米中ロ韓への日本人の親近感を世代・性別に数字化してみる
他国への親近感の持ちようは人それぞれだが、他人が自分と同じ意見を持っているのか、自分は少数派なのかは気になるところ。内閣府の世論調査「外交に関する世論調査」の結果をもとに、アメリカ合衆国・中国・ロシア・韓国に対する実情を確認していく。
今件調査では諸外国、あるいは地域毎に親しみを抱いているか否かに関して、「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」「分からない」「どちらかというと親しみを感じない」「親しみを感じない」の5選択肢を提示、その中から自分の心境にもっとも近いもの一つを選んでもらうことで、該当国への親近感を推し量る項目がある。
そこでそのうち「親しみを感じる(強)」「どちらかというと親しみを感じる(弱)」の動向を、主要国として今回抽出した4か国について、性別と年齢階層別に計上しグラフ化したのが次の図。「どちらかというと親しみを感じない」「親しみを感じない」は設問した意図に該当しないまでの話で、単に「親しみの対象にはならない」との意志表示でしかなく、「無関心(「分からない」ではない)」「嫌い」の双方が該当しうるため、比較の意味合いは薄いことから、検証から除外している。
4か国のグラフにおいて縦軸の仕切り分けはすべて統一している。そのため、個々の国に対し有している親近感の度合いが容易に比較できるようになっている。
アメリカ合衆国に親近感を持つ人は属性でさほど違いは無いが、女性よりは男性、若年層よりは高齢層の方が強い親しみを覚えている。強弱合わせた親近感の合計値が一番低い属性は女性だが、それでも8割を維持。
他方、全体値で最低値を示した中国では、20代の値が高く、25.8%。強い親近感も5.5%と、各年齢階層では最大値を示している。男女別では女性より男性の方がやや高め。低迷の理由はウクライナ情勢などが原因ではないかとの指摘もあるロシアだが、親近感の合計値は中国より高めにあるものの、強い親近感ではむしろ中国より低い値に留まっているのが特徴的。
興味深い動きを示しているのは韓国。属性別で明らかに女性、若年層の親近感が高い。若年層はともかく女性の回答値が高いのは、今回取り上げた4か国では唯一の動き。若年層が高めに出るのは他国でも見受けられるが、強度の親近感が20代でずば抜けて高い値を示しているのは、やはり韓国のみ。数年前までブームだった「韓流」「K-POP」などの影響が、まだこれらの層に根強く影響していることがうかがえる。
強弱を問わずに親近感を覚える層を合算し、それぞれの国の属性別動向をまとめたのが次のグラフ。
アメリカ合衆国の安定した高さ、中国とロシアは実のところ僅差状態にあること、韓国の特異性などが改めて確認できる。あくまでも総合的な評価として親近感を覚えるか否かではあるが、日本の対外施策や社会的事案の検証の際に、指標の一つとなるに違いない。
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