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【映画評】金曜日に長者町フライデーの前を通って映画「FRIDAY」を観に行ったよ

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家

と、このタイトルを思いついただけで、ニヤリとしてしまった。きっと横山剣なら1曲ぐらい簡単に作ってしまえるだろう。

つまり本当は、それ以上を語れない、語るべきでもない、ドキュメンタリー映画、だということである。

概要は以下のとおり。

映画「FRIDAY」チラシ(著者撮影)
映画「FRIDAY」チラシ(著者撮影)

横浜長者町。この地で40年。

その店の名は「FRIDAY」

雑居ビルの3階にあるわずか50席ほどのライブハウスは、

クレイジーケンバンドの聖地として知られ、80歳のマスターが今でも現役で店に立つ。

多くのミュージシャンたちに愛され、宇崎竜童、クリスタルキング(ムッシュ吉崎)、

翔(TCR横浜銀蝿RSR)、Bro.KORN(バブルガムブラザース)、山崎廣明(ラッツ&スター)、近田春夫をはじめ、有名ミュージシャンたちが夜毎、パフォーマンスを繰り広げる。

横浜長者町にひっそりと佇む

FRIDAYと、マスターと、ミュージシャンと、お客さんのお話。

引用:映画「FRIDAY」公式サイトhttp://www.g-film.net/friday/

違和感を感じていた原因が、観始めて10分ほどするころにわかってきた。

最近のドキュメンタリー映画(テレビ番組を含む)と大きく違うと感じたのが、画面に説明を置かない、いわゆるテロップで“言い訳をする”ことがまったくといっていいほどない映画だということ。

だからこの映像は、帰納でも演繹でもない。

ただそこに音楽があり、音楽を発して楽しむ人と、音楽を浴びて楽しむ人がいる、ということ。

ライヴハウス“フライデー”を取り巻く環境には、いろいろ考えなければならない問題があると、横浜に住んでいれば耳にすることも少なくない。

ドキュメンタリーが問題提起もなしに存在していいのかという批判もあろう。

そのうえで、ボクはこの映画が、音楽に無心で浸れる喜びを思い出させてくれたと評価したい。

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

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