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立憲民主党代表選、選挙のしくみと「党内グループ」のまとめ

大濱崎卓真選挙コンサルタント・政治アナリスト
立憲民主党の代表選は19日に告示され、30日に投開票の予定です。

 立憲民主党枝野幸男氏の代表辞任に伴う立憲民主党代表選挙は、11月19日に告示され30日に投開票を迎えます。野党第一党である立憲民主党の代表選挙は、この総選挙の結果を受けて行われるものであり、野党共闘のあり方や参院選に向けての枠組みにも影響を及ぼすために永田町では注目を集めています。

 今後の政局でも重要になってくる立憲民主党の代表選挙、そのしくみと立候補の条件、また党内グループの存在について解説をしていきます。

代表選のしくみと立候補の条件

立憲民主党代表選(2021年)のしくみ、図表は筆者作成
立憲民主党代表選(2021年)のしくみ、図表は筆者作成

 今回行われる立憲民主党の代表選挙は、国会議員と公認候補予定者票に加え、地方議員や党員・サポーターを含む、いわゆる「フルスペック」での選挙が行われます。

 国会議員票は、立憲民主党所属の国会議員(衆議院議員96名、参議院議員44名)計140名が持ちます。衆参国会議員票は各2ptと加重配分されている一方、国政選挙に立候補を予定している公認候補予定者票は1ptとなっています。ただし、直前に衆議院議員総選挙が行われたことから、衆議院議員選挙の公認候補予定者はおらず、6人の公認候補予定者はいずれも参議院議員選挙の公認候補予定者です。

 地方議員票は、全国の地方議員で立憲民主党籍を持つ者の票です。全国に1,265名の地方議員がおり、これらの票を得票候補者別で143ptにドント方式で配分することになります。

 最後に党員・サポーター票です。立憲民主党には組織参加の制度として党員・協力党員(サポーターズ)・パートナーズの制度がありますが、このうち代表選挙への投票資格を持つのは党員・協力党員(サポーターズ)で、合わせて10万267人がいます。これらの得票も、得票候補者別で143ptにドント方式で配分することになります。

 地方議員票・党員・サポーター票については国会議員票投票日前日の11月29日までに締め切り、翌30日の国会議員票投開票前に開票されます。すなわち、国会議員や公認候補予定者は、地方議員や党員・サポーターの動向を知ってから投票をすることとなります。

 なお、代表選立候補の条件ですが、「国会議員の20人以上25人以下の推薦」(立憲民主党代表選挙規則第6条の2)となっています。この国会議員20名以上の推薦というのは、自民党総裁選の条件と同じですが、党所属国会議員の数が自民党と比べて少ない立憲民主党の立候補予定者にとっては、相対的に厳しい条件とも言えるでしょう。

立憲民主党内の「グループ」

2020年に合流した立憲民主党の結党大会の様子
2020年に合流した立憲民主党の結党大会の様子写真:つのだよしお/アフロ

 自由民主党内に「派閥」があるように、立憲民主党には「グループ」があります。自民党の派閥と異なり、「グループ」の多くは掛け持ちが認められているなど「がっちり」したものではないとされており、実際に所属議員の線引きが見えにくいのが実情です。ただ、「グループ」が一体となって動くことも多くあり、今回のような代表選や役員人事などでは「グループ」の動向が注目されるのもまた事実です。以下、党内グループについて簡単に紹介したいと思います。

サンクチュアリ(近藤グループ)

 サンクチュアリは、赤松広隆元衆議院副議長が創設した旧立憲民主党系の国会議員による党内グループで、所属国会議員も27名と党内最大です。旧総評系労働組合との繋がりが強いのが特徴で、現在は近藤昭一氏が会長を務めています。代表を辞任した枝野幸男氏はサンクチュアリの顧問となったほか、海江田万里衆議院副議長や映画で話題となった小川淳也氏などが所属しています。スタンスとしては、党内でもよりリベラル路線です。

