「ハッカー」の本当の意味知ってます? 本来とは別の意味で使われる言葉たち
小学館が同社発行の国語辞典「大辞泉」編集部による調査データとして2013年10月に発表した資料によると、世間一般において「本来の意味」と「本来とは異なるが良く使われている意味」で併用されている50の言葉のうち、もっとも良く「異なる意味」が使われているのは「ハッカー」だった。
もっとも誤用されている言い回しは「ハッカー(Hacker)」。本来はデジタル系技術に長けた人を意味し(※)、善悪は含まれていない。しかし昨今ではその技術を用いて悪いことをする人のように用いられている。「単なる自動車運転手」が「悪質ドライバー」として語られるようなものだ。新聞やテレビなどの各メディアでもその使われ方がされているが、本来はその意味で用いるのは「クラッカー(Cracker)」。
第二位の「確信犯」も「ハッカー」同様、誤用がされやすい言葉。意味は正反対となるので注意が必要(誤用は「悪い事を認識している」行為。本来の意味は「自分は悪い事はしていない、正しい事をしているとの認識」の上での行為となる)。
第三位以降も「破天荒」「姑息」「失笑」など、普段良く用いられているものの、実は本来の意味とは異なる意味合いで良く使われている・使っている言い回しが多い(今回のグラフを見て、はじめて「この意味、本来のものでは無かったんだ」と気が付くものも多いはず)。多くはインターネット上の言葉のやり取りでも利用され、意志疎通上で齟齬(そご)をもたらすリスクも生じる。今回提示された50の選択肢の中には無いが「苦笑」もインターネット上では良く間違われた意味で使われる。
リリースでは国語辞典「大辞泉」編集部の立場として、「言葉はそれ自身も意味も時代によって変わっていくのも事実であり、今件で『本来とは異なる言い方』の内容も、必ずしも間違いとは言い切れない場合もある」と説明している。例えば「ハッカー」の場合、今やデジタル技術に長け問題をクリアした人をほめ称える意味合いで「ハッカー」と呼んでも、相手がその本来の意味で受け取り、喜ぶ人はほとんどいない。さらには本人だけでなく周囲の第三者までも含め、顔をしかめるに違いない。
「本来の意味」「現在使われている意味」の利用度合いの判断は難しい。誤解を招きかねない文脈の中で、または誤解されると後々困るような場面では、十分注意を払う、さらにはあえて使用を避けるのが無難かもしれない。
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※厳密にはインターネット技術も含めたコンピュータ関連技術に精通し、さらにその技術を駆使して問題を解決したり、既存の限界を超えた成果を成し得る人。複数の意味に関する説がある。(2013.11.10. 18:55 追加)