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<ガンバ大阪U-23>ホームでのJ3リーグ最終戦は黒星に終わる。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

セレッソ大阪U-23をホームに迎えたJ3リーグ最終戦。序盤からガンバがペースをつかみ優勢に試合を運ぶが、前半のアディショナルタイムに失点を許し0−1で折り返す。勝負に出た後半も、50分にMF市丸瑞希がこの日2枚目となるイエローカードをもらい退場に。10人の戦いを強いられると61分にも再び失点し0−2とされる。その後、前線の選手を入れ替えながら最後まで『大阪ダービー』への執念を燃やしたガンバU-23だったが得点は奪えず、今シーズンのJ3リーグの戦いを黒星に。それでも、チームとしてはU-23発足後、3シーズン目にして初めて勝ち越し(13勝8分11敗/6位)で終えるなど、選手個々の成長のみならず、結果も残せたシーズンとなった。試合後のガンバU-23監督、選手のコメントをお届けする。

●實好礼忠U-23監督

1年間たくさんの応援をいただいて、選手たちのパワーになりました。今日の試合も90分間、プラス、アディショナルタイムまで本当に質の高いプレーをみせてくれましたし、U-23チーム同士が、いいゲームをしたと思います。

ー今シーズン最後の試合になりました。U-23監督に就任されてからこの半年間の手応えと、改めてこのチームの意義について感じられたことがあれば教えてください。

ガンバのサッカー、技術的にも、戦術的にも高さや、メンタルの強さ、フィジカルもそうですが、その中に『ガンバらしさ』が入った積み上げを、選手たちがしっかりとやってくれたなと。少し、曖昧ですいません。でも、いろんなところにガンバらしさを組み込めて、積み上げられた1年だったと思います。

●MF妹尾直哉

(途中交代でピッチに立ちました。短い時間の中で意識していたことを教えてください)1人少なかったので、ノリさん(實好礼忠U-23監督)にも言われましたけど、自分のところにボールがきたら相手を一枚剥がして、ドリブルで運ぶっていうのは、やらなければいけないことだったので意識しましたし、前を向いたら仕掛けてシュートを打つという意識は持っていました。実際にそういうシーンは作れましたが、あとは決めきるところのパワーが足りなかったなとは思います。(大阪ダービーへの執念もあり、短い時間ながらなんとしてでも負けられないという気持ちが出たように思いますが)そうですね。自分は攻撃の選手なので、そういう姿勢をみせることでピッチの中にいる選手もまだいけるんだっていう気持ちになると思ったので、そういう意識は持っていました。(これで全日程が終わりました。U-23としては初めて勝ち越しでシーズンを終えましたがどんな手応えを得た1年でしたか?)一人一人が成長しているというのも感じられたし、U-23が発足した当初の頃と比べても手応えを感じられることは多かったです。でも、今日も同じU-23との試合に負けてしまったと考えてもまだまだ足りないし、質のところもまだまだ足りないと思うので、また来シーズンに向けて、体づくりのところはもちろん、オフ中もいろんなことを意識して過ごしていい形で入れたらなと思っています。(過去のシーズンと違って、明らかに成長、変化がみられましたが、何が一番過去のシーズンと違いましたか?)ボールを持てる試合が多く、一人一人が頭で考えてポジショニングをとることでボールがうまくまわるようになったのは変化だと思うし、個人的なことを言えばすごく余裕を持ってプレーできるようになったのかなっていうのは感じました。それはスピード感に慣れたからでもあったし、見えるものが増えてきたのも成長を感じられるところでした。ただそれをトップにつなげられなかったということについては…いまトップで出ている選手は代表に入っていたり、経験のある選手たちだと考えれば、そこからレギュラーの座を奪うにはもっとJ3で継続して結果を出さないと、そのくらいのインパクトを残さないといけないと思うので。僕も2試合連続でゴールに絡めたりもしましたけど、それじゃ全然足りないし、3試合、4試合と常にゴール、アシストで毎試合関わっていくくらいのインパクトを残していかないと、トップのポジションは取れないと感じたので、そこはまた来季に持ち越した課題になったなと思います。

