「VR酔い」どう防ぐ? 「PlayStation 祭」で体験した最新VRゲームの世界
10月末から12月末にかけて日本各地で開催されるイベント「PlayStation 祭(残すは12月22日の北海道)」で、最新のVRゲームを体験してきました。そのなかでメーカー各社による「VR酔いを防ぐテクニック」が興味深かったため紹介します。
VR酔いとは?
「VR酔い」とは、その名が示すとおりVR体験中に酔ってしまうことです。
原因についての研究は進められており、いまは見ている映像と体で感じる動きが一致しない「感覚の不一致」がその原因ではないかと言われています。
たとえば映像(視覚情報)では前に進んでいるのに、体は椅子に座ったまま動かないためその感覚の違いに酔ってしまうわけです。
「VR酔い」に慣れよう『ASTRO BOT』
まずは筆者が「VR酔い」したタイトル『ASTRO BOT:RESCUE MISSION(SIE)』から紹介します。
本作は主人公のロボット「ASTRO(アストロ)」を操作して、ステージの最後にいるボスを倒すステージクリア型のアクションゲームです。
アストロを動かすとステージもヌルヌルと動き、まるでそこに自分がいるかのような体験ができます。しかし、プレイを開始して数分ですぐに「VR酔い」の症状が出始めました。
筆者は『PlayStation VR』を所有しており、プレイしているためVRには慣れているつもりです。そうしたなかで思うのは、映像が綺麗なゲームほど酔いやすいということです。
『ASTRO BOT:RESCUE MISSION』のグラフィックは現実のように美しく、没入感はかなりのものです。そのグラフィックと引き換えに、「VR酔い」が起きやすくなっている印象です。
今後もこの手のタイプのゲームでは、「VR酔い」になってしまう人が出ると思います。
酔わないレベルでゆっくり動く『絶体絶命都市4Plus』
次に紹介するのは、酔わないレベルにまで動きをゆっくりにした『絶体絶命都市4Plus-Summer Memories-(グランゼーラ)』です。
本作は巨大地震が起きた都市で、生き残る方法を疑似体験できるゲームです。
通常モードでは液晶画面のなかのキャラクターを操作してオブジェクトを探すシステムですが、VRモードでは一人称視点のポイントクリックアドベンチャーになります。
そしてVRプレイ時は、キャラクターの移動がかなりゆっくりです。その速度はゲームをプレイしているというよりも、流れる映像を見ているように感じるほど。
それでいてVRの空間はきちんと作り込まれているため、上を見れば今にも崩れそうなビルを確認できたり、後ろを振り返れば車が燃えていたりとVRでできる「体験」は損なわれていません。
ただ、「VR酔い」を防ぐためか動作を本当にゆっくりにしているため、いちゲームプレイヤーとしては「早く進んで欲しい」という気持ちも湧きました。このストレスをどう解決するかが「酔わないレベルでゆっくり動く」の課題でしょう。
動かなければ酔わない『みんなのGOLF VR』
続いてゴルフゲーム『みんなのGOLF』のVR『みんなのGOLF VR(SIE)』です。
本作のVRでは、コントローラーをゴルフクラブに見立てて本物のゴルフのようにプレイします。フィールドに立ち、クラブをスイングし、うまくボールに当てる。この動作だけで遊べるため、プレイヤーが動く必要はありません。
もちろん本物のゴルフであればボールを打ったあとに移動しなければいけませんが、『みんなのGOLF VR』ではショット後の視点移動は一瞬で切り替わるため、「動く」ことが一切ありません。
プレイヤーはボールを打つことと、ゴルフ場の美しい風景を楽しむことに集中できます。
ちなみにゲームの難易度はゴルフと同じくらい難しく、ゴルフをほとんどしたことない筆者が打ったボールはほとんどスライスしていきました。本作で練習すれば、実際のゴルフもうまくなるかもしれません。
キャラの方を動かす『スペースチャンネル5VR』
最後にVR酔いが全く起きず、それでいてVR体験も楽しかったゲーム『スペースチャンネル5 VR あらかた★ダンシングショー(グランディング株式会社)』を紹介します。
本作はセガの名作ダンスゲーム『スペースチャンネル5』をVR化したものですが、原作とは少し異なる工夫が行われています。
ひとつはプレイヤーがヒロイン(主人公)ではなく、ヒロインの仕事をサポートする役であること。これによりこれまでのシリーズで主人公だったヒロインの姿を、VRプレイ中にも確認できます。
そしてもうひとつは、ゲームの流れを逆にしている点です。本作は宇宙人に踊らされている人をステージを移動しながらヒロインが解放していくゲームでしたが、VRでは宇宙人がこちらに向かってくる仕組みになっています。
このため、プレイヤーの位置は一切動きません。つまりVR酔いが起きにくいのです。それでいて従来とゲームの流れは全く変わらず、ダンスの動きを真似する楽しさを味わえます。
メーカー各社による「VR酔い」を防ぐテクニックが広まれば、より多くの人がVR体験を楽しめる日がやってきそうです。