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トヨタ自動車と東京ガスほか東海と関東の激突を見逃すな【第89回都市対抗野球大会の組み合わせが決定】

横尾弘一野球ジャーナリスト
第89回都市対抗野球大会の組み合わせ。昨年優勝のNTT東日本は、東邦ガスと対戦。

 7月13日に東京ドームで開幕する第89回都市対抗野球大会の組み合わせ抽選会が、一般観覧のファンも集めて6月17日に東京都内で実施された。

 開会式直後の開幕戦に登場するNTT東日本の連覇はなるか、投打に充実した昨年の日本選手権覇者・トヨタ自動車が黒獅子旗(都市対抗の優勝旗)を奪還するか。また、7回優勝の東芝、打線の破壊力は屈指のHondaなど、優勝候補と目されるチームの戦いぶりはもちろん、下馬評ではなく、勝ったチームが強いと言われる戦国時代の社会人野球で王者を巡る戦いは熾烈を極めるだろう。

 どんなチームでも神経を費やすという一回戦の対戦カードでは、今季好調の東海勢6チームのうち5チームが、地力のある関東勢と対戦する。この勝敗が優勝の行方を占う上では大きなポイントになるはずだ。

東海勢VS関東勢の5カードが優勝の行方を左右する

 NTT東日本は東邦ガスと対戦する。2年目の右腕・堀 誠、勝負強さが光るスラッガー・喜納淳弥が投打の中心となり、投手戦でも打撃戦でも底力を発揮するNTT東日本だが、2013年の一回戦では東邦ガスに1-2で苦杯を喫している。ともに先制点を奪い、試合の主導権を握りたいところだ。

 4月の長野県知事旗大会を制し、東海第一代表を勝ち取ったトヨタ自動車は東京ガスと激突する。トヨタ自動車は絶対的エースの佐竹功年を筆頭に、司令塔の細山田武史、攻守にキレのある北村祥治、ドラフト候補の左腕・富山凌雅、東京ガスは昨年のアジア選手権で四番に座った笹川晃平、安定感抜群の右腕・臼井 浩、無類のパンチ力を秘めた地引雄貴、堅実なインサイドワークを誇る山内佑規ら日本代表クラス、あるいは国際大会経験者を数名擁しており、チーム力に加えて個々の選手のパフォーマンス力も高い。どこまで相手の持ち味を潰すことができるかがカギになるのだろう。

 JR東日本と西濃運輸、三菱日立パワーシステムズとHonda鈴鹿も爆発力のある打線と堅実なディフェンス、厚い選手層で頂点に届く力を備える。大事な一回戦の先発マウンドを任せられる投手も複数いるため、どの投手に任せるか、相手の先発をどう読むかという情報戦も勝敗を左右する要素になるはずだ。

 王子は2年ぶり、SUBARUは3年ぶりと、予選敗退の悔しさをパワーに替えて東京ドームに帰ってきた。王子は2015年にベスト4、SUBARUは2014年に準優勝と、日本一への山を駆け上がるイメージは持っているだけに、緊張感のある戦いになる。

 近畿勢では、第一代表の三菱重工神戸・高砂、第二代表の大阪ガスが投打に充実。一回戦をいい形で滑り出せば、一気に快進撃を見せる可能性は大きいと言える。

 社会人野球を統括する日本野球連盟では、出場チームの応援団、野球を見る目が肥えた長年のファンに加え、女性にも東京ドームに足を運んでもらおうと、いくつかのイベントや仕掛けを用意しているという。

 ハイレベルなプレーが感動を呼ぶ刹那的で人間臭い熱戦から、グラウンドとスタンドが一体となったエンターテインメント色も強い大会への成熟を、東京ドームで体験するのもいいだろう。

【第89回都市対抗野球大会一回戦組み合わせ】

7月13日18:30 東京都/NTT東日本×名古屋市/東邦ガス

7月14日10:30 春日井市/王子×太田市/SUBARU

7月14日14:00 広島市/JR西日本×札幌市/JR北海道硬式野球クラブ

7月14日18:00 高松市/JR四国×狭山市/Honda

7月15日10:30 さいたま市/日本通運×大津町/Honda熊本

7月15日14:00 横浜市/三菱日立パワーシステムズ×鈴鹿市/Honda鈴鹿

7月15日18:00 東京都/JR東日本×大垣市/西濃運輸

7月16日10:30 東京都/鷺宮製作所×東広島市/伯和ビクトリーズ

7月16日14:00 福岡市/西部ガス×君津市/新日鐵住金かずさマジック

7月16日18:00 東京都/東京ガス×豊田市/トヨタ自動車

7月17日10:30 大阪市/大阪ガス×長野市/信越硬式野球クラブ

7月17日14:00 仙台市/七十七銀行×神戸市・高砂市/三菱重工神戸・高砂

7月17日18:00 金ケ崎町/トヨタ自動車東日本×川崎市/東芝

7月18日10:30 鹿嶋市/新日鐵住金鹿島×京都市/日本新薬

7月18日14:00 東京都/セガサミー×大阪市/NTT西日本

7月18日18:00 名古屋市/JR東海×門真市/パナソニック

野球ジャーナリスト

1965年、東京生まれ。立教大学卒業後、出版社勤務を経て、99年よりフリーランスに。社会人野球情報誌『グランドスラム』で日本代表や国際大会の取材を続けるほか、数多くの野球関連媒体での執筆活動および媒体の発行に携わる。“野球とともに生きる”がモットー。著書に、『落合戦記』『四番、ピッチャー、背番号1』『都市対抗野球に明日はあるか』『第1回選択希望選手』(すべてダイヤモンド社刊)など。

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