●DF山口竜弥

(10人になってからの戦いについて)負けている上に、10人というなかなか難しい状況の中で、10人だけど前からプレッシャーをかけなければいけないという、結構苦しい状況ではあったんですが、周りと声を掛け合いながらいかに盛り返すかを考えていたし、攻撃にリスクを負うのを覚悟して前からいくことを考えていました。(10人になった中でも後半、何度も左から攻め上がるシーンが多くみられました)今シーズン最後の試合でお客さんもいつもより来てくれていた中で、大阪ダービーだけに絶対に勝ちたかったのもあったし、今シーズンの集大成をみせようと臨んだ試合でもあり…いつも気持ちは入っているんですが、いつも以上に、120%でやりきろうと思ってプレーしていました。(1年間、U-23で経験を積んで、手応えを得られた部分、成長ができたなという部分があれば教えてください)戦術的な部分とか、技術的な部分とか、自分のストロングポイントの活かし方を実践の中で学べたシーズンだったなと思います。(以前に、考えることをプレーに落とし込むことが課題だという話もされていましたが、プレーの面で変化できたなと感じているところは?)体に染み込ませることを意識したというか…頭で考えるより体が自然に動くというか、何度も練習して勝手に動くように、普段の練習でそれを必死に体に染み込ませようと取り組んでいたので。中でも、常に三角の関係で動くことや、自分がボールを持っていない時の上下動は練習から意識していたことで、そこはだいぶ改善できたかなと思います。(来シーズン、トップということを目指せばこそステップアップしていきたいところがあれば聞かせてください)今年は、欲を言えば今年のうちにトップに出たかったし、それを目指していたんですが、それができなかったのは悔しい気持ちでいっぱいです。ただ、この中でも得られるものはすごくたくさんあったので、来シーズンこそは必ずトップに絡みます。

●MF中村敬斗

負けたのは悔しいですね。(前半のシュートも完璧なシュートでしたが、思った以上に相手に反応されてしまったという感じですか?)フェイントを使って縦にいこうか迷っていたんですけど、その前のシーンで、カウンターでドリブルした時にボールを取られたのを思い出して、シュートで終わった方がいいかなと思い、タイミングをずらせて打てば入るかなと思ったんですけど、一応狙ったところにシュートは飛んだんですが止められました。(最終戦にはどんな気持ちで臨みましたか)昨日、柏レイソル戦が終わって、今日出るということになり、大阪ダービーだから気持ちも入っていたんですが…。入りも含めて悪いゲームではなかったと思うんですが…相手にそこまでビッグチャンスを作らせたわけでもないし。ただ2失点目とかちょっと戻りきれなかったというか、後ろから走られているのに気づかなくて、気づいた時にはクロスをあげられていたので。10人になっていたこともあり、点を取りに行くために攻撃に力を残したいというのもあったとはいえ、ちょっと守備がおろそかだったなって思います。(今日で全日程が終わりましたが、改めてこの1年はどんな一年になりましたか?)最初入ったときのプレーとここ1〜2週間のプレーをみてもらえたらわかるかなと思いますけど、だいぶ自分の中でも変われたなと思っていて。走れるようになったし、体が動きやすくなりましたね、全体的に。一方で悔しさも強かったけど、その分成長できたので良かったです。

●DF野田裕喜

(10人になり難しい展開になりました)10人になったことよりも、1失点目が自分のところで決められてしまって0−1で前半を折り返してしまったというのがいちばんの問題だったと思います。(退場した)マル(市丸瑞希)が悪いとかじゃなくて、前半が0−0で終えていたら、っていうのはあったはずなので、そこは反省したいです。(ほとんどチャンスらしいチャンスを作らせていなかった中での1プレーだっただけに悔やまれますね)そうですね。機動力がある相手で、僕と陸(松田陸)もしっかりと裏への対応だったりもそれまでは出来ていたので、それだけにあの失点が悔やまれます。(今シーズン勝ち越しで終えられました。個々の成長ということだけではなくチームとしての結果もついてきたシーズンでしたが)そうですね。1年目の選手も序盤に比べたら逞しくなってきたと思いますし、自分たちもJ3でツネさん(宮本恒靖監督)からノリさん(實好礼忠U-23監督)に交代して、ツネさんのときもノリさんのときも成長できたというのはみんなが感じていることだと思います。今日の試合に限ってはみんな悔しい思いをしていると思いますけど、それ以上に充実したシーズンだったというのはありました。ただ、それをトップで見せられればとも思うし、来シーズンに向けてみんなもそういう気持ちを持っているはずなので、それをまたプレーでみせていければと思います。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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