中国、武漢市の医療従事者を称えるロケットを打ち上げへ
「武漢」の名を関した人工衛星がまもなく打ち上げられる。中国航天科工集団(CASIC)は、4月後半に2機の小型衛星を打ち上げる予定で、衛星・ロケットを開発した傘下の企業が湖北省武漢市に本拠を置くことから、衛星1機には「武漢号」の名前がつけられる。ロケットの側面には、新型コロナウイルス感染症のために武漢市が封鎖された際に活動した多くの医療従事者を称賛する絵が描かれるという。
2018年3月、CASICは80機の小型衛星から構成されるIoT衛星コンステレーション計画を発表した。2019年11月には「行雲二号」と呼ばれる衛星2機の完成が発表され、酒泉衛星発射センターから固体ロケット「快舟一号甲(KZ-1A)」に搭載されて打ち上げられる予定だった。
2019年12月以降に武漢市を中心に発生した新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年1月から武漢市は交通網を遮断して対応にあたった。2月末までに16棟の仮設病院などで1万2000人が治療を受けたという。
3月上旬には多くの患者が回復し、新たな発症者数が減少したことから仮設病院は閉鎖され、また習近平国家主席が武漢市を視察するなど、新型コロナウイルス感染症が沈静化したとの見解が示された。
3月29日、行雲二号衛星と快舟一号ロケットの関係者ら130名が酒泉衛星発射センターに入り、2機の衛星の内「行雲二号01(Xingyun-2 01)」を「武漢号」と命名した。行雲二号は、海上や離島、砂漠など通信設備の乏しい場所で、輸送、発電施設、森林管理や大規模開発などの分野向けに貨物や機器からの電波を衛星で受信、中継する宇宙IoT衛星の役割を担う。
衛星を搭載する快舟一号甲ロケットは、3段型の固体ロケットで高度700キロメートルの軌道に200キログラムのペイロードを搭載する能力を持つ。開発企業である航天科工火箭技術(Expace Technology社)も武漢市に本拠を置くことから、快舟一号による行雲二号衛星打ち上げは武漢市の航空宇宙企業が深く関わっている。
快舟一号甲の側面には、新型コロナウイルス感染症の治療で奮闘した多くの医療従事者を称え、白衣や防護服、ゴーグルとマスクを身に着けた人々の姿が描かれ、「武漢の英雄」といった意味の文字が添えられる。「武漢復活」の象徴的な意味合いを帯びてきている打ち上げは、4月中旬から下旬に実施される予定だ。