無意識に漏らしている自分の個人情報、えっ!鈍感なの?
最近も、日本年金機構の問題もあり、個人情報保護の重要性やプライバシー保護については非常に関心が高いようです。特に自治体、営利企企業では、個人情報や同じ部類に属する顧客情報は極めて重要な情報であり、取り扱わざるえず、それ故に「個人情報法保護法」という厳しい法律で、規制を行っているのです。
それでも情報は漏えいするのです。組織として、その取り扱いについて万全を帰していても、不慮の事故がないとは言えません。また、悪意ある人が盗み出して、漏えいする事も有り得るのです。個人情報を管理する側ではなく、個人情報の主体である我々個人が取るべき対策として、できることはただ一つ、個人情報を出さない、登録しないことです。正確には必要以上に個人情報を他者に漏らさない事です。軽い気持ちで、懸賞に応募したり、ちょっとしたプレゼントにつられてアンケートに応募したりすることはできるだけ控えるようにすべきなのです。
しかし、必要以上に個人情報を出さない事はそれほど簡単では有りません。個人情報を悪意の有る無しに関わらず収集しようとするものは、あの手この手を使って収集しようとするのです。以前には、日本語漢字変換ツール(ソフトウェア)において、その入力された文字が外国のサイトに勝手に送られてしまうという事件がありました。かな文字やローマ字で入力した文字は漢字に変換する必要が有ります。このときに候補となる漢字を表示し、指示によって変換するツールが必要です。通常、パソコンやスマホを購入した際のOS(オペレーティングシステム)という基本ソフトウェアに付属してますが、さらに使い易いツールを使う事も可能です。このツールの中で、入力文字をほとんどすべて送ってしまうものがあったのです。つまり、メールを含めて作成した文書すべてが漏れてしまうことになります。さらに最近でも、上記の日本語漢字変換ツールと似たような事件が、明らかになりました。ウェッブを見るためのツールであるブラウザにおいて、その拡張機能を利用した場合、アクセスしたサイトすべての、URLと呼ばれるウェッブのアドレスを第三者に送ってしまうのです。拡張機能とは、ブラウザの機能を補う、便利にするためのツールです。ブラウザを提供している企業とは無関係なところがサービスしています。ブラウザが信用できるからといって、その拡張機能まで信用できるわけではないのです。もちろん、すべての拡張機能が情報漏えいを起こすわけではありません。
これらは明らかに問題ですが、さほど問題として意識されず、情報漏洩となっていると考えられるサービスもあります。例えば、「占い」等のサービスです。占いでは、あまり意識する事なく、名前や生年月日を入力することもあり、それ以上の個人情報、つまり個人が抱えている問題等を入力してしまうからです。同様に、様々な質問に応えて、年齢や性格を当てるサービス(サイト)や、顔写真を登録して、写真から推定される年齢や似ている著名人を紹介するサービス等もむやみに行って良いのかというと考えものです。
個人情報を含めて、意識しない間に、秘密にしなければならない情報を自ら送ってしまうことがあるということを自覚し、その予防に十分配慮しなければなりません。
本記事は、ZAQ連載の拙稿:森井教授のインターネットセキュリティ講座「第57回 無意識に秘密を漏らしていませんか?」を加筆、修正したものである。