『日本一食べづらいお菓子』ってどんなお菓子⁈ 一部地域に人気のハスカップって何?(苫小牧・札幌市内)
北海道苫小牧市に広がる勇払原野に自生している「ハスカップ」。毎年、初夏に、ブルーベリーに似た黒紫の可愛い実を着けます。アイヌ語の「ハシカプ(枝の上にたくさんなるもの)」が名前の由来だそうです。最近はハスカップの栄養効果が注目されて、少しずつ広がりを見せています。この実の可能性に早くから目を付け、1953年から地元の銘菓として作り続けてきた「三星」のハスカップ愛をご紹介します。
「ハスカップ」とは
自生地は日本、中国北部、朝鮮半島、ロシア、タジキスタン、キルギス、カザフスタンおよびヨーロッパのスカンジナビアやアルプス、北アメリカのなどで、国内では北海道をはじめ、秋田や山形、長野などの高冷地に。北海道は各地で見られますが、とりわけ苫小牧の勇払原野に広く分布しています。
原産地はロシアのバイカル湖周辺で、渡り鳥によって運ばれ、渡り鳥が排泄した糞に混入していたハスカップの種子が発芽して、各地に根付いたといわれています。
アイヌ語の「ハシカプ(枝の上にたくさんなるもの)」が名前の由来だそう。ブルーベリーが球形に対して、ハスカップは丸みを帯びた円錐型。ブルーベリーは半分に切ってみると、果肉はブドウのように白っぽいですが、ハスカップは果肉も赤い。皮がとても薄く、収穫が大変なことに加えて、生での流通は難しくほとんどが冷凍になります。
果実には、抗酸化物質であるビタミンCがブルーベリーの5倍近く含まれているといわれています。また、若返りのビタミンといわれるビタミンEも多い。
さらに、ポリフェノールの一種のアントシアニンが多く、中でも抗酸化力が高いといわれるシアニジンが多く含まれています。アントシアニンも抗酸化作用があり、また、目の網膜にあるロドプシンの再合成を促進する働きがあるため、視機能の改善が期待できるとか。ほかにも、鉄やカルシウムなど栄養効果はとにかく高い。
昔から地域の宝として愛されてきたハスカップ!
ハスカップが自生していた勇払原野付近一帯では、古くから人々にとてもなじみの深い果実で、初夏に実って収穫されたハスカップは、そのまま生食としたほか、塩漬けや砂糖漬け、焼酎漬けなどの保存食にしていたそうです。
私も以前、取材で年配の生産者さんにお話を聞いたときに、「子供の時は梅干しなんてなかったよ、ハスカップの塩漬けが梅干し代わりだった。でも、今でも老眼鏡などがいらないのは、ハスカップのおかげだね。今は焼酎に漬けて毎晩飲んでいるよ」と。
そうなんです。結構酸っぱい味の果実なんです。生食すると爽やかな酸味が後をひきます。
早々とハスカップの価値に目を付ける
苫小牧市に、1898年創業の「株式会社三星」があります。1953年、三代目当主(初代社長)の小林正俊氏が、ふるさとの苫小牧を象徴する銘菓として、勇払原野に実るハスカップを使ったお菓子「よいとまけ」を製造し、発売しました(当時は1本50円)。
その苦労話は、三星のホームページを見ると詳しく書かれていますので割愛しますが、とにかく大変だったようです。なんたって、ハスカップは酸味が強く、皮が薄くて破れやすく、実はほとんどが水分だというお菓子に使用するには厄介な果実です。試行錯誤の上にできたのが「よいとまけ」。1本の長いロールカステラの外側にハスカップジャムを塗っています。中でなく、外側に塗ることが小林氏のこだわりだったそう。
発売当初は、「ジャムが手に付いて食べづらい」「あらかじめ切ってほしい」などの苦情に近い言葉が寄せられましたが、いつしか苫小牧を代表する銘菓になり、現在も親しまれています。この『日本一食べづらいお菓子』というニックネームをもらった「よいとまけ」は「第22回全国菓子大博覧会」で名誉総裁賞を受賞したり、お店の看板商品であり、苫小牧を代表する銘菓に成長しました。
「ハスカップまつり」開催中!
現在、三星本店をはじめ、苫小牧市内の支店や、札幌や千歳にある全店で「ハスカップまつり」を開催中です(7/9~25)。
三星のハスカップ菓子の写真は一部です。ハスカップを愛している三星へ行ってみませんか?
7月25日までは本店及び苫小牧市内、札幌市内、千歳市内にある各店でも「ハスカップまつり」を開催中です。
<三星本店>
*住所:北海道苫小牧市字糸井141番地
*TEL:0120-333-153(フリーダイヤル)
*営業時間:8:00~18:00
*定休日:なし
※各店の住所等は公式サイトをご覧ください