑)
(撮影・中西正男)
■ぺこぱ
1983年11月9日生まれで山口県出身の松陰寺太勇(しょういんじ・たいゆう)と87年7月16日生まれで神奈川県出身のシュウペイが2008年にコンビ結成。松陰寺が同じアルバイト先の後輩・シュウペイを誘ってオーディションを受け、オスカープロモーション所属となる。松陰寺はかつてミュージシャンを、シュウペイはサッカー選手を目指していた。シュウペイは麻布大学附属渕野辺高校サッカー部出身で、同級生のチームメートには川崎フロンターレの小林悠、FC東京の太田宏介らがいる。1月1日未明に放送された日本テレビ系「ぐるナイ おもしろ荘2019 若手にチャンスを頂戴!今年も誰か売れてSP!!」で優勝を果たす。