『新加入仕事人組に心躍る』浦和vs福岡【浦和レッズ川柳試合レビュー】
■予想を間違えるほどの好天
3月3日のホーム開幕戦は都合で欠席したため、私にとってはきょうが2024年の最初の埼スタになる。
とにかく暖かい。天気予報では黄砂が舞うから気を付けて、と言っていたが、天気もいいし、昨日は吹き荒れていた風もたいしたことないし、絶好のサイクリング日和。自転車での埼スタまでの道のりが、最も心地よい季節だ。
この好天もあって、観客動員予想は大きくハズれてしまった。相手がアビスパとなれば、たぶん3万そこそことみていたら、試合開始1時間15分前くらいに埼スタの自転車置き場に来て驚く。駐輪数が、鹿島戦かガンバ戦並に多いのだ。
さっそくスタンドに向かい、いつも通り、南口自由席の通路沿いの席を捜すと、もうほとんど埋まっている。出足速い。春休みでもあるためか、客層には子供連れのファミリー層が目立つ。一応、まだ残っていた通路沿い席に、「席取り」用にバッグを置き、コンコースを一回り。汗ばんできたので、着ていた上着を脱ぎ、北側のゴール裏もちょっとのぞいた後に、また南側の日なたの席に戻る。アビスパサポも、そこそこは来ていた。
座ってると、さらに暖かい。とうとうシャツを腕まくりしてしまった。
きょうこそは ホーム勝利と 腕まくり
先発メンバー発表では、なぜか審判団のが先。なぜ順番替えたんだろう?あと、試合開始前にトイレに行ったら、男子トイレにちょっと行列が出来てた。これも珍しい。
■必殺仕事人、現る
ナマで初めて見る新加入選手は前田直輝や渡邊や、豊富に揃っているものの、まずはチアゴ・サンタナだ。FWの「点取り屋」は滑り出しが大事。どんなに実績のある選手でも、最初に点をとっておかないと、レッズ時代の高原や杉本健勇みたいに、波に乗れないまま居場所がなくなったりする。レッズの今シーズンを華やかなものにするためにも、サンタナには、ぜひきょう、1点入れてほしい。
てなことで、一番の注目だったわけだが、やってくれましたね。すぐ私たちの目の前で、4分にフリーのヘディングシュートをはずし、6分にミドルシュートをはずし。思わず口にでたのが、
「おい! チアゴ! キチンと入れろよ!」
本人はキチンといれるつもりだったのだろうが、これはちょっと危険な兆候だ。
高原の 影がチアゴに 忍び寄る
ボールはキープしつつも、なかなか決定機に至らないレッズ。そうこうしているうちに、ほとんどチャンスがなかったアビスパが、スルスルッとゆるいカウンターの末に、あっさり1点先取。ケガでショルツが休んでる影響なのか、椅子のネジが一本ゆるんで、座るとグラグラする感じがする。あのくらいのスピードだったら、シュルツなら止めてんじゃないか。
ショルツ抜き ネジがゆるんで グラグラか
地力的には恐らくレッズのが上だろうし、選手層も厚いはず。ところがここ1年くらい思い返すとアビスパに負けたシーンばかりが目に浮かぶ。どうもイヤな流れだな、と。
後半に入っても、相手のGKが当たってきているのか、あとちょっとのシュートを止められたりして、嫌な流れは引き続く。正直、アビスパの攻撃陣もそんなに迫力があるわけではないように見えたが、ズルズルと足をひきづられている不気味さがあった。
ようやくその流れを断ち切ってくれたのが、新加入の一人・渡邉だ。前田直輝にしてもそうなのだが、今年の新加入選手は、いろんなチームを渡り歩いて、プロ選手としての性根がすわってそうな「仕事人」ぽい人が目立つ。さっそく、「一仕事」やってくれましたね。
泥沼の 流れ断ち切る 仕事人
その3分後には、たたみかけるような攻撃からのPK獲得だ。オーロラビジョンでは、いくつもの角度から、繰り返しその場面のVTRを流すようになった。客席では、はっきり相手の手にボールが当たるシーンが流れるたびに歓声が起こっていた。
ショルツがいない中、PK蹴ったのがチアゴ・サンタナ。ここで1点入れたのは、気持ち的にはまあ悪くないだろうが、まだ安心はできない。以前、わざわざ阿部勇樹にPKを譲ってもらって1点決めながら、ついに本領を発揮できないまま終わった杉本健勇の例を身近で見ている。流れの中で決めないとな。
健勇の 影がチアゴに 見え隠れ
いや、こういう縁起でもない思いは消していかないと。いずれにせよ、ナビスコカップ決勝以来の、アビスパへの「ヘンな苦手意識」はここで途切れたわけだから。試合終盤、続けざまに相手にチャンスを与え、間一髪で西川が止めたナイスセーブも忘れちゃならない。
きょうを見る限りは、渡辺・前田の「新加入仕事人組」が期待できそうだな。
まだ日が暮れないうちに、自転車で帰宅。それほど温度は下がっていなかったものの、一応、上着を着て帰る。
動画:2023年度『最優秀浦和レッズ川柳』発表&2024シーズンへ一句
山中伊知郎
1954年生まれ。1992年に浦和に引っ越して来て、93年のJリーグ開幕時にレッズのシーズンチケットを取得。以後31年間、ずっとシーズンチケットを持ち続け、駒場、ならびに埼スタに通う。2021年より、レッズ戦を観戦した後、「川柳」を詠むという「レッズ川柳」を始める。
代表を務める「ビンボーひとり出版社」山中企画では、昨年8月、テレビの夢グループCMで、石田社長の横で「社長~! 安くしてエ~!」の甘え声でお馴染の歌手・保科有里の『愛人!? 困っちゃう・・・』という本を出し、11月には『タブレット純の日本芸能イジン伝・その① おひとりさま芸能人 エド山口に訊く!』を出す。