Yahoo!ニュース

女子バレー日韓戦の前に知っておきたい韓国代表の状況と要注意選手

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
不動のエース、キム・ヨンギョンと世代交代が進む女子バレー韓国代表。(写真:アフロスポーツ)

5月14日から行われているバレーボールのリオデジャネイロ五輪世界最終予選兼アジア予選。オリンピック出場権を賭けた最後の戦いに挑む全日本女子代表は本日5月17日、韓国と対戦する。

ペルー、カザフスタンと連勝した日本にとっては大一番となるが、それは韓国にとっても同じだ。開幕戦でイタリアに敗れるも続くオランダ戦に勝利した韓国は1勝1敗。五輪切符を手にするためには、もはや黒星は避けなければならない。互いに一歩も譲れない中で、日本と韓国は巡りあうことになった。

思えば4年前のロンドン五輪でもそうだった。日韓女子バレーは3位決定戦で対決。互いに譲れないメダルマッチを制したのは日本だったが、4年前の名勝負が再現される予感だ。

というのも、日韓ともにエースは同じ。日本に木村沙織が健在なように、韓国も“100年に1人の逸材”とされるキム・ヨンギョンが今も不動のエースを務めている。かつて日本でもプレー経験があり 木村沙織とも親交があるキム・ヨンギョンは、日本が最も警戒すべきアタッカーであり、抑えておきたい選手だろう。

ただ、日本が警戒すべき選手はキム・ヨンギョンだけではない。長身(190cm)のブロッカー、ヤン・ヒョンジョンや、前回ロンドン五輪世界最終予選の日本戦で活躍し今やキム・ヨンギョンと並ぶ韓国の得点源へと成長したキム・ヒジンも警戒したいところだ。

キム・ヨンギョン頼みの韓国メディアがそれでも期待を寄せるのは、イ・ジェヨンとイ・ダヨンだ。イ・ジェヨンは韓国Vリーグで2015年度新人賞に輝き、イ・ダヨンは高校時代から名セッターとして知られていた。実はふたりは一卵性双生児で、母親は1998年ソウル五輪の女子バレー韓国代表。その血筋の良さや可愛らしいルックスから、韓国バレー界“美顔で血統も良い最強双子姉妹”と注目を集めているらしい。

(参考記事:女子バレー韓国代表の美顔“ツインズ姉妹”イ・ジェヨン&イ・ダヨン

韓国女子バレー界と言えば、これまでハン・ユミとハン・ソンイの美人姉妹が有名だったが、韓国代表を引退した元祖美人姉妹は韓国メディアを通じて日本戦に挑む後輩たちにこんなアドバイスを送っている。

「日本戦は精神的な部分が大きい。日本も私たちと対戦するときはプレッシャーを感じている。日本はミスが少ないので、韓国は強弱を調節しながら攻撃時の凡ミスを減らさなきゃならない」(ハン・ユミ)

「日本戦は勝たなければならないというプレッシャーが選手たちの足を重くするが、いらぬ負担は捨てるべき。日本は本当に守備が良いチーム。韓国は攻撃的に試合を運びながら、レシーブなどをしっかり対応し続ければ、必ず勝機はあるから」(ハン・ソンイ)

ロンドン五輪ベスト4メンバーでもある元祖美人姉妹のこうしたアドバイスは、特に若い選手に向けられていることは間違いないだろう。韓国女子バレーは昨年から世代交代を進めており、平均年齢もだいぶ若くなった。その中には前出のイ・ジェヨン&シダヨンのツインズ姉妹や、「今後10年間の韓国女子バレー界を担う選手」と賞賛されたイ・ソヨンも加わっている。

(参考記事:今後10年の韓国女子バレーを担う逸材にしてマスコット的存在のイ・ソヨンに注目!!)

可愛らしい顔で強力なサーブを放つイ・ソヨンは、そのルックスから「韓国女子バレー界のマスコット」とも言われており、今回の最終予選でも活躍が期待されているが、イ・ジェヨンはイタリア戦で無得点、イ・ソヨンも5得点に止まった。はたして日本戦では・・・・・・。

ちなみに韓国バレーボール連盟(KOVO)は今回の世界最終予選を勝ち抜き、リオデジャネイロ五輪への出場切符を手にした暁には、選手たちに1億ウォン(約1000万円)の報奨金も用意しているという。オリンピックでもベスト4、銅メダル、銀メダル、金メダルと成績に応じて倍増していくボーナスも考えているというのだから用意周到だ。選手たちのモチベーションを大いに刺激して、日本戦に送り出す構えだ。

(参考記事:日韓戦でリベンジ狙う女子バレー韓国代表。報奨金は最高成績で最大5億ウォン!!

そんな韓国を日本はどう迎え撃つのか。女子バレー日韓対決、面白くなりそうだ。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

慎武宏の最近の記事