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もと阪神の穴田真規選手 社会人1年目を締めくくる大会にて

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
打撃の感じはいいけどヒットなしでエラーがあって… 複雑な微笑みの穴田選手です。

久しぶりに“もと小虎”の試合を見に行ってきました。きのう3日、奈良県の橿原市運動公園硬式野球場で開催された『奈良県知事杯 第18回 大学・社会人野球大会』の3回戦です。希望は京セラドームで開催中の社会人野球日本選手権で全員集合する小虎たちを見たかったんですけどね。それは来年に持ち越すことにしましょう。

グラウンド周りの木々も色づいて、野球シーズンも終盤です。
グラウンド周りの木々も色づいて、野球シーズンも終盤です。

グラウンド周りにある木々は色づき、きれいなグラデーションを展開中。それにしても風が冷たくて寒い休日でした。観戦に来られたお客様も冬のような装いで、毛布を体に巻いておられる方もあったくらいです。行われたのは昨年まで阪神にいた穴田真規選手が所属する社会人クラブチーム・和歌山箕島球友会と帝塚山大学の試合で、穴田選手は6番サードで先発出場。結果はのちほど詳しくご紹介します。

穴田選手の後輩、帝塚山大学の新野投手(右)と丸子選手。
穴田選手の後輩、帝塚山大学の新野投手(右)と丸子選手。

対戦した帝塚山大学には穴田選手と同じ箕面東高校出身の選手がいて、少しだけ話せました。2人とも穴田選手の2つ年下で、印象を聞くと新野翔太投手は「野球が大好きな先輩です」、丸子康太郎外野手は「雲の上の存在でした!」とのこと。会えて穴田選手も嬉しそうに見えました。

奈良県知事杯 第18回 大学・社会人野球大会

3日 ◆3回戦◆

《橿原市運動公園野球場》

帝塚山大学-和歌山箕島球友会

帝塚山 000 000 100 = 1

箕 島 004 100 100 = 6

スタメンはこちらです。

1]右:平井

2]二:高橋孝

3]指:林

4]一:甲斐

5]捕:水田

6]三:穴田

7]左:北

8]遊:西口

9]中:浦川 

投:高川

3回に一挙4得点!

箕島は3回、2死から死球で出た林を4番・甲斐が右中間二塁打で還す先制タイムリー。続く水田も右前タイムリー、穴田はストレートの四球で2死一、二塁として7番・北が右中間へ2点タイムリー二塁打。この回、2四死球と3安打(全部タイムリー)で4点を先取しました。4回には平井が中前打し、犠打で二塁へ。林はサードのエラーで1死二、三塁となって甲斐が右前タイムリー。2死後に甲斐が二盗、穴田は四球を選び満塁と攻めるも、ここは1点止まりです。

箕島の先発・高川投手は7回1失点(自責0)
箕島の先発・高川投手は7回1失点(自責0)

先発の高川は6回まで4安打3四死球(エラーかヒットか不明のものがあり、もしかすると5安打かもしれません)と味方エラーで毎回走者を出しながら無失点。5回は2死満塁のピンチで4番を中飛に打ち取っています。しかし7回、死球と二塁打などで2死二、三塁として4番の三ゴロを穴田がエラー。1点返されました。

たまたま撮れたので載せました。水田選手のバットが折れた瞬間。
たまたま撮れたので載せました。水田選手のバットが折れた瞬間。

その裏、先頭の7番・北が右越え三塁打を放ち、1死後に浦川の右犠飛で1点追加。投手は8回から2人目の山田が登板して、1安打3四球、暴投などで2イニングとも走者二、三塁のピンチを招きますが得点を与えず試合終了。両チーム合わせて、三者凡退は5回裏の箕島の1イニングだけです。

ヒットは出なかったけれど

穴田選手は2回1死で遊飛、3回は2死一塁で四球、4回も2死二、三塁で四球、6回は2死一、二塁で中飛。2打数0安打でした。なお8回の攻撃は先頭の2番・高橋孝選手が右越え三塁打、1死後に甲斐選手が四球を選んで1死一、三塁としたため、併殺さえなければ6番の穴田選手に回る可能性大!タイムリーで締めてほしいところです。しかし…5番・水田選手が打ち上げて二飛、盗塁を仕掛けた甲斐選手は既に二塁へ到達していて併殺。

初めての4番でタイムリー2本の甲斐大貴選手(20)
初めての4番でタイムリー2本の甲斐大貴選手(20)

