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堂本光一、限界を超えていく美しさ。『LIVE TOUR 2015 Spiral』

杉谷伸子映画ライター

2月、3月と帝国劇場で公演を行い、現在公演中の梅田芸術劇場に続き、10月は博多座で『Endless SHOCK』を公演する堂本光一。精力的な活動を続ける彼が、この夏はソロアルバム『Spiral』を引っさげて3年ぶりとなるソロコンサートツアー『KOICHI DOMOTO LIVE TOUR 2015 Spiral』(7月12日〜8月21日)を5都市で開催した。8月2日の横浜アリーナ最終公演を取材。

怒涛のダンスナンバーの連続

アルバムリード曲である1曲目『Fame』からダンサーを従えて激しいダンスナンバーをたたみかけるコンサートは、堂本光一の体力と精神力に心酔せずにいられないものだった。6月にリリースされた初のDVD・Blue-rayシングルもミディアムナンバーの『INTETACTIONAL』とアッパーの『SHOW ME UR MONSTER』というダンスナンバー2曲による両A面。そこからも、楽曲の世界を視覚的にも楽しませることへのこだわりがうかがえるが、今回のツアーで堂本は、メインステージとアリーナ席(横浜アリーナでは「センター」と呼ばれる)に伸びた花道で結ばれた円形ステージで、ストイックに歌い踊り続けた。

そのステージは、とにかく圧巻。『Danger Zone ~to the unknown world~』トラヴィス・ペインが、『MUSE』『INTERACTIONAL』YOSHIE『SHOCK!』ケント・モリが振り付けを手がけたステージは、全編クライマックスと呼びたくなるほどのダンスナンバーの連続。そして、さらなる興奮をもたらすのは、そのハードなダンスナンバーのかずかずを堂本が踊り続けているという事実! あたりまえのようにダンスナンバーが続くので、それを踊りつづけることの凄さに気づかせないほど。

そして、ダンスを魅せることに重点を置いたその構成がまた、中盤の『STELLAR NIGHT 〜星のバルコニー』では会場全体が星空へと変わるなか、バラードをうたいながら上空に渡された光の橋を使ってスタンド席のファンのもとへ近づくというロマンティックな演出をより印象的なものにする。

リスペクトせずにいられない堂本光一らしさ

さすがに、アンコールでは「正直言って、今回のライブ、ダンスナンバーを詰め込みすぎたなという気がして」と苦笑していたが、曲の合間に話すときには 立っていられるのが不思議なほど体力を使い切っているのがわかる人が、ひとたび曲が始まるとハードなナンバーを鮮やかに踊るのである。その姿には、『Endless SHOCK』の舞台裏を引きずられるように移動していた堂本が、舞台上ではそんな姿を微塵も感じさせない様子をとらえたのドキュメンタリー番組の一場面が脳裏をよぎるほど。エンターテイナーとして限界に挑みつづけ、素晴らしいパフォーマンスを見せる堂本光一の体力はもちろんだが、リスペクトせずにいられない この精神力もまた彼の魅力。

自作曲が収録されていないアルバム『Spiral』について、「今は提供曲の中で自分がどんどんチャレンジしていって、自分というものをさらに再発見できたりだとか、この曲を自分が歌ったらどうなるのかなとか、どういうふうに表現したら自分らしくできるのかなと模索するのが非常に楽しくてですね」とMC中に話していた堂本。

「王子」という呼び名のとおり、コンサートにも孤高の貴公子的な香りが漂う堂本だが、そのなかにワイルドな男っぽさと色気が加わった『KOICHI DOMOTO LIVE TOUR 2015 Spiral』。そこには観る者の胸の鼓動を速くさせる新たな何かとともに、まぎれもない堂本光一らしさがあった。

【KOICHI DOMOTO LIVE TOUR 2015 Spiral】セットリスト(8/2公演)

〈OVERTURE〉

M1   Fame

M2   Danger Zone ~to the unknown world~

M3   MUSE

M4  Slave Maker

〈INTER〉

M5   INTERACTIONAL  

M6   Knocked me down

M7   Come Closer

M8   Night Wanderer

M9   Over You

M10 IN & OUT

MC 

〈INTER〉

M11 DEAD END

M12 SHOW ME UR MONSTER

M13 Bongo Drum

M14 Just A Woman

M15 STELLAR NIGHT 〜星のバルコニー

M16 Love Professor

M17 メドレー

a Bad Desire-remix-

b 妖 〜あやかし〜

c 暁

d INTERACTIONAL

e Deep in your heart

M18 INTERACTIONAL

MC

EN1 SHOCK!

Short MC

EN2 LOVE CRIES

EN3-so young blues-

EN4 +MILLION but −LOVE

WEN1 IN & OUT

映画ライター

映画レビューやコラム、インタビューを中心に、『anan』『SCREEN』はじめ、女性誌・情報誌に執筆。インタビュー対象は、ふなっしーからマーティン・スコセッシまで多岐にわたる。日本映画ペンクラブ会員。

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