思わず深呼吸してしまう緑いっぱいのロケーションが、このカフェの自慢です。丸亀市綾歌町にある「KITOKURAS cafe」（キトクラスカフェ）は、材木店が営むカフェ。木と暮らす心地良さを体験してもらいたいという思いから始まりました。秋らしい昼下がりに、「森のキーマカレー」をいただきました。

屋外の席で「いただきます」

「このカフェに来たら、屋外席で食事しよう」。かねてからの希望どおり、森林に面した屋外席に陣取りました。木のプレートに乗って、キーマカレーが提供されます。今回はカフェのご厚意でごちそうになりました。器にも木を使っているのは、多面的に木の心地良さを味わってほしいという工夫です。

カフェを経営する山一木材の社員で、現在はカフェの運営を任されている丸尾有記さんが、キーマカレーについて教えてくれました。綾川町にあるカレー店「スパイス家族カラクラ」からカレールーの提供を受けており、「辛くない」ところがポイント。子どもや高齢者にも食べてもらいたいという思いから、「辛くないスパイスカレー」をリクエストして作ってもらったそうです。

味わってみると、まろやかなカレールーが雑穀米とマッチして、すいすい食べ進められました。鶏肉と豚肉のミンチが使われていて、味に奥行きを感じさせます。辛味がほしい人のために、辛いペーストがちょこんと乗せられており、カシューナッツのトッピングがアクセントです。

付け合わせには、自家菜園で栽培している季節の野菜などを使っています。この日はゴーヤ、ナス、じゃがいも、カボチャの４品がプレートに乗っていました。素材の味を生かした自然な味わいです。

途中でスプーンの手を止めて深呼吸してみたら、森林の匂いが胸いっぱいに広がって、とても気持ち良い体験ができました。

手作りスイーツはコーヒーと

キトクラスのフードメニューは、森のキーマカレー（950円）のみ。不定期にメニューの入れ替えがあるので、今後、増える可能性もあります。その他は、手作りスイーツを中心に、コーヒーと合う美味しいお菓子がそろっています。

バスク系チーズケーキ（550円）、米粉ドーナッツ（350円）、森のくるみチョコレートケーキ（300円）などがメニューに並んでいました。いずれも売り切れ次第終了です。「スイーツには甘さがしっかりあって、コーヒーと一緒に楽しんでもらえるようにしています」と丸尾さん。

スイーツは今後も取捨選択して、自信を持って提供できる美味しいものに絞っていく方針だそうです。

店内には、木の雑貨や食器などがディスプレイされていて、見ているだけでも楽しい気分になります。丸尾さんは「建物から食器まで、さまざまな木と共に暮らす場面を提案しています」と話していました。

「そのまんまの木」の良さ

キトクラスは、丸尾さんが東京からUターンした2010年4月にオープン。「なかなか良いことをやっている材木屋の良さを多くの人に伝えたい」という思いで、気軽に足を運んでもらえるカフェを手掛けることになりました。

大手材木メーカーは当時、加工木材を主力商品にしており、丸尾さんは「生きている木が工業製品のようになっていくことに疑問を感じていた」と言います。丸尾さんは自然乾燥にこだわって、「そのまんまの木」の良さを受け継いでいきたいと考えていました。

「カフェでお出しするものも、木材と同じように本物にこだわっていきたいと思います。本当に美味しいものを提供するため日々、スタッフと一緒に勉強しています」「カフェという空間で、気持ちよかった、美味しかったという体験をしてもらうことで、木の良さに触れて行ってほしいと思います」と話していました。

道路を挟んでカフェの反対側にある材木店内にも、木材を見学できる場所があります。木材の話を聞きたい人は訪ねてみてはいかがでしょうか。秋の美味しい空気とコーヒーを楽しみながら、カフェ周辺の森を散策してみたら贅沢な時間になりそうですね。