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大阪桐蔭がもう負けた! 近畿の3強がバタバタと消え去る! 健大も負け、優勝争いは一気に混沌と

森本栄浩毎日放送アナウンサー
大阪桐蔭が2回戦で敗退。報徳、智弁和歌山に続いて近畿の強豪が消えた(筆者撮影)

 初戦から波乱含みの夏の甲子園は、各チームが2試合目となった14日、大阪桐蔭小松大谷(石川)に0-3で完敗するという大波乱があった。直前の試合では、センバツ覇者の健大高崎(群馬)も、智弁学園(奈良)に1-2で敗れていて、優勝争いは一気に混沌としてきた。

大阪桐蔭は守りのミスで先制許す

 大阪桐蔭は、大阪決勝で15奪三振完投の森陽樹(2年)が先発。長いイニングを意識してか省エネ投球に徹して、小松大谷打線を抑える。しかし打線は、小松大谷のエース・西村大智(3年)の丁寧な投球に的が絞れず、凡打の山となってしまった。そして森に疲れが見え始めた7回表、小松大谷は、1死1、2塁から内野ゴロ。併殺を焦った大阪桐蔭の遊撃手が悪送球して均衡が破れると、森は3番・田西称(たさい・とな=2年)に適時打を浴び、2点を失う。大阪桐蔭の今チームは、神宮大会、センバツでも守りの破綻から試合を落としていて、最後の夏もチームとしての弱点が露呈した。

「石川に勇気を」と胸張る小松大谷のエース

 8回にもエースナンバーを背負う平嶋桂知(3年)が1点を失い、大阪桐蔭は完全に意気消沈した。西村は最後までペースを乱すことなく、わずか92球で大阪桐蔭を5安打完封。奪った三振は一つだけで、いかに「打たせてとる」投球に徹していたかがわかる。逆に言えば、大阪桐蔭の攻撃があまりに淡白で、相手に全くプレッシャーを与えられなかったことを証明するようなものだろう。西村は「理想に近い投球ができた。大阪桐蔭さんに勝って、石川県民に勇気を与えられたと思う」と、胸を張った。センバツでは星稜が4強入りし、石川勢の春の最高成績を塗り替えたが、その星稜を破って出てきただけのことはある。高校野球界の頂点に君臨する大阪桐蔭を倒し、一気に上位を狙える実力があることを証明した。

エースが離脱の健大は、春夏連覇を逃す

 この試合の前には、健大高崎が智弁学園に1点差で敗れ、春夏連覇を逃した。センバツ制覇に大貢献したエース・佐藤龍月(2年)が左ヒジの故障で、大会直前に離脱し、戦力的に連覇は難しいと思われたが、攻撃陣が、智弁エース左腕の田近楓雅(3年)の変化球に手こずり、決定打が出なかった。三番手で登板した最速154キロ右腕の石垣元気(2年)が、9回に決勝点を奪われ、1点届かず敗れた健大。佐藤不在で控え投手の奮闘はあったが、2試合とも1点しか取れず、攻撃陣の援護が足りなかった。大黒柱不在で、チームに動揺がなかったことはないだろう。悔いの残る早期敗退だった。

近畿勢はトップ3が消え去る

 有力視された近畿勢は、センバツ準優勝の報徳学園(兵庫)が最初に負けると、7日目には智弁和歌山が初戦(2回戦)敗退。そして大阪桐蔭が続く格好で、実力的にトップ3が消え去ったと言っていい。大阪桐蔭は激戦ブロックに入っていて、ここの3回戦は智弁と小松大谷の顔合わせとなった。今大会は昨年以上の酷暑とあって、治療などでしばしば試合が中断される。これが戦況に微妙な影響を与えていることは明らかで、このあとも特に第2、第3試合では同じような光景が繰り返されるだろう。その日の何試合目に登場するかも、大きなウエイトを占めそうだ。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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