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ウクライナ軍の神風ドローンに搭載する"柔らかくて甘い"プラスチック爆弾を食べにくる小鳥

佐藤仁学術研究員・著述家
(ウクライナ兵のTikTokより)

2023年5月にウクライナ兵が、神風ドローンに搭載するプラスチック爆弾の入ったビニール袋を啄ばみ(ついばみ)にきた小鳥(シジュウカラ)の動画を投稿していた。

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生品ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。そして両軍でドローンの撃墜が繰り返されている。

そしてウクライナ軍では民生品ドローンに爆弾を搭載してロシア軍に投下して爆発させたり、神風ドローンとしてドローンごと標的に突っ込んでいき爆発させたりして攻撃している。

この小鳥が果物か何かと勘違いして啄ばんでいたビニールは民生品ドローンに搭載するプラスチック爆弾である。プラスチック爆弾はプラスチックで作られた爆弾ではない。粉末の弾薬を油脂に練り込み粘土状にした柔らかい爆弾で、 粘土状のため爆弾の大きさや形を兵士が自由に変形できるのが特徴。

また、プラスチック爆弾はWikipediaには「噛むと甘い味がするため、味見をする兵士が多くいる」と書かれている。兵士ですら味見をしに来るということなので、粘土状で柔らかいから小鳥も何かの果物と勘違いしやすいのかもしれない。

ウクライナ政府では現在、世界中に寄付を呼びかけて神風ドローンを調達している。最初から爆弾を搭載されたタイプの神風ドローンが供給されることもあるが、多くは納品された小型のドローンにウクライナ兵が爆弾を搭載して、自作の神風ドローンとして攻撃を行っている。そのため、このようなビニールに入った粘土状のプラスチック爆弾が最前線のテーブルに置かれていて、小鳥が果物かと思って啄ばみに来ている。

▼ドローンに搭載する前のビニールに入ったプラスチック爆弾を啄ばみにくる小鳥

▼ウクライナ軍の神風ドローンによるロシア軍への攻撃

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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