日本のケーキへの支出傾向をさぐる(2020年公開版)
世帯あたりの支出額は富山県がトップ
12月になると街中を彩り甘い香りを覚えさせるクリスマス向けのケーキ達。ケーキへの支出傾向は日本の地域別で見るとどのような状況なのだろうか。総務省統計局の「家計調査」のデータから検証する。
今件で確認するのはクリスマスで花形的なポジションを持つケーキ。「家計調査」では該当する品目分類として「ケーキ」そのものが確認できる。その項目が指す具体的内容は説明によると次の通り。
●ケーキ
原則として、小麦粉をスポンジ状、タルト状に焼きあげ、それに生クリーム、果物などを飾ったもの。
〇ショートケーキ、モンブラン、チーズケーキ、サバラン
×バームクーヘン、パウンドケーキ、アップルパイ→「他の洋菓子」
バームクーヘンなどもクリスマスケーキとして用いられる場合があるかもしれないが、「他の洋菓子」にはエクレアやシュークリーム、ババロア、スイートポテト、ムースなど多様な洋菓子が該当するため、クリスマス向けのケーキの傾向を推し量るのには適していない。
対象となるデータは「総世帯(単身世帯+二人以上世帯)」の品目分類における1世帯あたり品目別支出額。現時点では2019年の値が最新。そこから「ケーキ」の世帯あたりの年間支出額を精査していく。本来ならクリスマス向けのケーキの傾向として12月の値のみが検証できればよいのだが、総世帯では月次のデータが存在しないので検証は不可能。
なお今件はあくまでも「世帯あたりの」支出額であることに注意。その地域全体の支出額となれば、人口の大小が多分に影響を与えるので、東京都がトップになるのは容易に想像ができる。要は各地域における生活単位(=世帯)で、ケーキの支出傾向にどのような違いがあるかを見ていく次第。
世帯単位での年間支出額としては富山県がトップとなった。
富山県に次いで石川県、山口県、東京都、群馬県と続くが、ケーキの支出額には地域的な傾向は見出し難い。例えば都心部ではオシャレな店が多いのでケーキを購入するきっかけが生じやすいとか、南の方の地域は暑いからケーキのような甘味は避けられやすいといったものは確認ができない。クリスマスに消費されているかはともかくとして、ケーキへの支出度合いは地域環境的な影響は無いようだ。
もっとも富山県のこの値はやや突出に過ぎる感もあり、調査対象となった世帯の一部がたまたま過度にケーキへ支出した結果という形での、イレギュラーの可能性も否定できないのだが(該当世帯数は33世帯)。
一人あたりの額を算出
家計調査では残念ながら「ケーキ」に関して、購入数量や平均価格の調査は行われていない。商品種類別の差異が大きいのが理由だろう。よって「購入したケーキの数(総重量)」の精査は不可能。もっとも、ケーキの購入数を算出して何か意味があるのかと言えば、何の意味もないのが実情。
そこで見方を変え、「世帯単位の支出額」ではなく「世帯構成員一人あたりの支出額」を算出してみることにする。これは各地域の平均世帯構成人数を用いることで容易に算出可能。無論世帯構成員には老若男女すべてが含まれるため、単純に割り算をしたのでは世帯構成によるぶれが生じる可能性もあるが、今件はあくまでも指標を求めるのが目的のため、目をつぶることにする。
上位陣の顔ぶれに大きな変化は無いが、順位については平均世帯構成人数の差異が大きく影響する形となった。世帯単位ではトップだった石川県は相変わらずトップだが、続くのは山口県、そして宮城県、埼玉県。
一人あたりで計算しても、地域別の傾向は確認できなかった。ケーキに関しては特定の都道府県でよく購入する人が多いというレベルに留まっていると考えられる。
今件はあくまでも年間のケーキ支出額であり、クリスマス向けのケーキ支出額ではない。しかし普段からケーキを購入し、クリスマスのみ買わないという消費スタイルは考えにくい。何らかのイベントでケーキを買うという習慣がある人が多ければ、その動きは年間の数字になって表れるはずである。
恐らくはクリスマスにおいても、今件精査で上位についた地域では、大いにケーキが買われているのだろう。
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