試合後、穴田選手は甲斐選手と顔を合わせるなり「スチールしてゲッツー!俺に回ってこんかったやろ~」と怒って見せつつ「頑張ってた“甲斐”があったなあ」とニヤリ。え、ダジャレ?(笑)。和歌山箕島球友会に入ったのは先ですが1つ年下の甲斐選手は、穴田選手が大好き。穴田選手も、そばへ寄ってくる甲斐選手を「うるさいなあ」と言いながら可愛いのでしょう。一緒に練習してきた後輩の頑張りをたたえています。実は甲斐選手、これが初の4番。かなり緊張したと言うものの「1本出て楽になった」とタイムリー2本の3打数2安打2打点、2四球という結果に満面の笑みでした。

一方、9月の『第39回 全日本クラブ野球選手権大会』(西武ドーム)の際にも打撃が思わしくなく、それが守備にも影響するなど不振を囲っていた穴田選手。10月12日の『第40回 JABA社会人高砂大会』の予選リーグ・関西硬式野球クラブ戦で久々に先発出場し、久々にホームランを打つなどマルチヒット!勝利に貢献しました。10月25日からの『第32回 JABAびわこ杯争奪社会人クラブ野球大会』では、阪神時代以来のサードで出場。最初の試合では二塁打を含む2安打だったそうです。

プレッシャーを力に変えて

そして今回も6番サードで、エラーを2つ(もしかすると3つ?)。阪神ではサードが主だったのにねえ。「言い訳になってしまうけど久しぶりで…きょうが2試合目やったから。言い訳ですね。ほんま難しい」。相当へこんでいます。バッティングは?「うーん」と考えたあと「いい感じではありますよ。監督から、きょう良かったって言われましたし」と答えた穴田選手ですが、どうもスッキリとはいきません。

この日はノーヒットだったものの「いい感じ」だったという打撃。
この日はノーヒットだったものの「いい感じ」だったという打撃。

原井和也ヘッドコーチ(西武OB)は「いろんなピッチャーがいるから、タイミング合う合わないがあるのは当たり前で、そこに自分を合わせていく技術が必要。どうタイミングを取ればベストなバッティングができるか、本人に気づいてもらわんとね。きょうに限っていえば、うまく合った。きょうは良かったと思いますよ」と言い「ただし次がどうか、でしょう」と続けました。

「穴田は今、勉強をしている段階じゃない。すぐに結果を出してもらいたい選手なんです。求めるものは大きい。期待しているから言います。だって期待せんなら試合に出さなきゃいいだけ。やってほしいです。彼には」

それはもう痛いほど感じ、だから余計に悩める日々なんでしょう。もちろん仕事は毎朝5時から休みなしで、野球だけに時間を費やせるわけじゃありません。でも期待に応えなくてはならないのが穴田選手の使命です。来年には新しい選手がまた入ってきますし、うかうかしてはいられない。きっとやってくれる、そう思うからこそかけるプレッシャーなんですね。

試合後に仲良く差し入れのお団子をほおばる穴田選手(左)と甲斐選手。
試合後に仲良く差し入れのお団子をほおばる穴田選手(左)と甲斐選手。

お世話になった森田先輩へ

10月28日に戦力外の通告を受けた森田選手については「28日って…去年の僕より遅いですよねえ」と驚きを隠せない様子でした。「一成さんは球を飛ばす、率も稼げる、なんといっても逆方向へのホームランが多い!そこがすごいです。いろんなものをもらったし、メシもよく連れていってくれました。遠征先では必ず、一成さんと隼太さん2人に」。そういえば野球道具やアンダーシャツ、手袋など大量に送ってもらったんですよね。お母さんが「69番のものが部屋にいっぱい」とおっしゃっていました。

「僕の勝手な想像ですけど、きっと来年どこかで試合に出ていると思います。絶対。いったん、お疲れ様でしたと言いますが、一成さんはここで終わる選手じゃない。頑張ってほしいです。僕も頑張るので。これからもよろしくお願いします!」

そんなエールを受けた森田選手の話は、近いうちにご紹介できると思います。ちなみに阪口選手へのメッセージは?と聞いたら穴田選手は「ない」とひとこと。回答が早すぎますよ(笑)。仲がいい証拠なんでしょう。

和歌山箕島球友会は、9日に佐藤薬品スタジアム(奈良県立橿原球場)で行われる『奈良県知事杯 第18回 大学・社会人野球大会』の決勝トーナメントに出場。まず準決勝でOBC高島と京都学園大学の勝者(8日に試合)と対戦し、勝てば6年ぶり2度目の決勝進出となります。これがチームと穴田選手にとって今季最後の公式戦。この大会の初優勝で締めくくりたいですね。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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