パレスチナでの虐殺を止めたい アートの力で人道に対する普遍的価値を伝える20代 アーティビストがルポ
若者中心の気候変動ムーブメント「Fridays For Future Tokyo」のオーガナイザーや、気候変動のタイムリミットを示す「Climate Clock Japan」のメンバーとして活動してきた環境アクティビストの黒部睦(22)が、今、日本や世界の様々な社会運動の現場をアートを中心に取材し発信している。
アートが社会運動にどのような効果をもたらしているのか、アートにはどんな想いが込められているのか、自らもアーティビストと名乗る黒部さんは、毎日のように各地で続くデモの現場などに足を運び、アーティビズムの観点から社会運動への理解を広げようと奮闘を続けてきた。
アートを使って社会問題の解決のために働きかける活動を「Artivism(アーティビズム)」といい、その活動家を「 Artivist(アーティビスト)」と呼ぶ。取り上げる社会課題は多岐に渡り、反戦や気候変動、人種差別などが挙げられる。バンクシーやアイ・ウェイウェイ、キース・ヘリングなどがよく知られている。
今回は8bitNewsメンバーで、アーティビストの黒部睦がパレスチナへの攻撃を続けるイスラエル政府に対する抗議集会の現場などを取材、報告する。
◆東京でのインティファーダ 表現から見えた当事者性
イスラエルによるパレスチナへの虐殺が続く中、今月11日「インティファーダ(民衆蜂起)マーチ」が東京・渋谷で行われた。在日パレスチナ人が中心となり企画される大規模アクションは初めて。渋谷には1500人を超える参加者が集まった。
「一人一人に名前と家族がいました。優香や雄太だったら目を向けてくれるか?」と書かれたプラカードや、インティファーダの象徴である「礫(つぶて)」の木版画など、参加者の持ち物には工夫を凝らしたアートが。
『この半年間、世界は私たちの怒り、抗議、叫びを目の当たりにしてきたが、政府やメディアはこの流血に加担し、見て見ぬふりをしてきた。』『共に、正義が実現するまで、パレスチナが自由になるまで、私たちは休むことはありません。』と主催団体SNSには強い思いが記されている。
イスラエルは昨年11月初め、パレスチナのガザ地区に住む人々に向けて「安全のためガザ最南部のラファへの避難」をするように警告していた。しかし、今月9日より、120万人の避難先となったラファへの攻撃を開始。既に数十人が殺害されている。
このアクションを特集した8bitNews「Artivist黒部睦」に出演した宮地杏奈さん(22歳)は「今の状況としては民族浄化の最終段階になっている」と危機感を持っている。
参加者の一人であり日本人とパレスチナ人のハーフであるDanny Jinさん(19歳)は,
「デモをやると「日本関係ないじゃん」という人がいるが、日本政府の加担もあるし、一人一人の消費行動でも加担している。行動に移してNOと言わないと。」と語る。
昨年10月以降パレスチナ解放に声を上げ始めたというゆうきさん(21歳)は「周りの人と気持ちの共有ができず、ギャップに驚く。」と普段の生活の中での葛藤を話す。
取材を進める中、「日本でやるな」や「ウケる」と冷笑する人もいた。一方で「自分も参加したいが、入っていいか」と声をかけ参加する人や手を振りながら動画を撮影する人の姿もあった。昨年の10月7日以降、全国各地でのアクションや署名活動、報道などを通じてパレスチナで起こっていることを知った人は多い。しかし、イスラエルによるパレスチナの占領は7ヶ月前に始まったことではなく、1948年より75年間続いている。「天井のない監獄」と呼ばれるガザを、私たちの世代で解放できるのか。全ての人の解放の先に待つ平和を求めて、私たちは声を上げ続けなければならない。
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