新政権研究会(泉グループ)

泉健太氏
泉健太氏写真:アフロ

 泉健太氏が代表を務めるとされる「新政権研究会」は、これまで存在すら報道されてきていませんでした。旧国民民主党系の国会議員らを中心に20名以上の国会議員が所属しているとされており、報道では小熊慎司氏、大西健介氏らの参加が確認されており、スタンスとしては党内でも中道路線と言えます。

国のかたち研究会(菅グループ)

写真:つのだよしお/アフロ

 菅直人元首相を中心とする国のかたち研究会は、民主党時代から存在する旧立憲民主党系の党内グループです。リベラル的とも言われますが、党職員も含め菅直人元首相らを中心とするメンバーの結束力は強く、また、所属議員は20名以下と言われていますが、枝野前代表が所属することもあり存在感のあるグループといえます。

直諫の会(重徳グループ)

 2019年10月に立ち上がった直諫の会は、重徳和彦衆院議員を中心とするグループです。設立当時には立憲民主党と国民民主党をまたぐ超党派として誕生し、特に当時当選3回までの若手を中心とした集まりだったことが話題となりました。現時点で所属議員は10名前後とみられています。新・立憲民主党代表選挙でも独自候補の擁立を狙いましたが、結果的には泉氏を推薦しました。

小沢グループ

小沢一郎氏
小沢一郎氏写真:アフロ

 当選18期の小沢一郎氏を中心とする小沢グループは、小沢一郎氏の影響を受ける議員らによって構成されており、スタンスは党内でも中道〜右派と言われています。小沢グループの明確な定義を見つけることは難しいのですが、約10名程度の国会議員が所属しているとされています。

花斉会(野田グループ)

野田佳彦氏
野田佳彦氏写真:Natsuki Sakai/アフロ

 野田佳彦元首相を中心とする花斉会(野田グループ)は、手塚仁雄衆議院議員や蓮舫参院議員などを擁する党内グループです。政策立案に長けたグループとしての評価があり、党内では保守派に位置づけられます。所属議員は10名程度とみられます。

小勝会(岡田グループ)

岡田克也氏
岡田克也氏写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ

 岡田克也衆院議員らを中心とする党内グループで、「小選挙区で勝つ」ことを目標に名付けられたとされています。当選15期の中村喜四郎氏を擁し、あくまで小選挙区で勝つことを目的とした選挙に関する情報交換を目的とする会とする向きもある一方、中道路線を掲げるグループと報道する新聞もあります。所属議員は10名程度とみられます。

 このほかにも、細野氏が長く代表を務め、今は階猛衆院議員が代表を務める自誓会など複数の「グループ」の存在が確認はされていますが、ここまで列挙したグループが中心となって代表選は進むものと見られています。

 なお、18日朝の現時点では泉健太衆院議員、逢坂誠二衆院議員、西村智奈美衆院議員の3氏がすでに立候補の意向を表明しているほか、大串博志衆院議員、小川淳也衆院議員も立候補を模索しているとされています。泉氏は「新政権研究会」、逢坂氏は「サンクチュアリ」の大半から支持を取り付けたとみられ、2氏を軸に女性議員である西村氏が立候補に至ることができるのか、また大串氏、小川氏の動向にも注目です。

選挙コンサルタント・政治アナリスト

1988年生まれ。青山学院高等部卒業、青山学院大学経営学部中退。2010年に選挙コンサルティングのジャッグジャパン株式会社を設立、現在代表取締役。不偏不党の選挙コンサルタントとして衆参国政選挙や首長・地方議会議員選挙をはじめ、日本全国の選挙に政党党派問わず関わるほか、政治活動を支援するクラウド型名簿地図アプリサービスの提供や、「選挙を科学する」をテーマとした研究・講演・寄稿等を行う。『都道府県別新型コロナウイルス感染者数マップ』で2020年度地理情報システム学会賞(実践部門)受賞。2021年度経営情報学会代議員。日本選挙学会会員。

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