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米司法省がPGAツアーを調査開始。リブゴルフに対する独占禁止法違反の疑いだが、PGAツアーは「自信」

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 米経済紙「ウォールストリート・ジャーナル」は、新ツアー「リブゴルフ」に対するPGAツアーの姿勢が独占禁止法(反トラスト法)に違反していないかどうかの調査を米司法省が開始したと報じ、PGAツアーも司法省による調査下にあることを認めたという。

 PGAツアーは、グレッグ・ノーマン率いる新ツアー「リブゴルフ」がサウジアラビア政府によって経済的に支えられていることに対し、「人権侵害だ」「スポーツウォッシングだ」等々、激しく批判。

 2020年11月には、DPワールドツアー(欧州ツアー)と戦略的提携を結び、リブゴルフに対抗するための米欧両ツアーによる共同戦線を固めた。

 そして、優勝賞金400万ドル(約5億4800万円)など超高額賞金をアピールするリブゴルフに対抗する形で、PGAツアーも賞金額やボーナス額をアップ。

 さらには、PGAツアーのメンバーである選手たちがリブゴルフへ参加することを制限。リブゴルフの初戦と第2戦が、それぞれ今年6月と7月に開催されると、それらに出場した選手たちにサスペンデッド(資格停止)処分を下した。

 リブゴルフへの参加ではなくても、PGAツアーは選手がツアー競技と同週に開催される他ツアーの大会へ出場する際は、事前に申請し、会長の許可を得ることを定めている。

 今年2月に開催されたサウジ・インターナショナルは、それに該当するケースだった。前年の秋ごろから多数のPGAツアー選手が同大会への出場を希望し、申請を出したが、ジェイ・モナハン会長はなかなか許可を出さず、大騒動になった。

 最終的には、モナハン会長が昨年暮れに渋々許可を出したが、あの騒動は、サウジのオイルマネーをバックに付けたノーマンの動きや新ツアー構想に対し、PGAツアーが激しい警戒心と対抗心を露わにした代表例だった。

 PGAツアーのこうしたアクションが独占禁止法(反トラスト法)に抵触していないかどうかの調査が、米司法省によって開始され、現在進行中であることがわかった。

 だが、PGAツアーは戦々恐々としているわけではない様子だ。

 1994年にもPGAツアーがツアー競技と同週に開催される他ツアーの大会への参加やテレビ番組への出演を禁じていたことに対し、米連邦取引委員会が調査を行なったことがあったが、1年後に取り下げられたという「前例」がある。

「PGAツアーは1994年にも同様の経験をしており、あのときと同じような結論が出されるはずだと確信している」

 PGAツアーは自信を示している。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、ラジオ福島、熊本放送でネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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