マタニティマークの認知度、全体では46%
「マタニティマーク」とは妊産婦が交通機関などを利用する際に身に着けるマークで、周囲が妊産婦への配慮をする際に識別がし易いようにするもの。また、各施設が提示し、妊産婦に配慮した環境作りを促進していることを示す目的でも使われる。一部交通機関ではこのマークを持つストラップなどを該当者に無料配布し、利用・普及を促す啓蒙活動を実施している。
この「マタニティマーク」に関する調査結果が内閣府大臣官房政府広報室から2014年9月に発表されたが、その内容によると調査対象母集団(20歳以上の男女)全体では認知度は「45.6%が意味合いまで知っている」「8.0%が意味はしっかりと把握出来てはいないものの、名前を知っている」という結果となった。知らないと回答した人は45.7%に達した。
言葉だけでも知っていればまだ良い方だが、結局のところは意味まで認識していないと適切な対応が取れないことから、実質的に「効果のある認識度」は45.6%でしかないということになる。つまり過半数はマタニティマークを見ても適切な対応が出来ず、あるいはその想いすら起こせない。
男女別では男性の有効認知度が31.2%、女性が57.6%と2倍近い差異を示している。自分が妊産婦になる可能性のある女性はマタニティマークへの関心度は高く、認知度も高くなるのだろう。
これをさらに世代別に仕切り直して確認したのが次のグラフ。どの世代でも男性より女性の方が有効認知度は高い。特に中堅層では比率上は男女間で3倍前後もの差異を示している。
20代から30代の女性は8割以上が有効認知度を示し、知らない人は1割程度。自分自身が使う立場に容易に成る、あるいはすでにその立場にある場合が多いことが主要因だが、マタニティマークへの関心の高さがうかがえる。
一方で男女を問わず歳を経ると有効認知度は低下し、「知らない」との回答が増加する。単に啓蒙活動の不足か、自分が使うタイミングは過ぎたからか、主に必要とする場所(交通機関)の利用頻度の違いか、または周囲からの配慮が成される対象との観点では妊婦も高齢者も同じようなポジションにあることから、自分自身のことで精いっぱいとの認識かもしれない。そして「自分は配慮される側で、配慮する側では無い」との考えから、啓蒙活動そのものへの関心が無い可能性もある。
自分に関わり合いのあるなしで関心度合いが変化する傾向は、就学前の子供が居るか居ないでもはっきりと確認できる。
元々自分、あるいは配偶者が使っていた可能性もあることから、就学前の子供が居る人の有効認知度は、男性でも2/3近くと極めて高い。女性に至っては94.1%で、知らない人はほとんど居ない。逆に女性でも就学前の子供が居ない場合は、その有効認知度は5割強に留まっている。
昨今ではマタニティマークに関し、ネット界隈であまり愉快では無い話を見聞きする。実際にそのような事案は皆無であるとの断言は不可能だが、それらには相応の対処を成すべきで、マタニティマークそのものの廃止・撤回を求めるのは、筋が違う。
そのような話が界隈でなされても、「それは噂だよ」と断じることができるような環境づくりを目指したいものだ。
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