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過去最低のダム貯水率。関東の水不足回避のカギをにぎる梅雨時の雨

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
利根川上流8ダム貯水容量。赤色のグラフが今年。関東地方整備局ホームページより。

関東1都5県(神奈川以外)の水がめとなっている利根川水系のダム貯水率が、5月31日時点で、過去最低となっています。

この先、梅雨時に雨が降らなければ、水不足となる恐れも否定できません。

5月の雨不足が原因に

国土交通省関東地方整備局によると、利根川水系上流8ダムの貯水率は、5月31日時点で73%。8つのダムとしての統計が残る1992年以降、この時点の貯水率としては最も低くなっています。

原因は様々なことが考えられますが、大きな要因の一つは、田植えなど農業用水が多く使われる5月に、雨量がかなり少なかったこと。利根川上流の雨量は、平年の4割弱しかありませんでした。

梅雨入りの時期よりも「雨量」

過去のダム貯水量の推移を見ると、おおむね5月か6月前半をピークに、夏場にかけて下がり続けています。その下がり方が鈍くなるのか、急になるのか、カギとなるのが梅雨時の雨です。

水不足となって取水制限が行われた1994年(平成6年)、1996年(平成8年)、2001年(平成13年)の梅雨を調べてみると、雨量が平年を大幅に下回るか、早い梅雨明けとなっていました。

今の時期、どうしても梅雨入りはいつか?ばかりが注目されますが、水資源の視点で見ると、重要なのは雨量です。

梅雨前線が戻っても残る不安

雨をもたらす梅雨前線はいったん南下し、次に本州付近に戻ってくるのは6月中旬(来週)になりそうです。

ただ、梅雨前線が停滞するようになっても、湿潤なモンスーン気流が西日本方面だけに流れ込んでいると、関東はシトシトと弱い雨が降るだけの、不活発な梅雨前線となる可能性が残ります。

また、そうこうしているうちに、梅雨が早く明けると、過去の水不足になった年と同じ経過をたどる恐れがあります。

梅雨明けが早くなるか遅くなるか、現時点で明瞭なシグナルはなく、梅雨トータルの雨量がどうなるか、まだ何とも言えない状況です。

雨がコントロールできない以上、まずは自らコントロールできるところから。今年はいつも以上に、節水の意識が必要かもしれません。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

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