新型コロナ感染非常事態宣言下での水害避難:一つの危険だけを見ないで
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■千葉県に大雨警報、土砂災害警戒情報、避難勧告、東京も警戒を
4月13日、千葉県内一部に、大雨洪水警報、土砂災害警戒情報、避難勧告が出されました。
14:30現在、土砂災害警戒レベル4相当です。南房総市、加茂市に、避難勧告が出ています。
このあと、東京も大雨に注意と報道されています。
■水害、土砂災害避難の難しさ
火事の火が迫ってきたら、みんな逃げます。島の中央の火山が爆発したら、みんな逃げます。島中のどこからも噴煙が見えるからです。
ところが、水害は音もなく近づきます。土砂災害も同様です。私は大丈夫と「正常性バイアス」のせいで逃げないでいると、命の危険は突然やてきます。
水害避難の難しさは、危険の分かりにくさだけが問題ではありません。
明るく暖かな家を出て、雨の外に出るのは、心に負担を感じます(心理的コストが高い)。
警報や避難勧告が全市に出たとしても、本当に我が家が危険かどうかは判断の難しいところです。また、いつ、どこへ逃げたらよいのかも、判断が難しいものです。
避難中の事故も起きています。避難所に行くだけが避難ではなく、近所の頑丈な家に行くのも、我が家の2階に逃げるのも、一つの避難行動です。
■新型コロナウイルス緊急事態宣言下の避難
さらに今回はまずいことに、新型コロナウイルスによる非常事態宣言が出ています。不要不急の外出は控え、「3つの密」を防ぐように言われています。
避難所に集まることに不安を感じている人もいるでしょう。
一部に避難勧告を出した千葉県鴨川市の避難所では、新型コロナウイルスへの感染拡大を防ぐため避難者の体温を計測する態勢を整えるなど、異例の対応が取られています。
命を守るための避難は、もちろん不要不急ではなく、必要火急です。
■一つの危険だけに目を奪われすぎないで
人は正常性バイアスによる逃げ遅れで命を失い、また慌ててパニックなって危険が増してしまうこともあります。
「避難所に避難しなくては!」と思いすぎると、もう外出は危険な状態でも外に出てしまいます。
「コロナの感染は怖い!」と考えすぎると、本当は避難所に行った方が良いのに、避難できなくなります。
心理学の研究によると、私たちが危険を感じるときには、その感情の容量に限度があるとされています。一つのことだけを心配しすぎると、他のことが心配できなくなるのです。
マスクのことだけに気を取られると、マスクのためなら何を犠牲にしてでも良いというような行動をとってしまい、かえって感染症の危険が高まったり、感染症以外の危険性が高まってしまうのです。
大雨の時も、普段も、私たちはいくつもの危険に囲まれています。
まずは、落ち着いて、正しい情報の確認です。
コロナのことなら、厚労省やWHOが何を言っているのか、確認しましょう。
今回の千葉県の大雨なら、たとえば
それぞれ、迅速に情報を出しています。
それぞれの家が建っている場所、家族の事情などで、避難のタイミングも、避難の場所も変わってきます。
ともかく避難場所へ行けばよいわけではなく、また避難所は感染の危険がるから行ってはいけないわけでもありません。
いずれにせよ、工夫と柔軟性と、その上での迅速な行動です。
災害心理学の研究によると、自分だけが助かろうと思うと、人は判断を誤ります。みんなで助かろうと思うことで、冷静さと知恵と勇気が湧いてくるのです。
災害は、時期を待ってくれません。けれども、いつ何が起きても、その時できる最善のことを考えましょう。そうして私たちは病気や災害と戦い、勝利を収めていくのです。