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元ゲーマーのウクライナ兵「ママはゲームは役に立たないと言ってたけど戦場でのFPVドローン操縦に貢献」

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

2023年8月に元ゲーマーで、現在はFPV神風ドローンを操縦しているウクライナ兵を紹介するショート動画が公開されていた。

動画の中でウクライナ兵は「私がこの部隊に異動になってFPVドローンの担当になって、毎回ゴーグルを装着してリモートでドローンを操縦するたびに、いつも思い出すんだ。ママはよく"ゲームなんて何も良いことないし役立たないよ"って言ってたけど、最前線の戦場であるここでは、ゲームでの操縦がとても役立っているんだ」と笑いながら語っていた。

そして「昨日、また新しいドローンが到着しました。今日はそれらのテスト飛行をしています。届いたドローンは全てテストしないといけません。万が一欠陥品があった場合は命取りになってしまいますから」とコメントしていた。

ゴーグルを装着してFPV神風ドローンを操縦しているウクライナ兵は、FPV神風ドローンをロシア軍の戦車や軍事施設、塹壕などの標的に突っ込んでいき爆発させて、ロシア軍を攻撃している。

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。小型の民生品ドローンに爆弾を搭載して標的に突っ込んでいき爆発する、いわゆる神風ドローンをウクライナ軍もロシア軍も多く使用している。

突っ込んでいき爆発するシーンをFPV(ファースト・パーソン・ビュー)で撮影することも多い。FPVはドローンに搭載されたカメラからの風景が操縦者に見える。

FPVで撮影された標的に突っ込んでいく攻撃シーンの動画は頻繁に公開されており、欧米やウクライナのメディアでも放送されている。まさにゲームの画面で敵軍に攻撃をしているシーンを見ているようである。

室内でゴーグルを装着してFPV神風ドローンを操縦している兵士もいるが、最前線の屋外でゴーグルを装着してFPV神風ドローンを操縦しているウクライナ兵も多い。

FPV神風ドローンは1回突っ込んでいって爆破したら再利用はできないので、何機でも必要である。ウクライナ政府は神風ドローンを大量に調達するために世界中に寄付金の支援を呼びかけており、多くのドローンと爆弾を調達している。ウクライナ兵が述べているように新しいドローンと爆弾が大量に最前線に送られてきて、現場でドローンに爆弾を搭載して攻撃している。

▼元ゲーマーのウクライナ兵を紹介するショート動画

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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