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ウクライナ軍「移動式ドローン迎撃車」で夜にイラン製軍事ドローン26機を迎撃・破壊

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

ロシア軍がイラン製軍事ドローン「シャハド136」28機で2023年7月10日夜に奇襲をしかけてきて、26機を迎撃して破壊したことをウクライナ軍の公式SNS、ウクライナのメディアUnited24が迎撃する動画で報告していた。

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。2022年10月からロシア軍はミサイルとイラン政府が提供した標的に向かって突っ込んでいき爆発する、いわゆる神風ドローンの「シャハド136(Shahed136)」、「シャハド131(Shahed131)」で首都キーウを攻撃して、国際人道法(武力紛争法)の軍事目標主義を無視して軍事施設ではない民間の建物に攻撃を行っている。一般市民の犠牲者も出ている。ほぼ毎日立て続けにロシア軍はイラン製軍事ドローン「シャハド136」と「シャハド131」を大量に投入してウクライナ全土に攻撃を行っている。

今回、ウクライナのメディアUnited24が伝えていた動画では「移動式ドローン迎撃車」に乗ったウクライナ兵が真っ暗闇の中で地対空ミサイルやライフル銃、小銃などで発砲してイラン製軍事ドローンを上空で破壊している。犠牲者はゼロだったと報じられている。またウクライナ軍によると日中にはロシア製軍事ドローン「Lancet」3機、監視ドローン5機、ヘリコプター1機を破壊した。

ウクライナ軍は公式SNSでロシア軍の様々な攻撃を迎撃したりすると報告しているが、全ての迎撃を報告をしているわけではない。ロシア軍のミサイル攻撃を迎撃したり、戦車を破壊したりすることは日常茶飯事だが、毎回報告することはほとんどない。だがイラン製軍事ドローン「シャハド」を迎撃して破壊すると、公式SNSで報告することが多い。

ロシア軍では立て続けにイラン製軍事ドローン「シャハド」を使用してウクライナの軍事施設や民間インフラなどを攻撃している。特に深夜や早朝に大量の「シャハド」で奇襲を行うことが多い。昼間は明るくドローンの探知もしやすいので迎撃もしやすい。だが夜や悪天候時には視界不良で探知しても迎撃することが難しい。

そのようなロシア軍のイラン製軍事ドローン「シャハド」での攻撃に対して、ウクライナ軍では「移動式ドローン迎撃車」を作り、機関銃や地対空ミサイルで迎撃して破壊している。ミサイルやドローンを探知すると警報(サイレン)が鳴り、その場にドローン迎撃車が向かって行き迎撃して破壊している。「移動式ドローン迎撃車」の後部に設置された地対空ミサイルやライフル銃で迎撃している。迎撃している兵士らも軍事ドローンの標的にされてしまうので、命がけである。

このようにロシア軍が使用しているイラン製軍事ドローン「シャハド」に対してウクライナ軍の反撃能力をアピールしている。反撃能力の維持と懲罰的報復措置(やられたら何倍にもしてやり返す)のアピールはロシア軍に対する抑止にもなりうる。

▼夜に26機のイラン製軍事ドローンを迎撃して破壊するウクライナ軍

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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