葉加瀬太郎 50歳を記念したフェス開催 「大好きな仲間たちと大好きな音楽を作り、皆さんに届けたい」
葉加瀬太郎が、2002年からアドバイザー務めていた『情熱大陸ライブ』が、今年は、葉加瀬の50歳を記念した『葉加瀬太郎サマーフェス’18 “50thanks evolution”」として、7月28日、葉加瀬の地元・大阪府吹田市の万博記念公園もみじ川芝生広場で行われ、14組のアーティストが登場した。
開演前に取材に応じた葉加瀬は、「『情熱大陸ライブ』として、ずっとやり続けてきたことなので、変わらない気持ちで臨みます。アーティストの皆さんが、僕の50歳を祝うライヴをやってくださるというので、断る理由などありません(笑)。甘えさせていただいて、心の底から愛しているアーティストと共に、みなさんにいい音楽を届けて、楽しんでもらいたい。街の中でやるフェスを夢見ていたし、何より小学生の時この公園でよく遊んでいたので、そういう場所で毎年ライヴができるのは嬉しい。コラボが楽しみですが強者ばかりなので(笑)、どんな音楽が生まれるか僕自身も楽しみです」と意気込みを語ってくれた。
この日は台風12号の影響も心配されたが、会場は前日の酷暑とは打って変わり、曇天で過ごしやすい中、時折青空が広がるという絶好の野外フェス日和。葉加瀬の開会宣言の後、トップバッターのSING LIKE TALKINGが登場。佐藤竹善のハイトーンの、伸びやかなボーカルが広がる。ゴスペル調のコーラスワークが感動的な「Spirit Of Love」では、葉加瀬はコーラスで参加し、ファンを喜ばせた。
清水ミチコは、井上陽水、中島みゆき、忌野清志郎、松任谷由実、そして東京公演に出演する矢野顕子など、数々のミュージシャンのモノマネで爆笑を誘う。山崎育三郎は、圧巻の歌声と表現力で一気にその世界に引き込む。映画「美女と野獣」のバラード「ひそかな夢」では、葉加瀬も参加し、会場全体が聴き入っていた。
フラメンコギターの沖仁は葉加瀬、佐藤竹善と共に「スペイン」を披露。そして押尾コータローと葉加瀬と共に「リベルタンゴ」を演奏し、客席をうっとりさせる。押尾は葉加瀬と「あの夏の白い雲」を弾き、心地いい風を、広い会場に吹かせてくれた。
ゴスペラーズは「ひとり」などの人気ナンバーを披露し、美しいハーモニーで客席を包む。葉加瀬とのコラボは、葉加瀬からのリクエストで「Love Me Tonight/恋の終わり」をカバー。トム・ジョーンズのバージョンが有名だが、村上てつやが「濃いですよ」という通り、セクシーなトム・ジョーンズスタイルで披露。葉加瀬はここでも美しいラストの一節を歌い上げ、“持っていって”しまい、安岡優から「最後がいちばんかっこいいじゃないか!!」と突っ込まれていた。
藤井フミヤは葉加瀬のリクエストで、「白い雲のように」を葉加瀬、佐藤とコラボ。客席が総立ちになり、全員が口ずさんでいた。続いてゴスペラーズが全員タータンチェックのジャケットを着て登場。この曲も、葉加瀬からのリクエストで、チェッカーズのナンバー「ミセスマーメイド」(1991年)。藤井の変わらないハイトーンボイスの歌と、ゴスペラーズの美しいコーラスが絡み、そこに葉加瀬の美しい弦が乗り、このイベントだけの貴重なバージョンを聴かせてくれた。
自称“日本一野外ステージが似合わない男”・鈴木雅之は、今年も3ピースのスーツにエナメル靴で登場。ブレない。ラッツ&スターの佐藤善雄とゴスペラーズ・村上てつやと酒井雄二が登場し、ゴスペラッツの復活だ。2005年にこの会場で行われた「情熱大陸ライブ」で、鈴木の“思いつき”で生まれたゴスペラッツ。「め組のひと」(1983年)、「ランナウェイ」(1981年)といったヒット曲を歌うと、お客さんも一緒に振り付けをし、歌い、ものすごい盛り上がり。葉加瀬もボーカルを取り、鈴木が「意外と上手いです」と、その歌をほめていた。
夏といえばのTUBEが登場。前田亘輝が「久々の大阪での野外ライヴ、楽しみ」と、「シーズン・イン・ザ・サン」「Beach Time」と、みんなが待っている曲を次々と披露。新曲「夏が来る!」も歌ってくれ、ラストは葉加瀬も参戦し「あー夏休み」。客席も総立ちで大合唱だ。
そしてトリはもちろん葉加瀬だ。ゲストの小柳ゆきと、葉加瀬がセリーヌ・ディオンと共演した「To Love You More」を披露。小柳が名曲を見事に歌いきり、葉加瀬の演奏も歌に寄り添いつつも、しっかりと主張する素晴らしいコラボレーション。ラストは出演アーティストが参加してサンバテイストにリアレンジされた、おなじみの「情熱大陸」だ。途中、沖仁、押尾コータロー、そしてTUBEの春畑道哉という3人のギタリストによるギターバトルに、客席は大興奮。そして挨拶をし、ステージを去っていく葉加瀬に、出演メンバーが「情熱大陸」をアカペラで歌い、プレゼントするというフィナーレで、大阪公演は終了した。
アーティスト、お客さん、スタッフ、全ての人が、葉加瀬への祝福の気持ちを胸に参加しているこのフェス。愛溢れる、温かな時間が流れている。ジャンルレスで、大人も子供も楽しめる音楽、雰囲気がいい。そして、なにより腕利きのミュージシャンが揃う、超豪華なバックバンドが作り出す音が素晴らしい。だから出演アーティストのパフォーマンスも、おのずと素晴らしくなる。
8月4日、5日には東京・葛西臨海公園 <汐風の広場>でも行われる。KICK THE CAN CREW、さだまさし、槇原敬之、スターダスト☆レビュー他、東京公演のみ出演するアーティストも多い。そして5日は、2015年に再結成したクライズラー&カンパニーの出演もアナウンスされている。この「葉加瀬太郎サマーフェス」は、「夏休みの1日を、気軽に音楽で楽しんでほしい」という葉加瀬の言葉通り、都心から近い会場なので気軽に足を運べて、あらゆるジャンルの音楽が聴け、そしてアーティスト同士の一期一会のセッションも楽しめる、何の枠にも囚われない、まさにフェスティバル、お祭りだ。